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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
どうして義妹(姉)ができるんだ!
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従妹を変なことに巻き込まないで!

 いつの間にか、夏休みも半分が終わっている。

 宿題は、やったというかやらされたから、すでに余裕がある。後はのんびりバイトか何かに勤しんで過ごしたいなと思っていたが、なんか、すごく忙しい気がする。というか、すごく疲れた気がする。

 なんでだろうな、夏休みって休むものじゃないのかな? なんでこんなことになったんだろう。あ、主にバカノ先輩のせいか。

 そんなことを言っている今日は、山科さんたちと遭遇するように仕向けた島根旅行である。わざわざそんなことしなくてもいいだろうに。そう思ったら、山科さんは言っていた。必然を運命ととらえることで、相手を意識するようになるのだとか。よくわからない。とりあえず、山科さんには従うに限るからね。

「それにしても、飛行機に乗るなんて久しぶりだな」

「いつもは新幹線ばっかりだもんね」

 父親とそんなことを話す。飛行機には乗りなれてないので、搭乗時刻の2時間前にやってきた。ちなみに朝食も空港で食べる予定だったりする。そこで山科さんたちとばったり、という計画だ。

「えっと、まず保安検査だっけ?」

「まず、搭乗手続きをして、荷物を預けないと。保安検査はその後」

 父親が不安になるレベルである。出張とかほとんど行かないからなあ。行くとしても、新幹線がほとんどなので、かなりつらい。修学旅行でボストン行くとき大丈夫かな、なんて柄にもなく思ったりする。

「ああ、そうだったな」

 なんでだろう。普通の旅行のはずなのにすごく気疲れがする。それに、心臓もバクバクなってきた。ああ、緊張か。というか、僕役者じゃないんだけど。不安だなあ、ボロ出さないか。

 

 

 

 途中、これと言った問題もなく、保安検査を終えた……なんて言いたいところだけれど、実際はそうではない。おい、ペットボトルの飲み物を手荷物で持ち込もうとするのはやめてくれ。息子の僕まで恥ずかしくなる。それから、金属探知機に引っかかるからスマホはポケットから出してくれ。馬鹿丸出しじゃないか。はあ、疲れる。これ、癒しになるんだろうか。

 あ、いや、山科さんが企画した時点でなるわけなかった。

「それで、飛行機に乗り込めばいいのか?」

「あの、まだ搭乗1時間半前だから。飛行機たぶんまだ来てないから。それより、朝ごはん食べようよ。友達から聞いたんだけど、このカフェおいしいらしいぞ」

「そうか、朝ごはんまだだったな。そこに行ってみようか」

 ちなみに、このカフェを選んだ理由は自由席だからである。そこで、さりげなく、入ってきた人の目につきやすいように入り口近くの席に陣取る。……予定だったが埋まっていた。仕方ないので見えやすい位置に座る。ちなみに4人席だ。

「朝は軽めにしたいよな」

「僕は結構お腹減ったから、この茄子とトマトのスパゲティで」

 ちなみに嘘である。あんまりお腹は減っていない。まあ、食べきれるとは思うけど。あえてスパゲティにしたのは、できるだけ長くこの店にとどまるためである。まあ、たぶん、食べ終わるまでに来ると思う。

 

 

 

 遅い。

 この店に来て30分、すでに食べ終わってしまった。スパゲッティは早く食べないと伸びるからね。

「よし、悠杜も食べ終わったことだし、そろそろ行こうか」

「いやいや、まだ、大分時間があることだし、もうちょっとゆっくりしていこうよ。ほら、何か飲むとか」

「しかし、何も食べずにいるのは迷惑じゃないか」

「あ、コーヒーパフェなんてあるよ。ほら、お父さんコーヒー好きだったよね」

「あ、まあ、そうだが」

「せっかくだから頼もうよ。すいませーん!」

 そう言って無理やり店員さんを呼ぶ。頼むから早く来てくれ山科さん!

 

 

 

 その後、約20分ぐらいして山科さんはやってきた。既に手持無沙汰になってからになったコーヒーカップをすする振りをしてるんですけど。

「あれ、悠杜君?」

「その声は、山し……、京香さん?」

 人にらみされて言われたことを思い出す。そうだった。

「あ、夏乃さんに京香さん。お久しぶりです。こんなところで会うなんて奇遇ですね」

「ええ、そうですね。旅行に行く前にちょっと朝食を、と思ったんですけど」

「だったら、悠杜君と一緒に食べない? ちょうど席も空いてるみたいだし」

 親2人と山科さんがどんどん話を進めていく。うん、粗を出さないようにステルスに徹する方がよさそうだ。

「悠杜はそれで大丈夫か?」

「うん、全然オッケー」

 一応、質問にだけ返す。

「じゃあ、失礼しますね」

「ええ、どうぞ」

 さて、山科さん。頑張ってください。

「ところで、悠杜君たちはどこに行くんです?」

「島根です。悠杜が島根が熱いって言いだしまして」

「奇遇ですね、私たちも島根なんです。うちも京香が島根を押してきまして」

「そりゃすごい。向こうで会えるといいですね」

 父親がそういうことを言って愛想笑いを浮かべる。

「ということは、便は同じになるのかな?」

「たぶん、そうなんじゃないでしょうか」

「ちなみに、悠杜君はどこに泊まるの。私たちはホテルエディンバラ島根ってところなんだけど」

「そうなんですか? 私たちも同じなんです」

 ちなみに、このホテルにした理由は、山科さんが株式を持っているかららしい。すごいことになってるな。

「せっかくだから、悠杜君も一緒に回る?」

「いいですね。名所とかよく知らないので」

 一応、このセリフだけは打合せはしていたりする。

「すいません、ご一緒してもいいですか?」

「ええ、全然。普段の京香の様子とかもうかがいたいですし」

 よかった。予定通りに進めそうだった。


 その後、山科さんたちも食事を済ませ、搭乗口のソファーに座る。僕と山科さんは2人親を置き去りにして話し込んでいた。

「来るの遅すぎです! 1時間も待ってたんですよ! あそこで合流できなかったらどういうつもりだったんですか!?」

「というか、あなたたちが来るの早すぎなんです。一体なんでそんなに前に来たんですか」

「だって、乗りなれてないから」

「それぐらい早く言っておいてください」

 にべもなく一蹴される。

「それと、本題に入りますね。あなたの従妹の水無瀬葵さんですが、なかなか見どころがありそうです」

「はい?」

 ちなみに山科さんに呼び出されて2人きりになったのでした。てっきり作戦会議かと思ったのだが。

「ですから、あなたの従妹の葵さんですが、こないだ海に行ったときに親衛隊のメンバーとしてなかなかいい素質を持っていると思いまして。親衛隊にスカウトしたのです。ひょっとしたら幹部にも慣れるかもしれませんね」

「ちょっと、それはやめて!」

 従妹を変なことに巻き込まないで!

 でも、山科さんは僕の話を聞かない。そういえば、そういう人だった。

「本人も乗り気でしたし、中学に入ったらですが本格的に指導していこうかと思っています」

 そう、一言告げたのだった。従妹が毒されていくよ……。

更新頻度、最低週1は守りたいなあ

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