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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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-side ディアネイア- 竜と姫の行方

 マナリルのライブを二日後に控えて、ディアネイアはアンネの店を訪ねていた。


「ご注文の品はこちらで良かったですかね?」


 そう言ってアンネがカウンターテーブルに並べたのは、親指程の小さい瓶の詰め合わせだ。


「ああ、初級ポーションを百個。ありがたく受け取らせて貰う」

「お買い上げありがとうございます、ディアネイア様ー。でも、そんなに沢山の初級回復薬、何に使うんですか? あまり重病とかは治せませんよ」

「……重病も直せるポーションを取り扱っている辺り、なんだかおかしな気もするが、これはこれでいいんだ。救護班に渡すものだからな」

「救護班?」


 アンネは首を傾げている。恐らく、武装都市にはそう言った仕組みは無いんだろうな。

 だからディアネイアは説明する。


「イベントを開くたびに、急なけが人などが出た時に備え、救護班を設置しているんだよ。街中でも即座に処置できるようにな」


 市政の一環だ。プロシアは国の中でも比較的平和な方だが、荒くれ者がいないわけでもないし、祭りでハメを外すものも多くなる。

 その為に、こう言ったものは用意しておくに限る。


「――ただ、先日の祭りで機材や資材が消耗していたから、どこかで補給をしなければいけなかったんだよ」

「そうだったんですか」

「うむ。――あとは、アテナが使う用に個人的に欲しいというのもあった」

「あー、そういえば、アテナ様は、カレン姉様と一緒に修行中でしたっけ」


 アテナとカレンの二人は最近、街北部にできた畑のダンジョンに入り浸っていたりする。

 既にダンジョンマスターを潰してあり、あとは在住しているモンスターをせん滅するだけの場所だから、そこまでの危険はないダンジョンだ。


 ……そっちに行っている方が、今回の街の騒ぎに巻き込まれる事がなくて良いよな……。


 カレンも付いているし、心配がいらないのは有難い。

 ただ、最近は、


『お姉さま。ダンジョンって……穴を掘って土にまぎれれば眠れるんだねー』


 などと体に擦り傷を作りながら言っていたりする。

 だいぶワイルドになってきていたのが、別の意味で心配だった。


「凄いですねえ。カレン姉様のスパルタ振りも、それに付いていくアテナ様も」 

「なんでも『ダイチお兄さんの傍で過ごしていた時と比べれば、全然平気だよ!』らしいぞ。気持ちはとても分かる」

「ああ……なるほど」


 アンネも納得してくれたようだ。

 確かに、ダイチと出会って交流していれば大抵の恐怖には勝てるようになる。ディアネイアも実感としてそれはある。

 圧倒的な力を前にした経験があれば、ダンジョン程度は平気だろう。


「まあ、でもダイチ殿は基本的に優しいから、優しくないダンジョンで特訓するのは悪いことじゃないな」

「そうですねえ。ダイチ様と違って、ダンジョンのモンスターは容赦がないですから。あの中で過ごすと警戒心が強くなって、野生化する冒険者も多いですし」

「まあ野生化しても、王としての所作は消えていないので、問題ない。だが怪我を残すのは不味いので、個人的に薬を買い付けに来た、というわけだ」


 妹の成長ぶりを見るのは楽しいし薬の買い付け位ならしてやりたい、とディアネイアは日に日に強くなっていくアテナの姿を思い浮かべる。そして、

 

 ……自分も、追い抜かれないように頑張らねば。


 思いながら、ポーションの束を袋に詰めていく。


「アテナも頑張っていることだし、私もマナ殿のライブを上手く成功させなければな」


 そうつぶやいた瞬間、店の奥からラミュロスが出てきた。


「そうだねー。失敗して、カトラクタとの戦いになるのは勘弁だからねー」


 どうやら先ほどまでの話を聞いていたらしい。

 ただ、目をこすっているから寝起きだろうか。


「ああ、ラミュロス殿。おはよう」

「うん、おはようディアネイアさん。それと、御免ねアンネ。手伝わないで寝ちゃって」

「いえいえ、お気になさらず。というか、ラミュロスさまは当時の戦いを知っているんですね。私は当時、まだ生まれていませんでしたが……」


 アンネの言葉に、ラミュロスはこっくりと首を縦に振って喋り始めた。


「丁度百年前かなあ。やばかったよー。ボクとヘスティとマナリルと、もう一人の竜王で戦ったんだけど、攻撃が上手く当たらなくて持久戦になって、この辺りの水が駄目になるところだったしー。どうにか封印まで持ちこめたけど、もうやりたくないねー」


 聞けば聞くほど怖い話だ。

 カトラクタの危険性を知ってから、街の為に水脈のチェックなどはしているが、


 ……最近は水に含まれる魔力の数値が高くなってきているのだよな。


 不安は強まっていく。だからこそ、ディアネイアは強く決心する。


「……成功させねばならんな。そして、ライブは明後日だが、お二人にはまた協力を頼むと思うが、よろしく頼んでもいいかな?」

「ええ、了解です、ディアネイア様」

「分かったよー。任せてー」

「ありがとう。感謝する……」

 

 出来るだけの準備はしておこう、とディアネイアは動きを続けていく。


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