プロローグ〜邂逅は必然〜
初めまして。今回はライトノベルの様なミステリー小説なので軽い感じで読んでくれれば幸いです。初投稿なので多目に見て欲しい点はございますが、よろしくお願いします。評価やコメントなどお待ちしております。では。
街のはずれにある古びた屋敷。
其処には誰も住んでいないと噂されており、訪れる者もいないという。
しかし、桜咲く春の日に独りの女の子はやってきた。
「失礼しま〜す...って誰もいないか」
彼女は恐る恐る玄関の扉をギィッと開けると中に進入していった。
彼女はこの時、安堵していた。
開けた玄関の扉には錠がされていなかったからだ。
真逆、屋敷に人が住んでいるなんて考えてもいなかった。
「案外...綺麗じゃん」
彼女は古びた外見とは裏腹に屋敷内が綺麗にされていることに違和感を感じていた。
しかし、彼女も目的がありこの屋敷に来たのである。
ーーあえて人気の無いこの屋敷を。
「ここの部屋はっと...よし!ここにしよう」
幾つかの部屋を物色すると気に入った部屋があり、そこに入って行った。
彼女は昔から独り言の多い子だった。
しかし、明るく真面目で、誰よりも優しかった。
そんな彼女がせっせと用意しているのは人が1人吊られても切れないような頑丈なロープである。
彼女は上手い事ロープを垂らし、輪を作っていた。
所謂、首吊り自殺である。
「...よし。この椅子を借りてっと」
彼女は近くにあった椅子を手繰り寄せて、ロープの真下に置いた。
彼女の顔つきが先程と反転した。
彼女は椅子に立ち、ロープの輪の中に首を入れた。
「これで椅子を蹴ればOKなんだね。案外楽だなぁ」
彼女はどこか思い残した顔をしたがそれも一瞬。
ガタリという音が鳴ったと思えば彼女の身体は地を離れていた。
彼女は薄れゆく意識の中ギシリギシリとロープが鳴る音だけは鮮明に聞こえていたという。
どさり。
何かが落ちる音がした。
意識もだんだんとハッキリしてくる。
「おいおいおいおい。やめてくれよ僕の屋敷で心中とか。随分と野蛮な女の子がいたもんだ」
彼女はあまりの事にギョッとした。
何故なら人気のない屋敷を選んだのに男性の声がしたからである。
「おやおや、こりゃあ酷い...」
彼女は喉の痛みがだんだんと引いてきて楽になると其方へ振り返った。
「けほっ...貴方は?」
「其れは此方の台詞だよお嬢さん?」
彼女は質問を質問で返されカチンと来たが先客の場合、自分が惡なので苛つきを抑え回答をした。
「私は...愛川マユ」
しかし彼はただただ、じぃっと見ているだけだった。
マユは無言の拍がただただ長く感じていた。
マユは焦りに似た何かを感じると彼は遂に話し始めた。
「マユ...愛川...成る程。ふむ・・・判ったよ。君は自殺をする為に此処に訪れた。間違いないね?」
「えっ?!」
マユは此処に来てから二回目の驚きだった。
自分は自殺の事を話していないのに彼が突き止めたからである。
しかし、それは切れたロープを見れば分かる話。
大体の人間は天井からロープが垂れていれば自殺を疑う。
マユが本当に驚いたのはそれだけではなかったからだ。
その後に彼が自殺した理由すら当てたからである。
「マユちゃんは、ふむ。そうか・・・彼氏にフラれたのか。そして自殺を行なったと」
「どうして?!」
マユは思わず声を荒げてしまう。
すると彼は目を細めながらこう言った。
「私はしがない探偵さ。名探偵と呼んでくれ給え」
マユと名探偵の初めての邂逅であった。