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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
どうして義妹(姉)ができるんだ!
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やらかした……

すっごく遅くなりました。ごめんなさい。

今回はシリアス回です。でも安心してください。章タイトルは回収します。

「疲れました……」

「でも、宗介さん飛行機乗りなれてないんですよね? これからが一番大変なんじゃないですか?」

「ああ、確かに」

 夏乃さんに言われて思い出す。そう言えば、あの父親は飛行機乗るのが大の苦手だった。

 妖怪の街に行って昼ご飯を食べて、今は家に帰るところである。かなり時間ギリギリまで夏乃さんがお土産物屋に止まっていて、電車の時間がギリギリになってしまった。飛び乗った時に相当息が切れた。まあ、間に合ったからよかったのだけれど。

「私もう帰りたいです」

「父さん二日酔いでずっと休んでたのに何言ってるのさ」

 こいつのおかげで占いの店に行けなかったんだからな。

「でも、京香とホントに仲がいいのね。恋人じゃないとしても、異性の友達なんて出来なかったから、ちょっとうれしい。出来れば恋人になって欲しいけど」

「悠杜は女々しい所がありますからね。普通の男子よりは話が通りやすくて楽です」

 女々しいってなんだよ! 別に普通に男子だからね! たぶん。

「だからそんなんじゃないですって」

「知ってる。悠杜君は未悠ちゃんがいいんでしょ? 母親としては京香の方が素敵なんだけど、まあ、未悠ちゃんもかわいいから。頑張ってね」

「だから違うって」

「ちなみにバイト先の店長や生徒会でも公認の仲になってます」

「十条さんまで!」

 僕の周りには黒幕ばっかりしかいないというのか。

「それより悠杜、ここは電車内です」

 口に菓子を詰め込まれる。絶対山科さんたちのせいだろ。

 

 

 

 そしてようやく空港までやってきた。フライトまでは大分時間がある。大体1時間半くらい。これだけあれば、いくらなれてないとはいえ父親でもなんとかなる。はず。

「わかってる? 金属探知機があるから、スマホとか鍵とか、ポケットに入れたままにしちゃだめだからね。それと、念のためにベルトも外した方がいいから」

「わかった」

「それと、手荷物検査の時飲み物持ってちゃだめだから」

「え、ならどこで水買えばいいの?」

「入った後だ!」

 この親父のあんぽんたんさ加減には疲れる。というか、夏乃さんの前で醜態をさらすな。僕が折檻される。

「こっちは終わったけど、宗介さんと悠杜君はどう?」

「この父親が相変わらずで。とりあえず今から荷物預けてきます。くれぐれもそこでじっとしといてよ!」

 頼りない父親になんて任せていられないよ。はあ、疲れた。

 あれ、おかしいな。旅行って本来癒しになるはずじゃなかったっけ。ああ、もう、どんどんどんどん疲労がたまって行っちゃうよ。というか夏休み自体がそんな感じだ。あーあ。

 

 

 

「それにしても」

「それにしても、何ですか?」

 空港のベンチで体を投げ出すとつい言葉が出た。

「すっごく疲れたよ」

「そうですか。私も母親の相手をするのはあまり得意ではありませんし、あなたほどではないが疲れてますけれど」

「あの父親は本当にどうにかならないかな? 普段はもっとしっかりしてるはずなのに」

 山科さんでも疲れるなんてことがあるんだ。そう思いながらお茶を口に含む。もちろん保安検査後に買ったものだ。

「でも、そのおかげでこの旅行は大成功ですよ」

「計画が達成できるっていうのなら、頑張ったかいがあるっていうわけですね」

 あれ、僕ってなんのために頑張ってたんだ? 確か、僕の父親と山科さんの母親を再婚させようって話だったはずなのに。僕のメリットってなんだ?

 ……思い出した。全部こいつのせいじゃないか。何やってたんだろう。

「あれ、悠杜君。計画ってどういうこと?」

「ああ、それは互いの親を結婚させようっていう……、って夏乃さん!?」

 かかってきた声にびっくりして飛び起きると、夏乃さんが同じようにびっくりしたような表情で立っていた。

「え、ちょっと、この、どういうこと?」

「あれ、何があったんだ?」

「ただの聞き間違いです」

 あ、言っちゃいけなかったんだ。

「京香はちょっと黙ってて! 悠杜君! 一体どういうこと!?」

「え、いや、あの、その」

 どうしよう。頼みの綱の山科さんも夏乃さんは聞いてくれそうにない。どうしたらいいの、これ。

「その、一人親って大変だし、誰かとくっついてくれたらうれしいなー、なんて。アハハハ」

 乾いた笑みがこぼれる。

「そうだな、ってそんなわけがあるか! いいか、確かに夏乃さんは魅力的な女性だ! だが、親同士のことに子どもが無理やり首を突っ込むんじゃない! ましてや、本人の意思を無視して結婚させようなんておこがましい!」

「ごめんなさい!」

「出先だからあれこれ言わんが、しっかり反省しろ! それと、父さんは山科さんと話し合わなきゃならん。いいな!」

 そう言って、二人で足早に去っていく。うわ、大変なことになっちゃった。

 っていうかちょっとまって、これめちゃくちゃピンチじゃね? よく考えてなかったけど、めっちゃ怒られそうなんですけど。下手したらこれ勘当ものじゃね? どうすればいいの!?

「っ!」

 頬に鋭く痛みが走る。見ると、右手を思いっきり振りぬいた山科さんが立っていた。

「あんた、さいってい!」

 山科さんは、珍しく泣いていた。けど、珍しいと思う前にやってしまった、申し訳ない、なんて罪悪感がこみあげてくる。

「その、ごめん……」

 返答はなかった。

 影も、なかった。

 泣かせてしまった。女の子を。僕は、何をやってるんだろう。最後の最後で全部台無しにして。いい雰囲気だったのに。自己嫌悪で気分が悪くなる。

 やってしまった……。山科さんに嫌われた。それもあるけど、もう、元に戻れない。それが、悔しくて、悲しくて。やりきれなかった。

作者「バカノ先輩いないと書きづらいなあ。あの人に馬鹿なことさせてたら簡単に文字数稼げるのに。便利なんだよなあ。馬鹿だけど」

バカノ先輩「ほめると見せかけて落とすのやめてくれない!?」

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