表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【全年齢版】呪われた辺境伯と無色の聖女  作者: 真紅愛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/49

7話 精霊たちの助言



アリアが窓辺に佇み、遠く雪に覆われた領地を眺めていると、どこからともなく小さな光の玉が寄り集まってきた。


それは屋敷に潜む、数体の小さな精霊たちだった。



『アリア、あの男の魔力は、いつかこの城を壊すわ』



『彼は苦しんでいる。熱い、あまりにも熱い闇に包まれている』



精霊たちの囁きは、風の音に紛れるほど微かだった。アリアは監視の気配を気にしながら、小声で応じた。



「そうね、わかっているわ。でも、どうすればいいの? 私は魔力も何の力もなくて、何もできない……」



すると、一番小さな光の玉が彼女の頬を撫でるように舞った。



『あなたは魔力がないのではない。すべてを受け止め、無に還す、広すぎる器を持つのだ』



『しかし、今はまだ闇の奔流にあなたの身体が慣れる必要がある。

すぐには、彼の魔力に直接干渉してはならない。

器が整う前に無理をすれば、あなた自身が耐えきれなくなる』



(え!? 私にそんな器が……? ずっとできそこないの無色の聖女と言われてきたのに)



アリアは驚きに目を見開いたが、すぐに真剣な眼差しで尋ねた。



「では、彼を苦しみから一時的に解放する方法はないの? 彼の魔力を安全に抑える方法は? 私にもできることはあるかしら」



精霊たちはカイルの執務室がある方角を見つめ、その魔力の流れを観察するように揺れた。



『魔力は、水を嫌う。特に、聖なる水。そして何より循環を必要とする。魔物を討伐する以外にも、彼の魔力に一時的な逃げ道を与えればいい』



「逃げ道……。討伐や戦争でなければ、どうやって?」



『身体の外へ、循環する道を作るのだ。彼の魔力を、この領地の土壌や水脈へ一時的に逃がしなさい。彼は辺境伯。領地を守る力を、彼の過剰な魔力から得させてやればいい』



その方法とは、魔力中毒や命の危険を伴うような魔力譲渡でもなく、大規模な破壊行為でもない。それは、アリアが持つ「精霊や自然と意思疎通できる能力」があるからこそ可能な、画期的な解決策だった。



(私は彼の命を救いたい。そして、彼から魔力を受けたあの瞬間の感覚……)



もし精霊の言う通り、自分の身体が器なのだとしたら。

この痩せ細った身体は、魔力を受け入れ、循環させる準備が整っていないだけなのではないか。彼の魔力を正しく導くことができれば、自分も普通の身体になれるかもしれない。

アリアは精霊たちに協力をお願いし、監視の目をかいくぐって、カイルの魔力を領地の水脈へと逃がすための準備を始めた。


それは、孤独な辺境伯と、一人の聖女の運命が、

静かに交差し始める、最初の一歩だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ