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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!
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どう考えても逃げられる気がしないんですけど!

 翌日、いつも通り家を出て、学校に向か……


 ……おうとして殺気を感じた。なんで!


 振り返るとそこには修羅を纏った深草さんがいた。

「ねえ、昨日なんで一緒に帰ってくれなかったの?」


 ……あ。


 よし、逃げよう。三十六計逃げるにしかず、あとは野となれ山となれってね。

 全力で逃走、巻くために次の角を曲がった……


 ……ところで仕掛けてあった縄に縛られた。なんで!


「お姉さまを酷い目に会わせるなんて許しません!」

 ああ、山科さんか。君ならありえそうだよ。そう思ったのを最期に、山科さんに膝蹴りを叩き込まれ、僕の意識は途絶えたのだった。


 だいぶ僕も毒されてる気がする。




 エンジンの駆動する音がする。ここは、どこだ。

「あ、伏見悠杜、起きましたね」

 山科さんの声がする。ここはどうやら車の中のようだ。ちなみに全身を縛られてます。猿轡はされてません。監禁されてるよね、これ。大声出そうものならどんな酷い目に合わされるかわからないけど。

「時間もないので伏見悠杜、あなたを監禁させてもらいました。私の手のものが学校まで送りますから心配なく」

 あ、これ、逃げられないやつだ。しかも監禁って言っちゃってるし。まあ、学校に送られてるようで、遅刻とか実害ないからいいけどさ。あ、僕の心身に多大な影響を与えているという事実は置いといて。

「伏見君、自分の、立場わかってるよね」

 はい、わかってますわかってます。わかってますから。何これ、深草さん笑ってるはずなのに、すごく怖いんですけど! 営業スマイルってこんなに怖いんですか!

「伏見君、伏見君、どうして、昨日先に帰っちゃったのかな。私、一人で待ってたんだよ?」

 え、あの、その、そうだ、そうしよう。

「実は、十条さんに」

「呼ばれてないよね、千秋さんに確認は取ったから」

 マジですか! というか僕の馬鹿! なんで自ら退路を断つんだよ!

「伏見君、伏見君、伏見君、なんでなのかな?」

「吐きなさい」

 二人とも怖い! 深草さんは笑顔が怖いし、山科さんは物理的に危害を加えられそうなんだけど!

「実は……その、深草さんに会うと面倒ごとに巻き込まれそうな気がしたので」

 仕方ないよね! 命には代えられないし! はあ、言っちゃったよ。どうしよう。

「そう、わかった」

 だから笑顔が怖いって!

「ところで何だけどさ、伏見君、生徒会に」

「入りません!」

 即答である。だって面倒ごとのにおいがぷんぷんするんだもん。内申とかどうでもいいから、これ以上僕の平穏を乱さないで!

「伏見君、伏見君、鳥羽教諭から聞いたよ。考えておくんでしょう?」

「ちゃうわ!」

 おのれ、あの教師め、勝手に言いやがったな!

「お願い、私と生徒会に入って」

 深草さんが懇願する。うう、その視線はやめてくれ。だがしかし、今回はこちらには理論武装という武器が残っている。はず。

「いや、僕が入っても仕事できないし」

「お姉さまが入らないほうが効率が落ちます」

 無慈悲な山科さんの台詞。

「あの、その、ほら。もう学校に着くし」

 まさに天の恵み。これで開放される。かも。

 チッ

 舌打ちの音が聞こえる。山科さんだ。

「仕方ありません。車から降ろすしかないでしょうね。ですが伏見悠杜、覚えておきなさい。私は必ず、あなたを立候補させて見せます」

 よかった、山科さんが理性的で。ここで学校に行かせずに監禁とかじゃなくて。

「私としてもお姉さまのためにあなたに無理強いさせたとは思わせたくありません。ですが、どうしてもやらないというのなら強硬手段をとります。今はまだですが。伏見悠杜、逃げられるものとは思わないでください」

 縄を解かれ車から降ろされたところで山科さんが吐き捨てる。怖いよ。

「伏見君、やってくれるよね?」

 いや、これ、どう考えても逃げられる気がしないんですけど!

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