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第七魔導小隊戦記(仮)  作者: 仙崎無識
第一部:魔導師試験
22/54

魔導師試験ニ日目:団体試験(3)~控室での戦略決定~

とりあえず、だ。



相手が魔導師試験合格最有力候補だろうが、異形の魔物(イムラーク)だろうが、始めにやることはただ二つ。



深呼吸と作戦会議だ。


一人ならば、あとは野となれ戦場の華となれだが、今回は第七小隊(チーム)だ。負けるわけにはいかない。


勝って合格して母親殺しの犯人を突き止める手がかりを得たいカインも居るし、他の面々だって何かしら事情があるはず。



俺はゆっくり息を吸い、吐くと、皆を見渡した。試験開始まではまだ少し時間がある。



「あの、」


俺の第一声に、カインの声が重なる。




「俺は、アークの作戦に乗るぜ~?」




いやいや、まだ何も言ってないんですけど。





「アーク君が作戦を立てたかどうかも分からず、また内容を聞きもせずに作戦に乗る、とは、何か根拠があるのですね?」


すかさずフラムさんの色違いの双眸()がカインを見遣る。






「ああ。俺はアークと昨日一日試験を受けた。俺の魔導と、俺の戦闘経験を聞いてうまいことイムラーク成熟型第Ⅳ期を追い詰めるところまで持っていったんだ」


俺が非難の眼を向けると、カインは『黙ってな』とでも言いたげな感じで話を続ける。





「多分、アークは何か作戦を言うために口を開いたんだろう。一応聞いてみてからでも遅くはないんじゃねーの?」



ここまで言われたら、俺は空気を読むしかなくなるだろう。





「第一小隊の面々の特徴と、一日目に相手を見たときの感想を言ってくださるとありがたいです」



まずは相手を知らなきゃな。



「後衛は、スフェラ・イェーガー。魔導猟銃遣い。一日目の試験順位は、10位。神経質そうな、メガネかけた男の人」


ライラが口を開く。


猟銃か。・・・でもライラは弓?それは不利なんじゃないか?



「ライラ。君、銃と戦ったことは・・・」


俺の問いに、ライラは不敵に笑う。



「あんた、私を誰の孫だと思って?奴に花ァ咲かせてやるわよ」



仰る通りです。



「回復系統は、エリアーデ・クランさん。向こうはいざとなったら操岩人(ゴーレム)遣ってくるけど、魔導パターン知ってるから、だいじょーぶ」


大したことないよー、と言い、にっぱああああと笑うキイス。可愛い上に頼もしい。



「予知系統は、ガルガド・ログリバー。禿頭の大柄な男性ですね。順位は・・・確か、確認できないほど低かったような気がします」



クスリと微笑むフラムさん。



毒舌だ。

紛うこと無き毒舌家だよこの人。



「前衛二人は、ザッヘルド・ノーマンとバークレイズ・ノーマン。兄のザッヘルドが昨日3位で武器は槍、弟のバークレイズが6位で、武器は(そう)



カインの説明に、俺は抓?と首を傾げる。



「抓って何なんだ?」



俺の問いを聞いて、カインが近くに置いてあった木板にナイフで絵を描く。


「こんな感じで、手甲の先に、鋭利な金属が指の数だけついている武器」




見た感じ近接系の武器だ。俺よりはカインの方が相性が良いだろう。



「あと、魔導大会って具体的に何するんだ?」



こういうのは首都育ちで詳しそうなカインに聞くのが一番だ。



「一応歴史上名高い『ケリドウェン橋の戦い』を模した感じで行われる一対一(サシ)の魔導戦闘ってことになってる。でも毎年不正行為やら違法賭博やらが横行してて、首都の商店ギルドは主催者に毎年業務停止状を叩きつけてんだけど、」



基本主催者が王国の役人様と裏で繋がってるから無意味なんだよなー



と、カインがボヤいた。



「去年見た感じ、ザッヘルドは団体戦より個人戦の方が強かった気がする。あと、自己主張の強そうな奴って感じ」



成る程。それだけ分かれば十分だ。



「カイン、昨日のイムラークとの戦闘でのスピード、何分もたせられる?」



カインはニヤリと笑い、

「分?あれくらいなら三日はヨユーだけど?」


と言ってのけた。





よし、作戦は決まった。



後は、戦って、勝利するだけ。



「ライラ。君はスフェラ・イェーガーを頼む。一応俺たちで前衛は何とかするから、銃を破壊し終えたら、防御と相手の陣地を崩しにかかって欲しい」



「まっかせなさ〜い」


そう言って、ライラは弓矢の点検をし始めた。



「キイス。君はエリアーデ・クランの攻撃の無効化を」


「わかった〜」


キイスも、自分の道具の準備を始めた。




「フラムさんは、相手側の配置と、初動時の態勢をお願いします」



「わかりました。今から見ておきますね」



フラムさんは魔導数珠に意識を集中させ始めた。



「カイン。バークレイズの方をよろしく」



俺も装備のチェックをする。



「はいは~い。任せときな~って、え!?」


安直な相槌の後、カインが驚きを伴って振り返って俺を見た。



「ってことはお前・・・」



分かってる。言いたいことは。だが、武器の相性的にも、敵さんの性格を踏まえてもこれがベストなんだよ。




「俺はザッヘルドと戦うよ」



登場人物紹介

アーク・トゥエイン:赤髪黒目の少年。山間の村ローン出身。15歳。前衛職。星天魔導遣い。武器は魔導剣。

カイン・ソリダスター:黒髪黒目の少年。首都ファリア出身。15歳。前衛職。幻惑魔導遣い。武器は魔導短剣。

キイス・ハイヴェルト:金髪碧眼の少年。ローンの隣村ミクラン出身。10歳。後方支援の回復系統。回復・操作魔導遣い。

ライラ・ホークウッド:青髪青目の少女。聖ノルウェン王国軍閥の一門、ホークウッド家のお嬢様。アークやカインより1、2歳年上。後衛職。武器は魔導弓。

フラム・マギラ:水色の髪に、左目が黄色、右目が蒼色という風貌の青年。18、19歳くらい。予知系統。武器は魔導数珠。

ザッヘルド・ノーマン:前衛職。第一小隊。武器は魔導槍。

バークレイズ・ノーマン:前衛職。第一小隊。武器は魔導抓。

エリアーデ・クラン:回復系統。第一小隊。

スフェラ・イェーガー:後衛職。第一小隊。武器は魔導猟銃。

ガルガド・ログリバー:予知系統。第一小隊。

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