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NOAH‘S  作者: 楪 加那
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NOAH'S 第一章 二年に一度の大量失踪事件

 第一章「二年に一度の大量失踪事件」

『前回の失踪事件から早2年。今年も失踪事件がおこるのではないかと、警察は睨んでいるようです。前回は失踪した人たちの共通点は、女性ということだけでしたが、今年はどうなると思われますか。滝川アナ―』

今年もテレビに流れ出した事件。最近二年毎に女性が大量失踪し、二度と見つからないという事件が起きていた。被害者は全員女性という以外に共通点は見つからず、警察もお手上げ状態に近かった。葵はそれを見ながら、朝食を食べていた。

「相変わらず、進展はなし、か。犯人の動機も分からない。犯人が誰かの目星もついていない。これは迷宮入り決定かなぁ・・・?」

葵の父親は警察関係者。犯人の目星も付かないとぼやいていたのをたまたま聞いていたのだが、これでは警察の面目丸潰れだろう。

そう考えながら、壁際にあるデジタル時計を確認すると。

―AM8:00

もうそろそろ出なくてはならない時間だ。机の上のカフェオレを一気に飲み干すと、鍵をかけて家を出た。

 + + +

「おはよ~。今日も元気か、葵!」

後ろから追突せんばかりの勢いでクラスメイトの優が走ってきた。それに葵が挨拶を返すと、優は鞄からメモ帳を取り出した。

「そういえば葵、知っているよね?生徒会長の由香里さん。」

生徒会長―東條由香里。ほんわかした雰囲気をしておりながら全生徒をまとめあげ、一度学校の問題児が事件を起こしたときに、宥めて説得を重ね、落ち着かせたという伝説を持つ。

「知っているけど・・・。どうかしたの?」

「それがね~、昨日から行方不明らしいの‼」

「え?」

それは、なんというタイミング。今朝やっていた失踪事件のニュースが頭をよぎった。

「優。それって・・・。」

葵が言いかけると、優は笑った。

「任せて!詳しく聞きたいだろうと思って、生徒会長が昨日何をしていたかちゃんと調べてきました!」

優はこういうとき、とても頼りになる。メモ帳をめくって声にだして読み始めた。

「えっと、由香里さんは朝ふつうに学校に来て、授業に出ていたって。放課後は先生が声をかけるまで生徒会の執務をやっていて、それから帰る準備をして校門を出たってとこまでは、調べられたよ。」

「つまり、失踪したのは学校を出てから由香里さんの家に着くまでの間ね。」

「うん、そうなるね。」

生徒会長の家は学校から徒歩30分ほどの距離にある。それまでの間に何が起きたのか・・・。

それを考えながらも葵は、優と一緒に教室へ向かった。

 + + +

―PM5:00

放課後になって、葵は優と帰るため教室で優の部活が終わるのを待っていた。優は陸上部。後片付けなどで時間をとるらしい。

それを待つ間、葵は本を読んでいたのだが教室の扉が開く音がした気がして振り返った。

そこにいたのは全身をマントで隠した、見るからに不審人物。

「誰?そんな状態で学校に来るなんて、よっぽどの変人よ?」

葵の問いかけに答えもしないまま、机のそばにやってきた。その人物はマントを深く被ることで顔を隠していたが、赤い髪の毛が見えていた。

葵はしばらく呆けていたが、すぐに違和感に気付いた。頭の中に響く警告音。葵は反射的に立ち上がり、身を翻そうとした。だが、どうやら相手のほう一歩早かったらしい。葵の顔の前で催眠スプレーを噴射したのである。葵の目から光が消え、倒れこんだ。

 + + +

「葵~?遅れてごめんね~・・・ってアレ?」

優が部活を終えて戻ってきたとき、葵の姿は鞄を残して消えていた。


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