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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!
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本格的に手詰まりだよ!

 結局、僕は一日中深草さんと山科さんに生徒会に入れと迫られたのだった。朝休みはそのまま教室に、昼休みは食堂まで連れて行かれて逃げ出せず。トイレに行くときまで、その前で待ち受けていたし、体育で着替えるときも僕より早く着替えて待ち伏せされていた。二人とも大丈夫なの、それ? 一般的に女子の方が男子より着替えが遅いって聞くけど。ああ、僕が遅いだけか。

 生徒会なんて面倒な仕事、金輪際ごめんだ。下手な責任を持つし、忙しいし。バイトの時間が無くなろうものなら僕は泣くぞ。それに選ばれるかどうかもわからない。ただでさえ深草さんに目をつけられたせいで、クラスメイトたちから凍てつくような視線を向けられてるんだぞ。いくら実質信任投票とはいえ、過半数の票を獲得できなければ落ちる。選ばれるような気がしない。

 そしてもちろん、一番の問題は深草さんと一緒だということだ。これ以上一緒に居て、生徒会の活動に手伝わされたら、僕の精神が持たない。いや、これまでみたいに色仕掛けしてきたら耐え切れる自信ないぞ。僕が相手だから、深草さんが僕に惚れてるわけじゃないと思うけど、それ以外の人間だったら勘違いしますよ。自分に惚れてるって。僕だって深草さんに惚れてしまいそうなんだからな! 好きになってはいないけど、いないけど! かわいいと思ってるのは本当だから。

 という点を懇々と、もちろん一番の本音は隠して説明したのだが、深草さんに一蹴された。お飾りでいいし、選挙も親衛隊の面々を動かせば容易いと。なんでだよ! 逃げ道ないじゃないか!

 そういうわけで、放課後まできっちりと、いや、家に帰るまでみっちりと説得という名の脅迫を施されたわけであるが……こればっかりは受けるわけにはいかない!

 受けたら深草さんから惚れられてるって思っちゃいそうだし。ってちがーう! それは純粋な好意であって決して惚れてるとかいうわけじゃないんだからね! あと、僕が惚れてるなんて大仰しいわけでもないんだからね! 絶対だからね!

 それに僕には『シャルロット』があるのだ。シャルとアルの面倒を見るという大仕事があるのだ。バイトを休むわけにはいかない、というか休みたくない。

 というわけで決意を硬くした僕であったのだが。そして、僕の知り合いで一番頼れる人に相談することにしたのだが。




「うん、無理」

 その人――十条さんはいとも無げに否定したのだった。


「ってなんでですか!」

 マジですか! 十条さんが最期の生命線だったんですけど!

「あの状態になった深草さんを止めるのは私には無理だからね。というか面白そうじゃん」

 じゃんじゃないって。

 カウンターに座った僕に、今日の営業を終えた十条さんが言う。シャルも横にやって来て頭をこすり付ける。

「私にできるのはこうしてここに避難したのを隠すくらいだよ」

 そう言って十条さんを笑う。そう、僕は『シャルロット』に避難していた。だって僕の家だと危険な気がしたんだもん。そういうわけで僕には十条さんを責める資格はないのだ。

「それに、私はどっちかというと深草さんの味方だからね」

 え、そうなの? 四面楚歌じゃん!

「ここに来たことは秘密にしとくからさ。まあ、がんばれ」

 そう言って、十条さんは僕の頭を優しくたたいた。一番当てにしてた十条さんまでこの調子って、これ、本格的に多詰まりだよ!

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