表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪法奇伝  作者: 武無由乃
序章
32/202

第三話 そして僕は その3

真名は一瞬も躊躇わなかった。

手にした符に意識を集中すると男に向かって投擲、もう片手の剣印を一閃して「急々如律令」と唱える。

瞬間、符に込められた術式が起動、符は電光の帯となって飛翔した。


「フッ…」


笑顔を顔面に張り付かせた男は、特に慌てた様子もなくゆっくりといくつかの印を結んでいる。


ドンッ!!


電光の帯は確かに男に命中した。命中したはずであった。だが、不気味な笑顔はそのまま無傷でその場所にいた。呪は的確に起動していた。五行を用いて打ち消された気配もなかった。


(…防御呪か?…結界呪か?)


真名はそう思考しながら、一瞬で男との間合いを詰めた。


金剛拳こんごうけん


ズドン!!


真名の拳が男の胴を射抜く。男は驚愕の表情でうめいた…


「うがっ………、なんちゃってw」


…ふりをした。


「!?」


男は一瞬で真名の背後に回り込むと、にやりと笑って言った。


「…やっとだ。やっと思い出したよお前のこと。

 俺も昔は蘆屋一族に所属していた。そんなガキの頃、いつもイジメてた弱っちい女がいたって。

 そうだろ? 蘆屋真名あしやまな

 宗家の血筋のくせに、呪術の才能のかけらもなかった出来そこない…」


男はケラケラと笑いながら、手の剣印を一閃する。


ドシュ!!


次の瞬間、真名の左腕がなくなっていた。


「…く!!」


「けははは!!! お前! 才能もないくせに呪術師になったんかよ?!

 道理で符術の一撃が軽いと思ったぜ。どうせ、あれが最大威力だったんだろ?

 だから、さっきの一撃で俺に効かないと判断して、体術に切り替えた」


真名は腕を失った肩を押さえ呻くだけで何も言わない。


「だが残念だな。俺の結界呪は当時のガキどもの中でもトップだったのを覚えてるか?

 今でもそれは変わらんぜ!! 俺にはどんな攻撃も無効にする個人結界があるんだよ!!」


ドン!!!


次の瞬間、真名の左足が飛ぶ。


「が!!!!!」


「そしてこれが、結界術を応用した防御不能の切断呪だ!!!

 なかなか面白いだろ?!! なあおいマナちゃんよ!!!」


男は笑いが止まらない様子で、切断呪を用いて次々に真名を解体していく。両腕・両足を失った頃には、真名はピクリとも動かなくなっていた。


「…ああ、つまんね。もう終わりかよ。

 一族ももっと強い奴を使えよ。こんな役立たずを使うなんて人手不足なんか?

 なあ、マナちゃん?」


真名はもはやその問いには答えられない。


「まあいいや、邪魔者は消したし。会いに行くかな? 例の能力者に。

 ああ、一応その死体片づけとけよクロウ」


男はそう言って自身のカラス型の使鬼に命令を与える。クロウと呼ばれた使鬼は命令通り、真名の死体を丸呑みしてきれいに片づけてしまった。


(そういえば…こいつ使鬼を使わなかったな…)


ふと、男はそんなことを思った。一般的な呪術師というのは、使鬼のような使い魔をたいていは持っているものなのだが。


(…いや、才能ないから使鬼を持ってなかっただけだな、たぶん)


そう、すぐに思い直すと、男はにやけ顔を張り付けながらエレベーターへと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=984391252&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ