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呪法奇伝  作者: 武無由乃
序章
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第一話 闇に蠢くモノ達 その1

私、実は昔TRPGなるものをやっておりました。


そのとき、自分のオリジナル世界のTRPGを作りたいと思い、

考えていたのが「呪法奇伝」 なるお話でした。

結局完成には至らず 、日の目を見なかったお話ですが、

最近ブログをはじめてそこに小説風読み物として連載してみてはどうかと思い立ちました。


もっとも、私、小説家としての勉強は一切していませんので、

単なる駄文の羅列になるかもしれませんが、日の目を見ずにいるよりはいいのかもと

思ってはじめようと思います。


ただの自己満足なので、つまんなかったらすみません。

でも、「呪法奇伝」を少しでも楽しんでいただけたら、

それほどうれしいことはありません。

「ちくしょう!」


男は悪態をつきながら闇の中を走っていた。

もう、自分が街のどの辺りを走っているのかもわからない。そんなことを考えることもなく、ひたすら”奴”から逃げているのだから…。


そいつは少女だった。 確かに少女に見えた。

普通の少女であったなら、彼も逃げるようなことはしなかった。もともと腕力が有るほうだったし、 喧嘩慣れもしていた。そして、なにより彼には特別な”力”があった。


その”力”の名は”呪術”といった 。


力ある呪物を用い、それを定型に組み合わせることによって天地万物に宿る”気”を制御し、超自然的な事象を引き起こす。それが、彼の扱うことのできる呪術だった。腕力では勝てぬ相手すら跪かせる力だ、恐れることは何もなかったはずだった。


だが、すべては無駄だったのだ…。


「なんで、こんなことに!」


男はそう言いながらふりむく。そこに、自分を追ってくる得体の知れない少女の影があるはずだった。


「いい加減、追いかけっこはここまでにしようか」


その少女の声は、男が逃げようとしていた進行方向から聞こえた。 自分を追いかけていたハズの少女がすでにそこに立っていたのだ。闇夜の中から、その瞳だけが男を見つめる。少女は言葉を放った。


「例の呪物をどこの誰からもらった?」


それは、少女に何度も問われた質問だ。男は悲鳴にも似た声で返す。


「知らない男だ! 名前も教えてくれなかった…本当だ信じてくれ!」


「…ならば、それを誰に売った?」


「隣の…! 森部町の高校生だ! 名前は……だ!」


「本当だな? 嘘をついても無駄だというのは、もうわかると思うが?」


そんなこと、男はとうの昔にわかっている。今はただ、この得体の知れない少女から逃れたかった。


「俺の知ってることはみんな話した! もう許してくれ!!」


男はとうとうその場に土下座して少女に許しをこいはじめた。 少女はその姿を感情のない瞳でしばらく見つめると、胸の前に剣印を結び「急々如律令…」とつぶやく。次の瞬間、男は小さくうめいてその場に崩れ落ち意識を失った。


「ひめさま…」


少女の肩を這っていた大きな蜘蛛が語りかけてきた。


「どうやらこいつの知っていることはここまでらしい。静葉、後始末を頼む…」


「りょうかい…ひめさま」


静葉しずはと呼ばれた大きな蜘蛛は男のそばまで這っていくと、その尻から大量の糸を放出し瞬く間に男を繭にしてしまった。それをしばらく眺めていた少女は、月の昇っている空を仰ぎ


「間に合えばよいのだが…」


そう、つぶやいた。

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