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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
どうして義妹(姉)ができるんだ!
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聞こえないったら聞こえないんだから!

 その後、搭乗は問題なく進み……、となればよかったんだけど父親がまたやらかした。まあ、そこまで大変なことじゃなかったけど、搭乗するの早すぎだから。山科さんと夏乃さんは苦笑してたけど。

 けれど、飛行機が遅れることもなく、墜落するようなこともなく、無事に島根へと便は到着した。

「チェックアウトにはまだだいぶ早いですけど、どこに行きます?」

 夏乃さんが僕らに尋ねる。

「お昼ご飯も考えた方がいいですよね」

「それじゃあ、せっかくだし出雲大社に行きましょう。ホテルも島根県の東部の方ですから。石見銀山は明日にしましょうか」

 山科さんがそう提案する。実はプランは全部山科さん任せだったりする。だって、何があるかよく知らないんだもの。

「だったら、宍道湖のシジミを食べてみたいかな」

「お酒飲むつもりなんですか……」

 父親が言う。いや、お酒はあんまり飲まないでね? 幻滅されると困るから。

「夏乃さんもそれでいいですか?」

「あ、全然大丈夫ですよ。それにしても、悠杜君は京香とやけに仲がいいんですね」

「そんな、あははは」

 乾いた笑みしか浮かんでこなかった。


「ねえ、お母さん、何か僕たちの関係勘違いしてない?」

 移動中、親2人の目を盗んで山科さんに話しかける。

「してるでしょうね。恐らくは恋仲にあると勘違いしてるかと」

「ちょ! それ!」

 思わず叫んだところで山科さんから口をふさがれる。というか、まったく顔を赤く染めずにそういうことを言わないで欲しい。

「とりあえず落ち着いてください。それに、そっちの方がいいんです。まったく何もないと思わせるくらいなら、そちらの方がいいかと」

「でも、義理の姉弟になるんだよね? だったらそれはまずくない?」

 そうだ、そういうことも問題になってくると思う。一番は僕の気持ちの問題だけど。

「問題ありません。義理の兄妹は結婚できますから。もちろんそのつもりはありませんが」

 まったく表情を変えずに山科さんが言う。はあ、疲れる。

 そんなことを考えていると、父親の声が聞こえてきた。

「それにしても、うちの息子は浮ついた話に縁がなくて。心配していたところに京香さんを紹介されましてね。うちの息子も隅に置けないやつです」

「いやいや、悠杜君のことは京香からいろいろうかがってますがいいお子さんじゃないですか」

「2人とも勘違いだからね! 付き合ってないからね!」

 まさかもう誤解されてた!?

「悠杜? 聞こえてたのか?」

「聞こえてるよ! 絶対違うからね! 僕が山科さんと付き合ってるとか、そんなことじゃないから! 誤解しないで、単に生徒会で仲いいだけだから!」

 こいつら、早とちりもいい所だ……。

「そうでしたね、悠杜の思い人は他にいるのでしたね」

「いや、それも違うからね!」

 悪戯っぼい顔をして山科さんが言う。だから、深草さんのことも違うんだってば。僕は誰とも付き合う気はないんだから!

「さて、どうでしょう」

「そうなんですね。びっくりです」

「ええ、まさか他にもかわいい子がいるのか?」

 おい、そこ3人! 変な目で僕を見るな! 見るなったら見るな!

 

 

 

「ここが出雲大社か。なんというか、神聖な雰囲気を感じるな」

「パワースポットって感じですね」

 バスから降りるなり親2人が言う。

「正式には、いずもおおやしろって言います。それから、参拝の方法ですが普通の神社の二礼二拍手一拝と違って二礼四拍手一拝なので注意してください」

「へえ、そうなんだ」

 山科さんの言葉に感嘆する。

「京香はどこかよくわからないところから知識を仕入れてくるのよ」

「そうなんですか。そういえば、生徒会にも1人、妙なところから全く役に立たない雑学を突っ込んでくれる人がいますよ」

 要するにバカノ先輩だけどね。そのおかげで無駄知識ばっかり増えてる。

「僕が知ってるのって、すごく大きなしめ縄があることと、昔はすごく大きかったていうぐらいですからね」

「10月には、神様が全員出雲に行くので旧暦の10月のことを神無月って言うとかぐらいですね。私も」

 ああ、そろいもそろって情けない知識しか持ってない親子である。

「ちなみにその神無月ですが、島根では神在月とも呼ばれます」

「あ、それは聞いたことあった」

 バカノ先輩に。

「ちなみに、その人って悠杜が好きな人か?」

「え!? 急に何言うのさ! 樟葉先輩はそんな人じゃないよ。ずっとからかい続けてくるような人だし」

「案外、悠杜のことが好きなのかもしれないぞ?」

「それだけは絶対にない。自分でもからかうのが好きって公言してるくらいだし」

「そうか、残念だ」

 おい、父親。僕に恋人を作れとか、もっと遊べとか言うつもりじゃないだろうな。いや、そうかもしれない。こいつも十条さんと同じで裏から手を回してそうな黒幕のにおいがするもの。

「まあ、でも、悠杜はお参りした方がいいと思いますよ」

「頑張って彼女作らないとだね、悠杜君」

「そうだな、しっかりお参りしとけよ」

 3人からそんなことを言われる。え? なんで?

「だって、出雲大社は縁結びの神様ですよ。お姉さ……、失礼愛しの未悠ちゃんとの仲を取り持ってもらわないと」

「へえ、悠杜の好きな子の名前は未悠って言うのか。かわいい名前だな」

 しまった! 完全にそのこと頭から抜け落ちてた! 僕の馬鹿! なんで縁結びの神社なんかを選んじゃったんだよ! これも山科さんの策略か!

「ち、違うから。深草さんと恋人になりたいとかそんなことはみじんも! 一ミリたりとも思ってないんだからね!」

「まあ、頑張れよ」

「京香じゃないのは残念だけど、おばさん、応援してるから」

「違う違う違う違う! 違うったら違うんだ!」

 お前らそろいもそろって言うことを聞かないんだから!

「悠杜の様子見てると未悠ちゃんが好きなのバレバレですしね」

 山科さんの台詞なんて聞こえないったら聞こえないんだから!

久しぶりに2日連続で更新できました。やった。

それにしても、ここまで認めないって。深草さんは恥ずかしがり屋で告白なんて出来そうにないし、どうすればいいんでしょうね……

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