第二話 正義の炎 その10
近藤と校門の前で話をした翌日の夜
「何でついて来るかな…」
「何でって! 怪しいでしょこれ! シロウだけには潤を任せておけない!!」
いや…君がついてきても多分何もできない、と…操に言おうとした言葉を潤は飲み込んだ。
そんなこと言っても無駄であろうことは、潤が一番よく知っている。
潤は今手紙で呼び出しを受けていた。
手紙を受け取ったのはその日の昼…。潤の机の中に、白い封筒の手紙が一通入っていたのだ。
その内容はこうだ…。
『永瀬、国府、近藤を襲撃した火の鳥について情報を持つ。森部児童公園にて今夜10時にて話す』
潤が見た『炎の大鳥』は実体を持たない霊的なものだった。操のような一般人には見えない。おまけにこの手紙は、二日前始めて大鳥を見た潤を名指しで呼び出しているようなものだ。いったいどこでそのような情報を手に入れたのか。
多くの謎がこの手紙にはあった。
(いったい誰がこんな手紙を…)
自分と同じ霊能力を持つものがいるのか? …とも思ったが、あいにく潤には心当たりがない。
なにやら、嫌なものを感じるが、潤はこの手紙をほおっておくことはできなかった。
あの大鳥は一時逃げただけなのだ、いつまた再び近藤を襲うかもしれない。
灰になって消えた近藤の祖母のためにも、なんとしても止めなければならない。
霊的な事象なので警察に言っても無駄なことはよくわかっていた。
今この時点で大鳥をとめる事ができるのは自分しかいないのだ。
自分に何ができるかわからない。何もできないかもしれない。
それでも、潤は動かないわけにはいかない。今は少しでも情報がほしかった。
潤たちが児童公園にたどり着き、その門をくぐったとき、潤は今まで感じた事のない感覚を得た。
いわゆる『霊』を知覚したときとは明らかに違う、頭を左右から手で軽く押される感じ。
その感覚が何なのか逡巡していると、児童公園の中央に人影見えた。
それはいつか見た事のある人物だった。
「…早かったね。矢凪潤くん…」
「君は…?」
それは、数日前、近藤たち三人組に絡まれていた男子生徒だった。
名前はよく知らない。
「その後ろにいるのは結城さんかな?」
「…私のことも知ってるの?」
操は警戒した様子で彼を見ている。情報通な操も彼を知らないらしい。
どうやら、結構目立たない生徒らしい。
彼は一瞬、潤の足元のシロウに目を向けると、
「僕の名は…羽村誠…。潤君、君を待っていたよ…」
そう言うと、彼はニヤリと不気味に笑った。




