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昔の親友、今彼女  作者: twilight
第2章「同好会編」
17/63

SS3「バスケ部」

「そういえば…」

いつものベッドの上で佳音は宗に対してこんな質問をした。

「どうして宗ちゃんはバスケ止めちゃったの?やっぱり私のせい?」

「んー、まあ否定はしないかな。あの頃はおまえとバスケやるのが楽しかったからな。今じゃ、部活に入っても一緒には出来ない上に、入学時はそれどころじゃなかったからな。」

「…ごめんね。」

「気にしなくていいよ。今が楽しいからさ。」




「宗っ!」

自分を呼ぶ声に反射的に反応してボールを受けとる。

そして、宙に浮かぶボール。

それは、ゴールの枠に触れることすらなく、網の中へと吸い込まれていった。

同時に鳴り響くホイッスルの音。

10対8

先ほどのゴールが勝敗を決した。



「いや、本当に宗のセットシュートは凄いな。よくあんな距離から入れられるもんだぜ。」

「本当本当。それに加えて佳音のパスも的確だからね。よく繋がるもんだよ。」

試合終了後、激励の言葉をくれるチームメイト。それに、宗はセンキュと返した。

だが、試合の熱はなかなか覚めない。それは段々、宗と佳音のペアの話題に移った。

「それにしても、宗と佳音って凄く相性いいよな。阿吽の呼吸ってやつか。」

「いや、それも普段のプレイ中はそれを匂わせないもんね。必要な時だけ、相性抜群って羨ましいよ。」

「もしかして、試合外でも…。」

「おい、本人たちがいるだろ。その話題はあとでやろうぜ。」

だが、話を聞いているうちに黙っていられなくなってきた宗。

「お前ら…。」

そういう話題が好きなのは女子じゃないのか?

と言外に言ってはみるものの、それが反論になるとは思っていなかった。

宗と佳音をからかう方はともかく、誉める方は自分たちを遠回しに自慢しているということを宗自身が解っていたからであった。それよりも問題は…

「佳音、そこで赤くなるのはおかしいだろう…。」

チームメイトの言葉を聞いて、赤くなり言葉を発せないでいる佳音だった。




「宗ちゃん。どうしたの?」

佳音の言葉で我に帰った宗。どうも、少し考えに耽ってしまったようだった。

「いや、バスケの話から少し昔のことを思い出しててさ。練習試合が終わった後、佳音が赤くなったの覚えてるか?」

「あ…うん。覚えてるよ。練習試合の後だよね?」

「ああ。あの時は、何で赤くなったのか謎だったけど、今なら理由が分かる。まさか、あの時点でもう好意を向けていたなんて分からなかったけどな。」

「えへへ。あの時、私の中で宗と相性抜群(カップル)って聞こえちゃって…。」

文脈的に、カップルというのはかなり意訳にも程があるが恋愛というのはそんなもんだろう。

「それにしても、気分的に女子の心を感じていたってことはバスケ部は辛くなかったのか?」

「宗ちゃんと一緒にいられたんだもん、辛くはなかったよ。寧ろ、逆ハーレム状態かな。」

「まあ、あいつらも普通にチームメイトとして接してくれたもんな。」

「あの頃の私の立ち位置ってどこだったの?」

「そうだな…気の会うチームメイトであり親友ってところかな。」

「嬉しいのか寂しいのか悩むところ…。でも、あの頃は今とは別の意味で楽しかったね。」

「それは僕も思う。また、あいつらに会いたいな。」

「今の私を見たらどんな顔をするのかな?」

「面白そうではあるけどね。」

結局、その具体的な答えが宗から返っててくることはなかった。

しかし、2人は思わぬ形で答えを得ることとなる。



そんな話をしてから数日後の話。宗と佳音は買い物に来ていた。

佳音についてきてほしいと頼まれた結果だが、内容が科学薬品とは…一般的な買い物とはかけ離れていることは間違いないだろう。

先に専門の業者に注文をしてから、次の目的であるファッションの専門店街を回る。

宗自身、あまり興味のない分野だが(さらに女性用の店舗ばかりだ。)楽しそうにしている佳音と2人で一緒に回ってあげるあたり、恋人としての自覚が出てきたと言うべきか。

…最も、2人が付き合う前でも大差ないことをしていたのだが。

閑話休題。


そんなハードな(?)買い物を終わらせて、宗と佳音の2人はファーストフード店で休憩をしてた。

「今日は買い物に付き合わせちゃってごめんね。」

「別に問題ないよ。それにこんな人混みの中におまえを1人でおいておく方が怖いな。」

「心配してくれてるんだよね?ありがとう。」

そう言って、微笑む姿は人によっては天使の様だと形容したかもしれない。だが、宗がそう思ったかは分からない。

何故なら、宗を呼ぶ、聞きなれた声があったからだ。

「お、宗じゃねぇか?」

「久しぶりだな。拓也。」

宗に話かけてきたのは、元バスケ部のチームメイトである拓也という同級生だった。

「久しぶりだな。意外にも会わないもんだぜ。」

そう言って、宗の背中を叩く拓也。その力加減から未だに拓也がバスケをやめていないことを宗は覚った。

「だな。それにしても、ちゃんとバスケ続けてるんだな。」

「おう、相変わらずだぜ。って、恋人と楽しく過ごしているのを邪魔して悪いな。」

恋人には違いないが…と宗がどう返事するべきかと迷っているうちに、それまで黙っていた佳音が口を開いた。

「邪魔なんかじゃないよ、たっくん。」

「え?」

宗から返事が帰ってこずに反対側にいるはずの他人に名前を呼ばれて拓也は冷静さを失っていた。

「知り合い…でしたっけ?」

いつものざっくばらんな態度を崩さざるを得ない拓也。

「もう忘れちゃった?君をたっくんて呼ぶ人が誰かを。」

その姿を見て、少し笑いながら佳音は言った。

その姿を見て、拓也は答えにたどり着いたようだった。

「まさか…佳音か?」

「うん。久しぶりだね、たっくん。」

「…何で女装なんかしてるんだ?」

「女装なんかじゃないよ。」

状況を飲み込めてない拓也。

「実は…」

そんな拓也に宗はこれまでの出来事を説明した。



「…未だに信じられないが、本当に女子なん?」

「もちろんだよ。何か証拠がいる?」

そういって、スカートをつかもうとする佳音。

「いいって、いいって!お前らが嘘ついてるなんて思わんからよ。」

その姿をみて、慌てる拓也だった。

「学生証を見せようとしただけなのに何を慌ててるの?」

佳音が人の悪い笑みを浮かべる。それで、やっとからかわれているということに気づいたようだった。

「…まさか、佳音にからかわれることがあるとはな。世の中何があるか分からんわ。

それにしても、本当に2人が付き合ってるとはな。」


「それにしても?」

宗は拓也の言葉の中に見逃すことの出来ない違和感を感じていた。

「いや、俺達チームメイトの中でもおまえらの関係を疑うやつはいたぜ。まあ、メインはレギュラーメンバーだったけどな。」

「あのからかいはその時の思い付きじゃなかったのか…。」

思わぬ新事実に頭を抱える宗。だが、そんなことを気にしない2人がここにはいた。

「どっちから、告白したん?やっぱり佳音からか?」

「もちろんだよ。でも、なかなか宗ちゃん付き合ってくれなくてアプローチに1年以上かかっちゃったよ。」

「まあ、宗の性格上仕方がないよな。むしろ、1年ぐらいで宗が受け入れた方がビックリなぐらいだ。ちなみに受け入れてくれたきっかけは?」

この質問に対して、宗は戸惑いを隠せなかった。

(この流れだとあの時のことを話してしまうんじゃ…。)

いくら元チームメイトとはいえ、否、だからこそ知るべき内容じゃないと宗は危惧した。

しかし、その心配は無用だった。

「実は、宗ちゃんがクラスメイトに告白して、振られちゃったの。そこにつけこんだのがきっかけかな。」

「なんとも、策士の佳音らしいぜ。」

その後、3人で思い出話に花を咲かせた。

かれこれ2時間ほど話していただろうか。その時間の経過は暗さで一目瞭然だった。

「おっと、もうこんな時間かよ。じゃあ、最後の話題にするか。

宗、佳音、またバスケやらないか?」

「それは遊びでってことか?」

「もちろんだ。学校のバスケ部も面白いことは面白いんだが、やっぱりあの6人でやるバスケが一番楽しくてよ。残りの3人にはもう声をかけてある。あとはおまえらだけなんだよ。」

「私、あの頃みたいには動けないよ?」

だが、佳音が言った不安要素を拓也は一蹴した。

「別にいいぜ。結局楽しむことが一番だからな。あの頃とみんな違ってて当たり前だ。そもそも、おまえの担当は頭脳だろう?」

拓也は佳音の性別を含めた問題を『みんな違っててる』という言葉でまとめた。その言葉の中には、佳音の性別に対する差別も躊躇も全く見られなかった。

「それもそうだったね。私はやりたいな。宗ちゃんは?」

「僕も賛成だ。また、おまえらとバスケやりたいと思っていたところだ。」

「よっしゃ!じゃあ、またやれそうな日を合わせて連絡するわ。」

「おう。それじゃあな。」

こうして思わぬ再会となった一組のカップルとその同級生は別々の帰路へと向かった。



その日の夜。

予定調和の様に佳音は宗の部屋にいた。

「しかし、まさかあんなところで拓也に会うとはな。」

「本当だね。でも、少し怖かったよ。」

「差別か。」

「うん。まさか、なんの抵抗もなく受け取ってもらえるとは思わなかったよ。」

確かに、あの時の拓也から気遣いの気持ちを宗は感じなかった。むしろ、そんなことを気にするほうがおかしいと言わぬばかりの顔をしていた。

「僕たちは恵まれてるんだな。翔也にあかり、そして拓也。だれもおまえを否定しなかった。」

「うん。信じられないと言えば信じられないけど、単純に嬉しいかな。」

「佳音の人徳か。」

「もうっ!宗ちゃん、恥ずかしいよ。」

そう言って甘えてくる佳音。名目が欲しいだけとわかっていながらも拒否はしない。

それが宗と佳音の関係だった。


3章途中やりのまま、番外編の投稿となってしまいました。

実はこのSSは携帯で暇な時に、本編はPCでの執筆をしていました。

ですが、同時に2つの作品って難しいですね。先にこっちを仕上げてしまいました。


本編も進められるように頑張りますので、よろしくお願いします。

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