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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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73.温泉の効果と、浴槽作り

 すっかり日が落ちてしまったが、俺は温泉づくりを続行していた。


 裏庭に温泉予定地として掘ったくぼみがある。

 そこに温泉水を出してみた。


「おー、結構勢いよく出るな」


 湯気が立つ温度のお湯が、くぼみに溜まっていく。 


「魔力の濃度の方は、どんなもんかな」

「ええと……十分、薄くなってます。これなら普通の人でも入れますね」

「おお、良かった良かった」


 リンゴジュースを薄めまくった経験で、魔力の薄まり方ってものをなんとなく理解していたのが、功を奏したらしい。

 

「うん、水で薄めたからか、ちょっとぬるめの温度で良い感じだ」

「あ、本当ですね」


 溜まった温泉水に二人してちゃぷちゃぷ触れる。

 これは、長湯してしまいそうな温度だ。


 裏庭は広くて、景観も悪くない。

 屋根とか、そのほかの設備はまだ作っていないが、空の月や星が良く見える。


「うん。上手く作れば、月見風呂とかもできそうだな」

「あ、良いですね。今度、お供させてください」

「おう」


 中々良い露天風呂が出来たんじゃないか、と思うんだが、


「あのさ、サクラ」

「はい、なんでしょう?」

「さっきまでこっちを見ていたモンスターが、ちょっとずつ遠ざかっているのは気のせいかな?」

「ええと……気のせいでは、ないかと」


 そう、今日の昼からゴーレムに相手をさせていたモンスター、スライムがこの温泉からジリジリと遠のいているのだ。


「……」


 あまりに不自然な動きに気になった俺は、樹木で作ったオケで温泉水を掬う。

 そして、スライムに向けて、ばちゃっ、と温泉水を撒くと、


「――!!」


 モンスターたちは、脱兎のごとく、必死の形相で逃げていった。

 野生の勘という奴なのか、危機を感じたのか、分からないが、


「入ったらやばい物質とか、混じってんじゃないよな……」


 ここまで逃げられるとは思わなかったぞ。

 それとも、薄め方をミスったんだろうか。


「いえ、そんな事はありません。主様の薄め方はかなり絶妙なラインでして、ちゃんと人でも耐えうる程度の温度と魔力濃度になっていますよ」


 それならいいんだけどさ、なんでモンスターが避けてるんだろうか。


「うーん、魔力の溶けた水が苦手なモンスターだった可能性はありますね。スライムとか水にとけちゃいますし。この温泉に危険成分とか、入ってませんしね」

「ふうむ、スライム避けの温泉ねえ」


 ちょっと不安だけど、人体に影響がないんだったらいいか。


「んじゃ、あとは温泉っぽく、岩の浴槽とか作るか。このまま穴をむき出しって訳にもいかないしな」

「はい。岩はどこからか削り出しますか?」


 それも考えていたんだが、この温泉を作るにあたってひとつ考えていたことがある。


「この前落ちてきた、でかい竜の鱗を使えば良いと思うんだよな」


 つい先日落下してきて、庭の邪魔になっていたデカイ鱗が利用できるんじゃないかと、ずっと思っていたんだ。


「なるほど。これならば岩よりも硬いですし、それでいて軽めですから、加工は楽ですね」

「ああ、ただ、これ一つしかないからな。失敗しないように加工の専門家に色々と聞こうとは思っているんだ」

「専門家というと、ヘスティちゃん、ですか?」

「ああ、昼間はまだ寝ていたが、そろそろ起きてるだろうしな」


 竜の事は竜に尋ねるのが一番だ。そう思って、俺はゴーレムに星竜王の鱗を持たせて、ヘスティの小屋に向かうことにした。



 小屋を訪ねると、ヘスティは既に起床していた。

 そして申し訳なさそうな顔をしていた。


「我、街で寝ちゃってたのに、運んで、くれたの……。御免なさい……」

「おいおい、謝られることじゃないって。気にするなよ」


 俺だってヘスティに運んでもらって街まで行ったんだからさ。

 おあいこだ。


「ん……でも、寝ちゃったのは、我の、不注意だし……」

「気にしすぎだ。俺が眠い時はヘスティが背中に乗せてくれれば、それでいいしな」

「分かった……。今回は、ありがとう……」

「おう」


 この竜王は、なんだかんだ背負い込み癖が抜けてないから大変だなあ。まあ、それは良いとして、


「ヘスティ、ちょっと加工に付いて聞きたいんだけどさ。この星竜王の鱗、砕いて温泉の浴槽にしようと思うんだが、注意点とかあるか?」


 そう言って、小屋の外にある巨大な鱗を見せた。すると、ヘスティは首を傾げた。


「ん、……なにこれ」

「落ちてきた星竜王の鱗だけど?」

「こんな、塊で振ってきたの?」

「おう、そうだけど」


 そういえば、ヘスティは落下してきた瞬間や、落下してきたものを見ていなかったっけか。


「ん、みてない。これが、落ちてきたの……」


 ヘスティは頬をかいた。


「何かおかしいのか?」

「うん、脱皮だったら、こんな塊で、落ちて来ない筈、なんだけど。――ちょっと、調べても、いい? 今夜中に、済ませるから」

「ああ、急いでないし、別にかまわんぞ」


 何かしらおかしい所があるなら、よく知ってる奴に調べてもらったほうがいいしな。


「ん、じゃあ、今夜は、預かる」

「おう、調べ終わったら言ってくれー。俺は寝るから」

「ん、分かった」


 そして、俺はヘスティに星竜王の鱗を預けて、家に戻ることにした。

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