表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪法奇伝  作者: 武無由乃
序章
33/202

第三話 そして僕は その4

時間は真名が男と対峙する数分前に戻る。


その時、潤は操に手を引かれながら、昔のことを思い出していた。

いつからだろうか、操が僕にしつこくついてくるようになったのは。

子供のころから確かに仲は良くて、一緒に遊びもしたが。近所の子供の友達集団の一人だったように思う。

それが変わったのはやはり、母が死んでからだろうか。自分は周りから心を閉ざし、霊能力に目覚めたゆえに妙な噂も立ち、それまで遊んでいた友達は一人また一人と自分から離れていった。そんな中で、一人だけ、心を閉ざす自分にしつこく付きまとってきたのが操だった。

操はいつも強引だった。せっかくの能力の有効利用と言いながら、いろんな所を連れまわされた。怖い経験をしたことも一度や二度ではない。はっきり言って、その当時の操のことは大嫌いだったと言ってもいい。でも、いつの頃か、それが操なりのおせっかいであることを知った。

そう、操はいつもおせっかいなのだ。誰かが困っていると走って行ってまとわりつく。いつもそうだ。操では解決できないことも多い、それで泣きを見たこともたくさんある。自分で解決できないくせに、関わるなんてどうかしてると思うが、それでも走っていく、それが操。

正直頭は悪いだろう。でも…

僕と違って、何事にも一所懸命…それが操。

僕はいつの間にか、そんな操をほおっておけない気持ちになっていた。心を閉ざし、自分の命すらどうでもいいと思っていた自分が。少なくとも、今笑えるようになったのは操のおかげだろう。


ふと、僕の手を引いていた操が止まった。その視線の先に、一人泣いている子供がいる。

ああまたか、僕はそう思った。


「どうしたのきみ? お父さんお母さんは?」


子供は答えない。ただ泣きじゃくるだけだ。操の困った視線が自分に向く。僕は一息ため息をついた。



------------------



「?」


迷子センターに子供を連れて行ったあと、再び操と店舗を見て回っていた潤は、ふと周囲の異常を感じた。

自分たちの周りに人がいない。ついさっきまでたくさんの人がいたはずなのに。

潤は腕時計を見る。やはり閉店時間というわけでもなかった。


「え? あれ?」


操もまた異常に気付いたようで、潤の袖をつかんで周囲を見回している。

こんな現象を引き起こすことに覚えがあった。


(これはまさか…)


潤は慌てず、意識を集中し周りを”霊視”てみた。

それは、今まで見たこともない光景だった。周囲に規則正しく光の帯が流れている。文字らしきものを形作っている光の帯もある。それは、明らかに人間の手の入った人工的なもののように見えた。


(これが…人払い結界?)


周囲を”霊視”ていた潤の意識の片隅に、ふと動く人影があった。

それはゆっくりと、でも確実に自分たちの方に歩いてきていた。


はじめ潤は、それは蘆屋真名かと思った。だが、真名とは明らかに違う部分を感じて戦慄した。

それは強い穢れだった。これほどの穢れをまとった人間を潤は見たことがなかった。


「やあ…」


不気味な笑顔を張り付けた男がそこにいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=984391252&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ