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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!
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フクロウ目当てだよね、きっと!

 山科さんに昼ごはんを口に詰め込まれた翌日、土曜日。僕はバイト先の店に来ていた。

 フクロウカフェ『シャルロット』、僕の家の近くにあるバイト先で、僕の占いの師匠である十条千秋(じゅうじょうちあき)さんが店長を務める店だ。十条さんは、占いが得意で、僕にいろんなうんちくを話してくれる。長めの髪の毛が不思議な印象を与え、雰囲気を助長してくれるし。武道も習っていたそうで、とても強い。本人はあまり話さないけど絶対金持ちだ。大学卒業してすぐこの店を作ったって言ってたし。ちなみに開店したのは僕の入学と同時だったりする。イメージとしては『隠者』かな。でも、フクロウたちが大好きで、もともとは家で買っていたフクロウを、もっと見てほしいと思ってこの店を開いたそうだ。フクロウたちもとても慕っている。

 『シャルロット』の店内では、フクロウグッズも売っていて、あちらこちらにぬいぐるみやらキーホルダーやらが置いてある。こういうところをみると、十条さんにも女々しいところがあるんだなあと思う。

「やあ、悠杜君、ごくろうさん」

「こんにちは」

 時刻は午前9時。店に訪れた僕に、十条さんが微笑み返す。僕もカウンターの奥に入って、コーヒー豆を焙煎し始めた。最近、ようやくこの仕事を任されるようになった。

「フクロウたちは元気でしたか?」

 僕のシフトが入っているのは土曜と日曜。前に着てから一週間、フクロウたちのことも少し心配ではある。

「ああ、ちょっと元気すぎて心配なくらいだよ。特にアルとかね」

 アルというのは、この店の看板娘の一人だ。本名アルフレッド、アカスズメフクロウのオスでとても活発な性格をしている。十条さんが一番最初から飼っていた二人のうちの一人だ。

「あとは、ソフィアとかもですか」

「ああ、彼女はいつも元気だよ」

 十条さんがフクロウたちにえさをあげながら言う。シロフクロウのソフィアも十条さんからえさをもらっていた。

 休日にフクロウたちと戯れるのって、平和だなあ。




「それじゃあ、いつものやろうか。私がお客さん役をやるから、占ってね」

 準備が終わった店内で、占いの極意を教えてもらう。もともとそういう話でバイトに入ったしね。開店時刻までの暇つぶしだ。

 ちなみに僕と十条さんの出会いは僕が小学生だったころにさかのぼる。当時から占いが好きだった僕は、従姉に連れられて行った文化祭で占いの館をやっている十条さんに出会った。そこで雰囲気を醸し出す十条さんに思わず弟子入りを祈願し、なんやかんやあって今の関係に落ち着いている。その途中でフクロウに関して熱く語られて今ではちょっとフクロウに詳しい。

「それでは、何を占いたいか教えてください」

「え~と、それじゃあ、恋愛運をお願いします」

「あ、はい。では、タロットカードを混ぜますね」

 そう言ってタロットカードを混ぜて一枚引いてもらう。引いたカードは逆位置の『月』だった。

「意味は過去からの脱却といったところでしょうね。おそらくですが状況は徐々によくなっていくでしょう。現在付き合っている人がいるなら発展し、もしいないなら、好きな人と近づくでしょう。ただ、あくまでも徐々にですので、油断するのは禁物です」

 そう言って、僕は息を吐いた。十条さんから講評をもらう。

「基本はしっかり押さえてるね。カードの意味も間違ってない。でも、様子が不安そうに見える。これじゃあ趣味で知り合いにできるくらいかな。でも、お金を取ってやるのは無理だね。そういう人って、何かしらの大きな決断をしようとしていることがたいていだよね。占い師の言ったことが大きく影響する。でも、そんな状況で不安そうな占い師に自分の人生を委ねようと思うかな。私だったらそうは思わないね」

「はい」

「悠杜君はちゃんと自信を持って。占い結果だけじゃなくて、自分自身にもね」

 十条さんはそう言って意味ありげに微笑んだ。自分自身に持って、どういうこと? まさか深草さん関連じゃないよね。って、妄想が過ぎるよ! 平常心平常心。

「それじゃあ、店を開けるよ」

 そう言うと、十条さんは表へと出て行った。さあ、今日もバイトが始まるぞ。




 時刻は午後3時、閉店まであと3時間ほど。

「そろそろだね」

「そろそろですね」

 十条さんと顔を見合わせる。いつもなら、そろそろ彼女がやってくる時間だ。

「こんにちは~」

 そうして、深草さんがやってきた。満面の笑顔で。

 別に僕目当てとかじゃないからね! フクロウ目当てだよね、きっと!

17/10/29:十条さんのタロットカードを追加しました。

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