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呪法奇伝  作者: 武無由乃
序章
14/202

第二話 正義の炎 その8

森部高校放課後


その日『僕』は興奮していた。それまで疑問だった事がハッキリしたからだ。

まさかそんな事があるとは思っても見なかった。いや、心の中で期待していたのは事実だが。


昨日の夜、近藤敏明の家でボヤがあった。通りかかった人が気づいて通報したので大事にはならなかったらしいが。そんな事より、『僕』にとって大事なのは、火事が起こったという事実だ。

これで、あれが本物である事は証明されたと言っても良いかもしれない。


『僕』は一ヶ月前ある人から小さなペンダントを買った。

売っていた人の話によると、願いをかなえてくれるペンダントであるらしかったが、『僕』はそのペンダントに描かれている鳥の模様がフェニックスに見えて、一瞬で気に入って購入した。

あの三人組にはとられたくなかったので学校には持っていかなかった。ただ、自分の部屋でそれを眺めているだけで元気がわいてくる気がした。


その本当の力を知ったのは、いつもの様に三人組に絡まれおせっかいなやつに助けられたあの日、あの後家に帰った『僕』はついペンダントに願いをしてしまったのだ。


『あのムカつく国府が死にますように』


それは単なる出来心のようなものだった。まさかそれが翌日に本当になるとは思っても見なかった。

その時は当然のようにただの偶然だろうと考えた。


だが、その偶然はさらに二度も起こってしまった。最後の近藤は死ぬ事はなかったが、明らかに『僕』が願ったあとに火事にみまわれている。もはや偶然としては出来すぎている。


そうなると『僕』が前の二人を殺したことになるのだろうが…どうでも良いだろう。

どうせ生きてても仕方のない糞蝿どもなのだ。死んだほうがこの世のためだ。

そもそも『僕』が殺したという証拠はどこにもない。ナイフで刺すより合理的で最高な殺し方だ。


家に着いた『僕』は急いで部屋に向かい、机の引き出しを開けペンダントを取り出す。

近藤が他生徒に絡んでいるところは、昨日も含めて何度も目撃されている。

やつは仲間が死んでも何も変わらない真性のクズだ、死ぬべきだろう。


ペンダントに願いを言おうとしたとき、今までにない変化が起こった。

ペンダントの鳥の模様が赤く輝き始め、巨大な炎の大鳥に変わったのだ。

それは、まさしくフェニックスそのものだと思った。


驚いてぽかんと口をあけている『僕』を見つめると、そのフェニックスは『僕』に語りかけてきた。


【ワレハ…、、…フェニックス…セイギノホノオヲツカサドルモノ…】


「え? 本当にフェニックス?」


【ソウダ…コウケツナルタマシイヲモツモノ『マコト』ヨ…

 オマエ、ハサラナルチカラヲエルシカクヲテニイレタ…】


『僕』は一瞬フェニックスが何を言っているのかうまく飲み込めなかった。

まさか、その力を使って『僕』に正義の味方になれとでも言うのだろうか?


【…セイギノミカタ… オマエニハソレニナルシカクガアル…】


驚いた。

まさか、マンガや特撮の中の出来事が実際に起こっているらしい。


「ちょっとまって…。なんでいまさら僕に正義の味方なんて…」


正直、『僕』は喧嘩は強くない。痛い思いをするのもごめんこうむる。


【アシキ…モノガセマッテイル…。

 ソレヲタオセルノハ…ワレトケイヤクシタ『マコト』…オマエダケダ】


まさか、人類の敵とかが迫っているのか?

それと戦えるのは『僕』だけだと?


「でも…僕は」


【ダイジョウブ…ワレトケイヤクセシモノハ…ムゲンノチカラヲエル…

 オマエハワレガマモロウ…】


どうやら、フェニックスが『僕』を守ってくれる上に、さらに強力な力が得られるらしい。

それなら『僕』でも…。


【サア…ケイヤクヲイソゲ…

 アシキモノノナ…ジャアクナル『マガン』ヲモツモノ…

 『ヤナギジュン』ヲタオスノダ…】


『ヤナギジュン』と言う名は、どこかで聞いたことがある気がしたが、もはやどうでもいい。

『僕』は…『羽村誠はむらまこと』は…


邪悪なる者どもを倒す、本当の『正義の味方』になったのだ。

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