第二話 正義の炎 その3
「…何見てんだてめえ…」
男は咽喉から搾り出すようにそれだけを言った。潤と男は真正面から睨み合う形になる。
…と、その時、潤の背後から
「あ~れ~? 近藤君? 近藤君だよね? ちょっと取材してもいい?」
とあからさまに場違いな声があがる。この声はさっきまで携帯をいじっていた操だ。
「……」
操に近藤と呼ばれた男は、操を一瞥すると何事もなかったように歩き出し、大げさに潤の肩に自分の肩をぶつけてその場を去っていく。
潤がその背後を見つめていると、先ほどの老婆の霊が急いで近藤についていくのが霊視えた。
どうやらかの霊は、絡まれていた生徒の守護霊ではなく、絡んでいた近藤の守護霊だったようだ。
しばらくすると操が声を発した。
「近藤敏明…うちらの隣のクラスの生徒で、ほんの最近自宅火事で焼死した永瀬正人及び国府勝とよくつるんでいた生徒。成績はそれほど、いいのは外面だけで、裏ではほかの生徒をいじめてたり恐喝まがいに金品を奪っていた、不良三人組の一人」
「……」
「仲間が続けて焼死して…相当荒れてるようだね」
「もうそこまで調べたの?」
操の行動力にちょっと呆れた。操は得意満面の表情で、
「当然よ! この事件いわゆる放火とは違う何か怪しい気配を感じるからね!」
っと言った。君は霊感ないだろう…といまさら突っ込む野暮はしない方がいいだろう。
「今まで恨みを買うこといっぱいしてるから…、誰かに呪いをかけられたんだろうってもっぱらの噂だよ」
とりあえず怪しい気配は何も感じなかったが。本当に『呪い』なんだろうか…。
そう疑問を感じながら潤は近藤とその背後の老婆を見送った。




