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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
あっちこっち忙しすぎるんだ!
122/181

夢オチでよかった……

相変わらずのタイトルによるネタバレ

 寝坊した!

 やばいやばいやばいやばい、とにかくやばい。文化祭当日に寝坊するってどういうことだよ! そりゃ確かに昨日も遅くまで料理の仕込みやってたし、疲れてたけどそれにしても寝坊するなんて僕のバカバカバカバカ。

 時間は9時半。なんで京香さんも未悠さんも起こしてくれなかったのさ! 携帯もジャンジャカなってる。とりあえず、今起きたってメール。ごめん、とりあえずすぐ行くから。

 制服に15秒で着替えて家を飛び出す。っとっと、鍵忘れるとこだった!

 慌てて鍵をかける。というか、時間なさすぎ。

 日がだいぶ高く昇ってるし暑いよ。その割に汗はかかないのに。

 駅はなぜか人込みでごった返していた。あれ? 今日金曜だよ? しかも、寝坊したせいで通勤ラッシュは過ぎてるはずだよ? なのになんでこんなに混んでるんだ。

 定期を取り出して駆け抜け……、ようとしたところで定期が鳴りやがった。チャージ金額が足りませんってどういうことだよ! ああもう、臨時出費が痛いよ。

 ホームが混んでいる。人の波が僕を押し返そうとする。僕は急がないといけないんだ。ともかく、早く行って文化祭の準備の続きをしないと。当日しか無理なものもあるし。あ。

 

 ……材料家に置いてきた。

 

 やべえ、まじやべえ。

 普段使わない言葉遣いをしてるし、かなり大変なことになってる。

 どうしよう、痛むから、今日僕が持ってくることになってた材料があったはず。それが、冷蔵庫に入ってたはず。どうしよう、軽食のメニューが出せなくなっちゃうじゃん。

 だ、大丈夫だよね? 京香さんのことだ、たぶん、僕の分まで持って行ってくれてるよね? 寝坊を起こしてくれなくてもさ、たぶん大丈夫だと、信じよう。

 暑い。人が多いし。というか、なんでこんなに多いんだ。文化祭でそんなに多くなるとは思えないし。

 改札を、ダッシュで、駆け抜け……、られなかった。だって人が多すぎるんだもん。ペンギンの群れって言葉がしっくりくるね、うん。

 そこからダッシュで学校へ向かう。確か、こっちの裏道を通ったほうが近かったはず。いつだったか、ハート型のパンを買ったパン屋の前を駆け抜けて。ああ、お昼ご飯どうしよう。お腹空いたし。でも、我慢。

 学校の前に『第27回大宮高校文化祭』と看板が立てられている。あれ、人少なくない? もう始まってたはずなのに。まあいいや。

「ごめん遅れた!」

「遅い! もうお客さん来てる。早く厨房に行って」

「ごめん! 寝坊した」

 三希さんと話しながら掛けてあったエプロンを装備する。お客さんはもう既に4組入っていた。

「それより、悠杜君。頼んどいた材料は?」

「え? 京香さん持ってきてなかった?」

 まさか。そんなまさか。

 

「何言ってんの? 悠杜君に頼んだじゃない」

 

 どうやら、持ってきてなかったらしい。

「まさか、材料忘れたの?」

「あ、いや、その、えーと」

 ヤバイ。まじヤバイ。何がどうやばいのか知らないけど。冷や汗多すぎやしないだろうか。でも、首から下は一切汗かいてない。

「はあ、忘れたのね」

「スイマセン」

 何をしでかしちゃったんだろう。というか、ほとんどの料理が回らないんですけど。

「もういい、ここは私が引き継ぐ。だから、さっさととってきて。いいね、10分以内だよ」

「あ、はい」

 10分!? 往復頑張っても30分はかかるんですけど!

「あの、ごめん、自転車の鍵貸してくれない?」

「私自転車じゃないよ?」

「え、まじ?」

 自転車の方が早いと思ったのに。全速力で飛ばせば、かなり速くなると思う。

「ごめん、誰か、自転車貸してくれない?」

「おお、いいぞ。俺のを使え」

「大谷君! ありがとう」

 大谷君から鍵を受け取って駐輪場へ向かう? 大谷君のは黒いスポーツタイプの自転車らしい。あった。うわ、サドルたっか。

 でも、躊躇してる暇はない。ちょっとよろめきかけたけど、自転車に飛び乗る。っていうか、家どっちだ。大体の方角はわかるけど、詳しくまでは知らない。

 とりあえず、国道に出よう。この辺には国道は一本しかないはずだから、そこを走っていれば家にたどり着くはず。

 全速力で駆け抜ける。肺が痛い。ヤバイ、ちょっと大変かも。なんか、街並みが色を失ってるみたいだ。塗り絵みたいに、僕の色で染めてくれと言われているような気がする。でも、そんな時間はないんだすまない。疲れてるのかな?

 

 家にたどり着いて玄関のドアを開ける。あ、千秋さんに頼むという手があったかな? でも、手間をかけさせそうだしやめとこ。

 冷蔵庫の中身を空けて取り出す。うん、これであってる。

「伏見悠杜、今どこですか?」

「その話し方は京香さん? 材料持って帰るし。忙しいし切るね?」

「あ、ちょっと待ちなさい」

 電話を切ってポケットに突っ込む。って危ない。

 

 

 

 バランスを崩して転んでしまった。一瞬意識も飛びかけたし。コンセント片付けとかないと。というか、それより早く行かないと。体感でもう10分経ってしまっている。

 色の落ちた街並みを抜け、学校に帰ってくる。大丈夫、行きとそこまで時間は変わらないはずだ。

「お待たせ、にも……」

「遅い! 流石に遅すぎるって!」

「悠杜君、流石にこれはだめだと思うな」

 三希さんのいつになく強い口調。未悠さんも。

「ごめん、10分はさすがに無理だった。20分くらいかかった」

「20分? あなたは何を言ってるんですか。馬鹿なんですか。死ぬんですか?」

「え?」

 京香さんから罵倒される。クラスメイトも避難がましく僕を見ていた。なんで?

「こんな時に冗談はやめようよ。何度も電話したんだよ? なのに電話に出てくれないし」

 電話も何も、かかってきたのは京香さんの一回きりじゃあ。

「いったい何を言ってるんだ。僕は……、えっ!?」

 とそこで、僕は気づいてしまった。教室の時計は、午後2時を指していた。

「あれ、いつの間に。まさか!?」

 ふと思い出す。家で転んだ時、一瞬意識が飛んだ気がした。でも、あの時倒れてたんじゃあ。

 さっと、血の気が引く。おい、嘘だろ? そんなまさか?

「悠杜君がいないおかげでシフトめちゃくちゃだったし、クレームも来るし、料理全然出せなかったんだから! おかげで1日目は大失敗だよ。どうしてくれるの!」

 そうだ、そうだという目でみんなが僕を見る。僕は思わず後ずさった。

 やめて、そんな目で僕を見ないで。あ、謝るから。こ、怖いって。た、助けて。

 

 

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 気がつけばベッドの上で叫んでいた。今日は、文化祭初日。時間は!?

 ……大丈夫、まだ6時だ。時間はある。

 夢オチでよかった……。心からそう思う。だって、あんなに頑張ったんだもん。失敗なんてできない。

「兄さん、どうかしましたか!?」

「ああ、いや、何でもない」

 京香さんが心配してくれてる。そうだよ、夢でよかった。それに、京香さんはあんなこと言わないもんね。

「それにしては、酷い顔ですが。接客大丈夫ですか?」

「大丈夫、すぐ治すから。ただ、ちょっと悪い夢を見ただけだよ」

 さあ、気を取り直して文化祭の準備を始めよう。大丈夫。きっと僕らの文化祭は大成功を収めるはずだから。

作者「この作品はギャグとテンプレとネタバレと出オチと、何か素敵なものでできています」

悠杜「ろくなものでできてない……」

未悠「マザーグースの詩だね。ちなみに、女の子は砂糖とスパイスと何か素敵なものでできてるんだよ」

加乃「ちなみに作者はカエルとスパイスとギャグでできています」

作者「混ぜるな!」

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