博士の独自研究
寝ぼけ眼で朝刊を読んでいると、ある記事でとたんに目が覚めた。
勤め先の研究所が窃盗の被害にあったと書いてあったのだ。朝食も食べずに急いで研究所に向かう。
研究室の扉を開けると、明らかに落胆の色を隠せない博士の姿があった。
「大丈夫ですか博士。一体なにが盗まれたんですか?」
「すまない助手君。極秘裏に研究開発していた例のものが盗まれてしまった」
私は自分の顔が青ざめていくのが分かった。
「もしかして人間クローン培養の理論ですか? それとも超小型核爆弾の製造方法ですか?」
「そうじゃないんだ。この前完成し――」
言葉を待たずに博士に詰め寄る。
「軍に依頼されていたステルススーツですか? それとも水と空気を原料とする自動食料生産機ですか?」
「実はね、君にも秘密に開発してい――」
「それはなんなんですか?」
「まぁ、落ち着きたまえよ。それはねティッシュだよ」
「……はぁ……」
「聞きたまえよ。質感や手触りはもちろん、今までのものより薄くなり1・2倍同じ面積で入る量が増えた。コストパフォーマンスもさることながら、デザインにも手を加えている。そして一番のポイントはね? 聞いて驚くなよ。使い初めにゴッソリ取れなくなったんだ! すごいだろ、ほかにも色々と――。おーい、どこ行くんだい助手君。今日だって仕事はあるんだぞ。おーい!」




