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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
どうして義妹(姉)ができるんだ!
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毎度のことだが、先行きが不安だ……

 山科さんとの微妙な距離感は、旅行から帰ってきても元には戻らなかった。一度も顔を見ていない。弁解する機会も。でも、それだけのことをしてしまったんだと思う。

 前に、深草さんとも気まずくなった時があった。でも、その時は原因がわかって、それを僕の力で何とか出来たからよかった。でも、今回のは、僕の力じゃどうしようもなかった。

 そして、どうしようもないまま、生徒会で旅行に行く日がやってきてしまった。

 

 山科さんはちゃんと来ていた。そりゃそうか、そんなことでさぼるような人じゃない。ただ、僕に一瞥もくれなかった。

「悠杜君、最近京香ちゃんと何かあった? 京香も不機嫌そうだし」

「ええ、ちょっと」

「仲直りしたいなら手伝おうか?」

「いえ、いいですよ」

 深草さんは相変わらず話しかけてくれた。この優しさに甘えてしまいそうになる。でも、恋人だというわけでもないのに、それはどうなのだろうか。そんなことを考えてしまう。

「僕個人の問題ですし、それに、悪いのは100%僕なんで」

「どういうこと?」

「それだけ酷いことをしたってことですよ」

「相当落ち込んでるようだねっ!」

「わっ!?」

 突然樟葉先輩が割り込んでくる。めちゃくちゃびっくりした。というか、この人の存在忘れるなんてどうかしてる。こんなうるさいのに。

「それなら、私が抱いてあげよっか?」

「あんたはちょっと黙れ」

「酷っ!」

 あ、やらかした。つい敬語忘れた。

「いくら何でも黙れってひどくない?」

「すいません。バカノ先輩って先輩だっていう認識があんまりないので。親しみやすいというか、気軽に呼びやすいというか。馬鹿ですけど」

「ありがと……、ってやっぱ馬鹿にしてない!?」

「あれ、ばれました?」

 まあ、うん。だってほら、馬鹿だから。馬鹿だから、先輩だって思えないし。あ、でも親しみやすいかもっていうのは本当だよ。ホントダヨウソジャナイヨ。

「おい、そこの3人、静かにしろ。それより、ちゃんと宿題は終わらせてきたんだろうな」

「日記以外残してる宿題ありませんよ……」

 こっちの会長も、言葉だけなら生徒会長然としてるんだけど、腕を『恋人』と絡めたままだと、威厳半減。

「それより、駅前に集合って、バスはどこなんでしょうか?」

 深草さんが聞く。あ、それは僕も思った。ちなみに山科さんは大分離れています。

「バス? 遠足の時はバスだが、今日は新幹線だぞ? そもそも7人しかいないのにバスなんて借りるか」

「ああ、そういうことですか。……って7人!?」

 驚いて聞き返す。だっておかしくないか!? 正規メンバーは5人で、実質生徒会員と化してる山科さんを入れても6人にしかならないぞ。

「あの、悠杜君、そこにいるよ」

「橋本先生が、そこに」

 深草さんと樟葉先輩から口々に突っ込まれる。あ。

「おい、伏見、まさか俺のこと忘れてたんじゃないだろうな」

「あの、その、影薄いので、つい」

「言ってくれやがって、俺だって気にしてんだぞ!」

 あ、それはすいません。というか痛いです。体罰になります。訴えないけど。

「まあ、俺はあくまで付き添いってだけだ。あんまりやる気もないしな。そういうわけで、小野。後は任せた」

 いや、一応あなた顧問でしたよね。僕存在忘れてたけど。

「まあ、そういうわけだ。なんか山科と伏見に何かあったみたいだが、俺は深追いはせん。とりあえず、出発するぞ」

「おー!」

 樟葉先輩が勢い良く叫ぶ。さて、癒しになるといいのですが、まったく癒しになる気がしません……。

 

 

 

 新幹線の席は僕が一番窓側、その横が深草さんでさらに横が樟葉先輩になった。おかげで、寝られなかった。だって、樟葉先輩トランプ持ち出すんだもん。

「ファロっていう面白いトランプゲームがあるんだけど、それをやろうよ」

 そう言って、樟葉先輩にルールをコンコンと説明される。おかげで名古屋に着くころにはもうすっかりルールを理解していた。

「2人とも慣れてきたみたいだし、こっからは何かかけますか」

「おいこら! やっぱり賭博かい!」

 そしてバカノ先輩はどこまでもぶれずバカノ先輩だった。

「そうだよ、私が提案するのが賭け事意外だと思った?」

「開き直るな!」

 開き直ってチップを取り出そうとするな!

「これだから」

「バカノ先輩。流石に賭博はやめた方がいいですよ」

「未悠ちゃんまで私をそんな名前で呼ぶんだね」

「あ、すいません」

 ちょっと寂しそうな顔をするが、全部元凶はあんただからな。

「というか、橋本先生は何をやってるんだ……。大問題になりかねない」

「それなら、俺は寝てるから知らん。だってさ」

「責任逃れかい!」

 本当に、生徒会にはろくな人間がいないんじゃないだろうか。というか、こんな調子で、旅行が上手くいくのか、非常に心配である。

「大丈夫だって、生徒会って毎年こんなのらしいからさ」

「だから気持ちを読むな!」

 毎度のことだが、先行きが不安だ……。

作者「あ、橋本先生のこと忘れてた。しゃーない、影が薄いということにしておこう」

橋本先生「作者手を抜くな!」


毎度のことですが、バカノ先輩並みの楽観思考が欲しいと思います。

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