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樟葉加乃 黒幕会議は踊る

今回も短めです

「十条千秋! これはどういうことですか!」


 店内に京香ちゃんの声が響き渡る。久々の本気モードだ。怖い怖い。

「どうかしたのかい?」

「どうしたもこうしたもありません! 二条利頼のことです! 調べさせてもらいました。あなたの従弟だそうですね。しかも、義父さまはあなたの父親の影響が強い会社にいます。何か関係があるとしか思えません! 婚約者とはどういうことですか!」

「あちゃー、早すぎたか。というか、もうちょっと慎重に行動しろって言ったのに」

 千秋さんがやれやれといった具合に頭をかく。

「そうだよ、利頼が惚れるんじゃないかと思って、未悠ちゃんに合わせた。その後は京香ちゃんの予想通りじゃないかな」

「どうして、そんなことを! お姉さまと兄の中を邪魔するつもりなんですか!」

「どうしてって、言われてもなあ」

 困ったように頭をかく。

「しいて言うなら、最近京香ちゃんがちょっと甘くなってるからかな」

「どういうことですか」

「そのまんまの意味だよ。昔はもっとグイグイ行ってたのに、最近はやけに奥手だよね。弟ができて幸せボケでもしてるんじゃない?」

 辛らつな言葉が京香ちゃんに突き刺さる。

「そんなことないです!」

「昔は、悠杜君が奥手だったら無理やりにでも告白させるなりなんなりしたよ。だけど、今はそうじゃない。最近は大きな組織も潰してないみたいだしね」

 クリアファイルをひらひらと動かす。どうやら、何か黒い組織がこの街に足を延ばそうとしているようだ。

「だから、私が当て馬を用意してあげたんだ。今の未悠ちゃんじゃ、利頼には傾かないだろうからね。悠杜君に火をつけないといけない。このままじゃ、悠杜君は梃子でも動かないからね。ロミオとジュリエット効果って言葉もあるくらいだし。そのためには当て馬は必要でしょ?」

「失敗したら、どうするんですか」

 絞り出すような声で京香ちゃんが言う。声が震えている。

「失敗しないとは思うけど、その時はその時だよ。そのために、私や、京香ちゃんや、加乃ちゃんがいるんでしょ?」

「ですが」

「これは、決定事項なの」

 千秋さんの声が一オクターブ低くなる。

「異論は認めない。あるなら、代替案を用意しなさい。京香ちゃんがふがいないから私が出てきたわけだし。それから、これはもう既に始まったことだ。考えるなら、どうすればよかったかじゃなく、これからどうするかを考えなさい。もう既に、利頼は行動を起こしている。君はどうするの」

「くっ」

 京香さんが悔しそうに歯噛みする。まあでも、千秋さんは正論しか言ってないから仕方ないよね。

 急いで来たのは知ってる。きっと、未悠ちゃんを置いてきたのだろう。悔しそうにしながら、渋々帰って行った。

 しかし、知らなかったな。いきなり婚約者とはね。悠杜君はどんな反応をするのか楽しみだ。

「加乃ちゃん、そこに隠れてるのは知ってるから、出てきて」

「あーあ、バレちゃった? で、どういうことなのか説明してくれますよね」

「嫌だと言ったら?」

「あなたの秘密をばらしますね。悠杜君と、未悠ちゃんそれから、葵ちゃんに」

「わかりました離しましょう」

 まあ、面白いから秘密にして動向をうかがってるんだけどね。

 さてと、黒幕とダンスパーティーと行きましょうか。

作者「そういうわけで、叙述トリックを仕掛けてみました」

加乃「いや、サブタイトルでバレてるから」

黒幕「まあ、店内にだれがいるかは私も把握してるんだけどね」

作者「この作品の8割はネタバレだから(言い過ぎ)」

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