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369の世界 〜12冊の魔導書〜  作者: ダーク創造神
第一章 小学校低学年
5/26

第4話 スコール VS ゴリラ

 あの日、ゴリラに立ち向かった少年の姿は、

 ミロクの眼に、強く焼きついていた。


 武器を構え、まっすぐ立つ背中。

 怖がっているはずなのに、逃げなかった。


 それは、ミロクが好きなゲーム――

 **FFフィクションファンタジー**の主人公にそっくりだった。


 思わず、口からこぼれた。


「……スコール」


 本当は、名前も知らない。

 話したこともない。


 でも、あの瞬間、

 ミロクの世界に“ヒーロー”が現れたのだった。


 ーーーーーーーー


 翌日。


 ゴリラは、驚くほど静かだった。


 担任のシロガネ先生が休みで、

 代わりに体育教師のシラトリ先生が教室に立っていたからだ。


 その存在だけで、空気が違う。


 お昼休みになり、ゴリラが無言で教室を出ていくと、

 教室内で、安息の時間が流れる。


 しかしミロクの胸は、落ち着かなかった。


 ――きっと、次はスコールだ。


 自分のせいで、標的が移った。


 だが、どうすることもできない。

 無力だ。


「ミロク」


 耳元で、低い声。ケイタロウだった。


「昨日、なんかあったのか?」


 そして、ミロクの顔を見て眉をひそめる。


「傷だらけじゃねぇか」


「……実は昨日」


 ミロクはすべて話す。

 すると、ケイタロウの目の色が変わった。


「じゃあ、ソイツも守ってやらねぇとな」


 スッと、立ち上がるケイタロウ。


 ミロクは、思わずその手を掴んでいた。

 ケイタロウは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑った。


「安心しろ。俺もアイツも、やられねぇよ」


 そう言って、教室を出ていった。


 ーーーーーーーー


 放課後。


 ミロクは草陰に隠れ、校舎裏を見ていた。


 ゴリラ。

 スコール。

 そして、ケイタロウ。


 静かな間の後、

 ゴリラが、舌打ちをする。


「二対一は卑怯なんじゃねぇか?」


 ケイタロウの声は、低く、怒りを含んでいた。


「昨日ミロクを一方的に殴ったテメェの言うことか?」


「知るかボケ。気に食わねぇから殴っただけだ」


 ゴリラは笑いながら、スコールの方を見る。


「次はソイツだ。テメェには関係ねぇ」


 スコールは、静かだった。


 父の道場で受けてきた打ち込み。

 痛みも、罵声も、冷たい視線も。


 それが日常だった。


「ケイタロウ。

 これは俺とゴリラの勝負だ。手を出さないでくれ」


 木刀を構え、風が止み、数秒の静寂が流れる。


「いざ尋常に、勝負」


 ゴリラが拳を勢い良く振り下ろす。


 ――速い。


 だが、スコールの足は軽く、それよりも速い。


 半歩ずらし、

 攻撃を交わしながら脇腹を打つ。


 ゴリラの顔が痛みに歪む。


 再び拳がスコールに放たれる。


 しかし、

 スコールの木刀は脛へ。


 鈍い音。


 ゴリラの声にならないうめき。


「……負けを認めろ」


 静かな声だった。


 誰の目にも明らかだった。

 ゴリラは、完全に崩れている。


 歯を軋ませながら、背を向け、

 そして、去った。


 ーーーーーーーー


 しばらくの静寂。


「スコール……だっけ?」


 ケイタロウが、目を丸くする。


「お前、強いな!」


「……疲れた〜」


 気の抜けた声で、スコールは尻餅をつく。


 余裕など、なかった。

 その姿を見て、ミロクは思わず草陰から飛び出した。


「すごいよ!スコール!」


「あのゴリラをやっつけるなんて!」


 興奮が止まらない。


「もとはお前が撒いた種だけどな〜」


 ケイタロウが嫌味っぽく言う。


 でも、誰も怒っていない。

 3人ともすっきりしていた。


 学校の夕方のチャイムが鳴り、

 下校の時間を知らせる。


「さて、帰るか!」


 ケイタロウが立ち上がり、場を仕切る。


 放課後の静かな道。


 三人の背中が並ぶ。


 昨日までなかった繋がりが、

 友情が、確かに芽を出していた。

キャラクター紹介


ゴリラ(剛田 力也) 誕生日 9月24日 7歳

 街の一般家庭に住んでいる。

 生まれつき体格が良く、本当は面倒見の良い大らかな性格。

 家族構成は父、母。

 父は市役所の公務員で亭主関白な性格。

 母は街のスーパーでパートで働いている。

 家庭環境はあまり良い方ではなく、ゴリラは普段から父から厳しい扱いを受けており、母もそれを黙認している。

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