表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【全年齢版】呪われた辺境伯と無色の聖女  作者: 真紅愛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/75

74話 共通の目標と深い愛


昨夜、ようやく長年の誤解という霧が晴れ、改めて素直な想いを伝え合ったアーサーとリリア。


一夜明けた二人の間には、昨日までのどこか余所余所しい空気はなく、触れ合えば熱を帯びるような、格段に近付いた距離感があった。



視察二日目。二人はローゼンベルク領の中でも特に豊かな農村地帯を訪れていた。 



すでに婚約が成立している二人にとって、この視察は表向きこそ王妃教育の一環であった。しかし、実際は次期国王と王妃として領民の暮らしをその目で確かめる重要な公務であり、同時に彼らにとって、初めて気兼ねなく肩を並べて歩くデートのような甘い時間でもあった。




馬車を降りた二人が目にしたのは、黄金色に輝く広大な麦畑と、たわわに実った果樹園だった。



収穫の時を待つ辺境の村は、王都の貴族たちが想像するような寒冷で荒廃した地とは、あまりにもかけ離れていた。


アリアの放つ調和のエネルギーが、土壌の質そのものを変え、カイルの強大な魔力が、天候や病害から作物を見守っている。



爽やかな秋風が黄金の波を揺らす中、リリアはエスコートするアーサーの腕にそっと寄り添い、こみ上げる感動を言葉にした。



「アーサー様、ご覧になって。町の方々も、村の子供たちも、みんな本当に幸せそうな顔をしています。……この豊かな実りは、お姉様の調和の力とカイル様の魔力が、どれほど深く、そして正しく結びついているかを証明していますわ。王都の貴族たちは、辺境の真実を……お二人がどれほど気高くこの国を支えているかを、あまりに知らなさすぎます」



リリアの声は、姉を想う誇らしさと、現状へのもどかしさで少し震えていた。そんな彼女の心中を察するように、アーサーは歩みを止め、空いた方の手でリリアの頭を優しく、愛おしそうに撫でた。

 


「ああ、その通りだ。私は今日、この目で見て確信したよ。カイルとアリア殿がここで植えた希望の種は、もうこれほどまでに大きく育っている。……リリア、君と私の力で王都の腐敗を正し、この地で成し遂げられた成果を王国全体に広げていく。それこそが、我々に課せられた真の使命だ」



アーサーはリリアを真っ直ぐに見つめ、言葉を継いだ。その眼差しには、次期国王としての圧倒的な覇気と、愛する者を守り抜く決意が同居していた。



「私と君。そしてカイルとアリア殿。この四人がそれぞれの場所で手を取り合い、背中を預け合ってこそ、アルカディアス王国は真の完成を迎えるんだ。一人では届かない場所でも、この四人なら、そして君が隣にいてくれるなら、私はどこまでも行ける」



その揺るぎない確信に満ちた言葉は、リリアの心に温かく、深く染み渡っていった。彼女はそっとアーサーの腕に回した手に力を込め、彼のぬくもりを確かめるように寄り添った。



アーサーはその小さな手に自分の掌を重ねて優しく包み込むと、周囲の目を一瞬だけ避けるようにして、リリアの瞳を真っ直ぐに見つめ直した。



「リリア。これからも私の傍にいて、一緒にこの未来を成し遂げてくれるか」



その問いかけに、リリアは頬を少し赤らめながらも、今日一番の輝くような、そして強い意志を宿した笑顔で応えた。



「はい、アーサー様。成し遂げてみせます……いいえ、私に成し遂げさせてください。ずっと貴方のお傍で。共に歩む、ただ一人の女性として」



視察という公務の最中でありながら、二人の間には甘く、しかし決して揺らぐことのない信頼の絆が静かに芽吹いていた。黄金の穂が揺れる辺境の地で、二人の歩みは新しい時代の幕開けを告げるかのように、輝かしく力強いものとなっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ