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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
どうして義妹(姉)ができるんだ!
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石見銀山行きたかったなあ……

遅くなりました

 その後、僕らは松江城を観光し、宍道湖付近にあるホテルに泊まった。ちなみに山下さんはこの系列のホテルの株主らしい。株主優待が目的だとか。何に使うかわからないから、いろんなところの株主なんだそうだ。それはともかく。

「お父さん、京香さんと夏乃さんの前なんだから、お酒は控えめにしてって言ってるでしょ」

「いーじゃないか、せっかくのろこうなんだ。ほれ、ゆーとものむだろー」

「いい加減にしてって言ってるでしょ!」

 父親の手からビールの入ったグラスを奪い取る。もうろれつが回ってない。こんなにお酒に弱いとは思わなかったぞ。夏乃さんにいいところを見せないといけないっていうのに。

「宗介さんも大変ですね~。普段からお酒をたしなまれるんですか~?」

 しかも、山科さんは夏乃さんの方で手いっぱいのようだ。こっちは、そこまで前後不覚に陥ってないからいいけど。せいぜいぽわぽわしてるくらいだ。

「家じゃほとんど飲まないですよ。そこまで弱かった覚えはないんですけどね」

 肘で小突きながら僕が答える。いいからあんたは黙っててくれ。

「疲れてると、酔いやすいって聞きますからね~。仕事でお疲れなんじゃないですか~」

「そうなのよ。ぶちょーがこれもたのむって。ばっきゃろーが!」

「お父さん! すいません、見苦しいとこをお見せして」

「いえいえ~。片親だとお互い大変ですよね~。うちは京香が頑張ってくれてるので楽なんですけど~」

 この馬鹿親父をどうにか発言できないようにできないだろうか。

「伏見悠杜。こんな醜態を晒すくらいなら、お酒は飲ませないように先に行ってください」

「仕方ないでしょ。まさか梅酒で酔うとは思わなかったんだよ」

 そうなのだ。食前酒として出された梅酒で父親は酔っぱらいやがった。そしてビールを注文しだしたらもう止められない。

「やれやれ、失敗したらあなたのせいですからね」

 こっちの方がやれやれだ。僕の家の家計を抑えてるのは僕なんだぞ。しばらくは出費を抑えなきゃならないよ。

「なつのさんもたいへんですな。ささ、お酒でも」

「あら~。ありがとうございます」

 こら、夏乃さんを酔わそうとするな!

 

 

 

 翌日のこと。

「はい!? 今なんて言ったんです!」

「だから、父親が二日酔いで起きられそうにないって」

「どうする、京香? 2人だけでも行く?」

 大ピンチであった。理由は主に僕の父親のせい。二日酔いでだいぶふらふらしてて、起きられそうにありません。

「そういうわけで、石見銀山にはいけそうにありません」

 往復してると、帰りのフライトに間に合わないんです。どれもこれも全部うちの馬鹿親父のせいだ。よって羽目を外すから。

「いえ、せっかくですから一緒に行きましょう。石見銀山には行けないのはかなり残念ですが」

「面目次第もございません」

 山科さんがこんな反応を見せるっていうことはかなりショックなのだと思う。

「京香がそういうなら私はそれに付き添うよ。でも、それじゃあどこに行く?」

「それ、まったく考えてなかったんですよね」

 とりあえず首の皮1枚つながった……、と思う。

 たぶん。

 それはそれとして、夏乃さんの言う通り、どこ行くか考えないと。

「この辺りは昨日めぼしい所は行きましたから、鳥取ですかね」

「鳥取って言うと、砂丘とか?」

「砂丘は石見銀山より遠いです。それくらい勉強しておきなさい」

 容赦なく言われる。知らなかった。きっとバカノ先輩ならもっとたくさん知ってるんだろうな。あの人、天才だけど馬鹿だから。

「まず思い浮かぶのは、妖怪の町くらいですかね。そこなら近いですし、帰りの飛行機にも十分に間に合うかと。まあ、悠杜のお父さんが早めに起きられればの話ですが」

「だよね、起こしてくる」

「私も行きます」

 そうか。南無親父。あなたのことは忘れない。たぶん死なないとは思うが、頑張ってくれ。

 それにしても、だ。

「石見銀山行きたかったなあ……」

 そんなことを漏らしてしまう。

「どうしたのです? 別にあなたは日本史が好きとかではなかったと思いますが」

「実はそのすぐ近くに、占いの世界ですごく有名な人がいるんだよ。せっかくだからその店に行きたかったなあって」

「そんなところでしたか。ちなみに近くに最近フクロウカフェもオープンしたのですが知ってましたか?」

「知らなかった」

 なるほど、山科さんが行きたがってた理由は深草さんへのお土産用か。合点が言った。

 それにしても、なんでこんなことになっちゃうかな。あーあ。

そしてさりげなくバカノ先輩をディスるのであった。

バカノ先輩「ちょっと!」

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