先生と、ある『彼女』の日常(二百文字小説)
台詞がきわどいかと思われます。
色々とご想像に委ねたいと思います。
「そなたの体で私の知らぬ場所などない」
茶の湯気がふわふわと室内にただよう。
「そーゆー誤解を招くような発言はよしてよ、先生」
先生と呼ばれた白衣の男は、目の前に座る彼女に茶を差し出した。
先生と男を呼んだ彼女は、ふうふうと茶を冷ました。
「ぼくをなんでこんな体にしたの」
「そなたに心底惚れてるからな」
ニタリと男は笑う。
「気狂じみてるよね」
彼女は言う。
「恋は、想い返してほしいからな」
湯気は、甘く室内に香った。