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第七魔導小隊戦記(仮)  作者: 仙崎無識
第一部:魔導師試験
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魔導師試験一日目:系統別試験(2)~毒と魔物と因縁の再会?~(下)

いきなり現れた三人の顔を見た。






しかし、誰だかすぐにはわからなかった。


「誰だこいつら?」


アークの知り合いか? と、カインに目で聞かれるが、残念ながらこんな知り合いは居ない。・・・居ない筈だ、絶対に。



こんな、全身が泥にまみれ、髪の毛か蔓草(つるくさ)か判別がつかないような状態になっている人間とは知り合いではない。寧ろ知り合いになりたくない。




「何が『誰だこいつら?』だよ!!北区のカイン!今日という今日は決着付けに来てやったぜ!!」



その言葉に俺はやっと思い出した。昨日キイスに絡んでいた奴らだ。



「えと、昨日キイスに難癖付けていた方達ですか?」



俺の言葉にカインはようやく思い出したらしく、膝を打っていた。『北区のカイン』って言われた時点で思い出さないのは何故だ?




「ああ!西区の・・・なんだっけ?」


どうやら名前は思い出せないらしい。少し相手が哀れに思えてきた。




泥にまみれ草木を張り付けていてもわかるほどにその人物は怒りに震え、


「俺 は!! 西区 の 狂犬(マッドドッグ) バルー だよ!!」


ご丁寧にも音節で区切って絶叫してくださった。


この人は自分が魔物を(おび)き寄せるかもしれないって思わないんだろうか?




「カイン・ソリダスター!! 今日こそはお前をぶちのめして不合格にして晒し者にしてやるぜ!!」


ズビシ!! と効果音がしそうな勢いでカインに指を突きつける。





「やあっと思い出したぜ、バルー・バーンズ」



カインが両手に短剣(ダガー)を構え、ゆらりと立つと、バルーと呼ばれた人がたじろいだ。



「毎回毎回懲りもせずに俺に難癖付けて喧嘩吹っ掛けてきやがっていた奴だな?」


カインの発言にバルーが反論する。



「だから、難癖じゃねえ!!こう―――――




ヒュッ。




鋭く風を切る音が響き、一瞬遅れてバルーの左頬から出血する。


数瞬遅れて三人組の背後の樹に短剣が刺さる音がした。どうやらバルーの左頬は浅く切られたようだ。




バルーの仲間らしき残りの二人組が悲鳴を上げる。


「やるんなら相手してやらんこともないぜ?」


カインが思いっきり上から目線でバルーを挑発する。



後がなくなったのか、はたまた自棄になったのか。

「くっそおおおおおおおおおおおお!!!」

バルーはカインに向かって魔導銛(まどうもり)を突き入れた。


それを難なく避け、カインは持っていた短剣を先程傷つけた左頬に触れさせ―――――


「長雨の憂鬱 悪女の微笑み」


と呟くと、バルーはいきなり笑い出した。



「!?」

俺が若干退き気味になっていると、

「これは毒魔導の一種『笑天』だ。本来補助発動語はもっと長いんだが、効果のことも考えて省略した」

と、カインの説明が入る。



「くそっ。うひゃひゃっ。覚えうひゃっとけよ」

顔を見るにかなり辛そうである。自業自得です、バルーさん。そう思うと同時に、毒魔導の恐ろしさを改めて思い知った。




「って隣にいる赤髪はひゃひゃっ! 昨日俺のわひゃっ、友達(ダチ)に手えだしたひゃっ奴じゃひゃひゃひゃ!!」


笑いが入っていて何言いたいか分からなくなりかけたが、どうやら俺が昨日バルーさんのお友達を剣の鞘だけであしらったのが気に食わないらしい。



「お前もひゃっ!!」

笑いを堪えながら俺に立ち向かおうとするバルーさんを見て、カインが肩を竦める。




「平原で、デカい円形の焦げ跡見つけなかったか?」




あれ、コイツがやったんだぜ?



カインの言葉に、バルー以下全員が凍りつく。

俺は何かまずいことをしてしまったのだろうか。



「わかったんなら無駄な体力使わずに頂上目指せよ~」

じゃな、と言いながらカインは木に刺さった短剣を抜きに行く。


俺は一応「お大事に」と言って昼食の片付けに取り掛かることにした。



笑いが止まらない一人と残りの二人は爆笑或いは無言で立ち去って行った。





登場人物紹介

アーク・トゥエイン:赤髪黒目の少年。山間の村ローン出身。15歳。前衛職。

カイン・ソリダスター:黒髪黒目の少年。首都ファリア北区出身。15歳。前衛職。

バルー・バーンズ:茶髪茶目の青年。首都ファリア西区出身。自称「狂犬」。噛ませ人間(?)



魔導バトルっぽくなっていないのはカインとバルーに実力差がありすぎるからなのだということにしておいてください・・・・・・


戦記もののつもりなのに全然戦ってない・・・。


補助発動語は呪文的なものです。詳しくはこれからの章で説明していきます。

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