嘘
ねぇ、こんな話はどうかな。
朝学校に行くと、海になっているの。
廊下も階段も水浸しで、小魚が泳いでいたりして。
あんまり深いと歩くのが大変だから、浅瀬のイメージ。
でも泳ぐのもいいね。
中庭を使おうよ。
地面から三階くらいまでを海にしよう。船を浮かべたら楽しいよ。
もちろん、海の中では息が出来ないとね。わたし、泳げないから。
ねぇ、こんな話はどうかな。
校舎が高層ビルのようになるんだ。
籤で教室を決めるから、上の方の階になった生徒は大変さ。高速エレベーターは順番待ち。さぁ、どうしようか。
風?
なるほど。地下から風が吹き上げてくるんだね。それに乗って上に行く。いいね。
大きな鳥の背に乗せてもらうのもいいかもしれない。
そうだ、教師が鳥っていうのはどう?面白くないかな。
鳥の先生に何を習う?
空の飛び方?
おいしい木の実の見つけ方かな。
砂糖のように甘い植物があるといいんだけれど。
ねぇ、こんな話はどうかな。
校舎に雨が降るの。外じゃなくて、室内によ。
校舎はドームのかたちがいいわね。未来っぽくて素敵でしょう?
そう、ドーナツの上に半円を乗せたような感じ。分かりにくいかしら。
ドーナツの穴の部分は、中庭…いえ、植物園にしましょう。
植物園は、ダムの役割も果たすの。校内に降った雨は、水路を通って植物園に溜まっていく。
そうね、海のイメージと重なってしまうわね。
ああ、わたしは本当に想像力が足りないわ。嫌になってしまう。
じゃあ、ええと。
文字通り「雨」が降るというのはどうかしら。
ふふふ。面白い?
どんな音がするのかしらね。
ねぇ、こんな話はどうかな。
校内に、迷路が出来るんだ。
透明なプラスチックのドミノ、分かる?そう、それを組み合わせて作ったような迷路。
透明だから先が分かりそうなものだけど、中々ゴールまで辿り着けないんだ。
うん。一人だよ。誰もいない。
怖い?
大丈夫だよ。学校なんだから。
ねぇ、こんな話はどうかな。
学校に着いたら、真っ暗なの。
そう。夜なの。
夜に登校してもいいじゃない?
一人で森を抜けて教室まで行くの。
途中、どこか街を通ってもいいかもしれない。
どんな街?
朝でも昼でも夜でもない、そんな街よ。
そうしてやっと教室に着いたと思ったら…
全部夢だったの。ふふふ。
ねぇ、こんな話はどうかな。
僕等の居る場所に…




