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第七魔導小隊戦記(仮)  作者: 仙崎無識
第一部:魔導師試験
13/54

魔導師試験一日目:系統別試験(4)~山の主(上)~

急に目に入る陽光。



眩しさに目を細めつつ、目が慣れるのを待っていると、



「アーク・・・俺たち運()ぇな」



カインの若干恐怖、若干投げやり、そして微かにチャレンジャー精神の入り混じった声が前方から聞こえてきた。



見ると、3~4mほどの巨人が、四足歩行系の魔物を喰らっているところだった。あたりに魔力の残滓(ざんし)が残っているところから見ても、四足歩行系の魔物は受験生の獲物だったようだ。件の魔物にとってはまさに前門の虎、後門の狼である、もうあの世に行った後だから何とも言えないが。



「まだこっちには気付いていないみたいだな・・・」


カインが様子を窺いつつ、そろりと魔導を展開する。


俺も出合い頭の一発を食らわせるために詠唱の代わりとなる魔式構築を行う。



「・・・オ前タチハ、何ヲスルツモリダ?」




一瞬、何が、どこから聞こえてきたのかが、分からなかった。


見ると、四足歩行の魔物を食し終わったらしいイムラークが、こっちを見ていた。

褐色の肌に黒い目、そして何より目を引くのは、


鮮血の付いた銀髪と、三本だったらしい(・・・・・・・・)角。



「な・・・」


「さ、三本あったのかよ!?」


驚愕した俺たちの言葉を聞いたらしいイムラークが、歪んだ笑みを浮かべる。


「アア、コレノコトカ。先刻出会ッタ魔導師ニ一本折ラレタ」



ソレヨリモ、


と、耳障りな音で喋るサラーサと名乗るイムラーク。


「オ前タチモ、奴ト同ジ事ヲスルノカ?」


溢れかえる殺気と死の予感に、俺は、はい、とも、いいえ、とも言えない。



というより何で気が付いたんだよという言葉しか頭の中に浮かばない。



さっき組み立てていた魔式は脆くも崩れ去り、背を冷や汗が伝う。



なのに、





「おうよ」




とカインが大きく頷く。


そして俺の方を振り向き、


「おいおい、アーク。何ビビってんだよ~。それでもさっきあんなゴッツイ光の帯を生み出した奴か?」



コイツもぶちかませばいいじゃん。


などと言いやがった。



気楽さを伴ってはいるものの、カインの能天気ともとれる楽観思考が紡いだ言葉が、俺の脳を覚醒させる。



「・・・簡単に言ってくれる」


ありがとな、カイン。


そう心の中で呟いてから、再び杖と剣を構え直し、気合を入れる。



「仕方ガナイ。受験生ノ茶番ニ付キ合ッテヤルノモ悪クナイモノダシナ」



イムラークが両の手の爪を尖らせる。


「我ガ名ハ、サラーサ。 此ノ山ノ主ナリ。細カキ細カキオ前タチナド、此処デ潰シテヤロウゾ」



現在、午後1時30分。


試験終了まで、あと4時間30分。


登場人物紹介

アーク・トゥエイン:赤髪黒目の少年。山間の村ローン出身。15歳。前衛職。魔導剣、魔導杖使用。

カイン・ソリダスター:黒髪黒目の少年。首都ファリア出身。15歳。前衛職。魔導短剣の二刀流。


魔物など

サラーサ:イムラーク成熟型第Ⅳ期。「山の主」



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