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2.可愛い家の精霊と魔力

 ドラゴンと魔女たちを一声で一掃した後、


「主様、主様……」 


 布団にくるまる俺を揺する声が聞こえた。


「んん……なんだ……」

「お昼が出来ましたよ、主様」


 目を開けると、そこには、可愛い和服の女の子がいた。

 というか膝枕していてくれた。


 とてもやーらかくて、とても温かい。


「三度寝しちまう……」

「ふふ、主様ったら……」


 でも、あれ? 


 なんでこんな子がウチにいるんだ。


「……俺……家の鍵、閉め忘れたっけ……?」

「いいえ、しっかりしまっていましたよ。そもそも私は主様以外を入れたりしません」


 そうなのか。だとしたら、


「……なんで俺の家に女の子がいるんだ? あんたは誰だ?」

「あっ……申し遅れました。私はサクラと申します。主様が所有されている、今お住まいの家の精霊です」


 ほうほう、家の精と来たか。

 なるほどね、流石は異世界。


 家が可愛い子に擬人化するとは。


「私も驚きです。こちらの世界に来たことで、存在が濃くなりましたから。生まれて数十年、ようやく主様と面会することが出来ました。このサクラ、主様の所有物として、とてもうれしく思います」


 サクラは頬を染め、頭をぺこりと下げて、その場でみつゆびをついて言って来た。


 その頭には、さくらの花弁をかたどった髪飾りが付いている。


「さくら……さくらか」


 そういや、ウチの大黒柱は桜の木だったような気がするな。


 名前はそこから来ているのだろうか。


「感動です……! 主様に存在を覚えておいて貰えるなんて……!!」


 言うと桜は顔を赤らめて喜んでいる。


 祖父がずっと言い続けてくれたので覚えていたのだ。

「――これだけ立派で太く長い桜の大黒柱は珍しいんだぞー」と。


「ありがとうございます。そして事後報告になりますが、勝手ながら冷蔵庫の中身を使ってお昼ごはんを作らせていただきました。世界を移動して、お腹も減っているでしょうし、どうぞ、召し上がってください」

「おお、ありがとう」


 そして、さくらに用意した昼ごはんを食べながら、俺は彼女に尋ねてみた。


「なあ、さくら。君は異世界の事も知っているみたいだが、なんでこの家と俺が召喚されたんだ?」


 魔女の奴らは魔力がどうのこうの言っていたけどさ。


「それは主様の所有する私――つまりこの家と土地が、魔力を貯めこむ魔力スポットだったからなんです」

「へー、魔力スポットねえ」


 いかにも魔法とかに関わってきそうなワードである。


 そういえばさっきの魔女っ子連中は地脈とかいっていたっけ?


「あの小娘たちは理解が浅いので混乱させてしまっていますが、正確には龍脈と言います。まあ、力のたまり場と言った方が分かりやすいのですが」


 なるほど。

 微妙に分からないが、力が一杯集まってる場所だった、ということか。


「いえ、場所だけではありません。主様にも、同じだけの力が集まっています」

「ええ?」

「……もしかして、主様は気づいていないのですか? その体に貯めこまれた力に」


 貯めこむ? ちょっと意味が分からない。

 

 俺が貯めこんでいるのは、社畜時の慢性疲労と、二十数年分の愚息の使い道くらいじゃなかろうか。いや、下ネタに走ったけど、実際、特別な何かが溜まってはいる実感がない。


「いえ、そんなわけがありません。生まれた時から私に住んできた主様には、龍脈のエネルギー、つまり魔力がパンパンに貯めこまれているのですから」


「そういえば、怒鳴っただけで物凄い衝撃波が出たな」


 もしかしてあれのことか。


「はい! ただ、それは力の一端。ほんの片鱗ですので――論より証拠。色々と使って確かめた方が実感できると思います」


「おう、そうか。じゃあ、この後使ってみるよ」


 にこにことほほ笑むサクラ。

 そんな彼女と共に、俺は、魔力の使い方を調べることにした。

続きは夕方に更新。しばらくは二~三話ずつ掲載していきます。

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