第二話 正義の炎 その23
シロウは潤といつも一緒だった。
シロウにとって潤は自分自身より大切な存在だった。
だって、潤は雨の中凍えて死にそうになっていた自分を助けてくれたのだ。
だって、死んでしまった自分の兄弟のことで涙を流してくれたのだ。
だって、人間に裏切られて捨てられた自分にたくさんの喜びを教えてくれたのだ。
受けた恩は返すものだ。
だから、自分は潤が泣いているのを見ていられなかった。
どうにかして助けたかった。
傷つけるやつは許せなかった。
でも…。
闇のそこに落ちようとしている今の自分にはかなえられない願いだった。
「くうん…」
今の自分は鳴くことしか出来ない。
…悔しい。
悔しいよ。
そんな自分を支えるように闇のそこから四つの光が現れた。
それがなんなのか、すぐに自分は理解した。
だから、自分は四つの光に呼びかけた。
いつしか、自分と四つの光はそれぞれを頂点とした星型を描いていた。
それの意味は理解できなかったが、この力さえあれば潤を…
…大切な自分の『兄弟』を、どんな敵からも守れる気がした。
その時、はっきりと潤が自分を呼ぶ声が聞こえた。
潤がシロウを読んだ瞬間、巨大化したシロウの足元にまばゆく輝く『五芒星』が現れた。その優しい光が、シロウがまとっている強烈な妖気を払っていく。
そして、その光が消えたあとには…
「あらん? かわいいわね…」
額にちちゃな二本の角の生えた白い柴犬がいた。
潤はその姿を見ると、思いっきり叫ぶ。
「シロウ! こっちだ! 来い!!」
柴犬・シロウは、しっぽを思いっきり振って、とことこと潤のもとへと走っていく。
…そして、潤の腕の中へとおもいっきり飛び込んだ。
「シロウ…良かった…」
潤は安堵の涙を浮かべている。
その涙をなめとるように、一生懸命シロウがじゃれ付いてくる。
潤のその後の運命を大きく変える長い長い夜は
こうして終わりを告げた。
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「はい…いろいろありましたが、とりあえず使命は果たしました」
真名は児童公園の後片付けをした後、携帯電話で何者かに電話していた。
その相手はどうやら男性のようだ。
『…で? 護送班を送るのはいいが
その矢凪潤とかいう異能者はどうするんだ?』
「…それは…。
今後のことは、私に一任してもらえないでしょうか?」
電話の向こうの男性は少しの無言のあと、軽く笑いを混じらせながら言う。
『まあ…お前の好きにしろ…。でも最悪の場合は…』
その時は、無論、決断しなければならないだろうと真名は思った。
『第ニ話 正義の炎 了』
第二話とりあえず終了。
少々長くなりすぎたような気がするが…
予定では次が第一章の終わりになるはずですが…さて。




