34話 深まる調和と巡る活力
カイルが愛情の暴走と力加減に苦悩していた頃、アリアの月の巡りには劇的な進化が訪れていた。
彼と共に過ごす日々の中で、彼女は月の巡りと調和の器が持つ真の特性を、直感的に理解し始めていたのである。
カイルの溢れる活力を余さず受け止め、凪へと導き、自身の糧へと転化させてきたアリアの体質は、日常生活において、恐るべき適合能力を発揮し始めた。
カイルが愛情を爆発させて彼女に接するごとに、アリアの器はそのすべてを受け止め、自らの元気へと変えていくのだ。
そのエネルギー交換がもたらす変化に、アリアは気づいてしまった。
(あれ……? 最近、身体が軽い。以前なら息切れしていたようなカイル様の全力のハグも、今の私なら平気で耐えられる気がする……!)
かつては強すぎる力として周囲を恐れさせたカイルのエネルギーも、今の彼女にとっては生命を輝かせる最高の栄養のようなものだ。
アリアはカイルの愛情を素直に吸収し、一日中どれだけ彼に振り回されようとも、笑顔でついていけるだけの、底知れぬ気力と体力をその身につけ始めていたのである。
ある夜、アリアは相変わらず部屋の隅で「私は危険な熊だ……」と落ち込んでいるカイルに歩み寄り、その正面からギュッと抱きついた。
「カイル様。……もう、我慢しなくても大丈夫です」
胸に感じるアリアのぬくもりに、カイルがビクリと震える。
「だ、駄目だアリー! 私が気を抜くと、また君に痛い思いをさせてしまう!」
「いいえ、平気です。……試してみませんか?」
アリアは自信に満ちた笑みを浮かべ、カイルを見上げた。
「今の私なら、貴方の全力のハグも、ちゃんと受け止められます」
その言葉に、カイルの感動が爆発した。
彼はアリアの背中に大きな手を回し、愛おしさと共に力いっぱい抱きしめた。
「アリー……! ああ、愛している! 本当に、力を込めても大丈夫なのか!?」
「……っ! は、はい……っ! 凄いです、カイル様……身体の奥から、元気と活力が湧いてきます……!」
以前なら「ぐえっ」となっていたカイルの剛腕による抱擁。
しかし今のアリアは、その圧力すらも心地よい活力として受け入れ、カイルから流れ込む幸福な気持ちを全身で循環させていた。
魂が共鳴したからこそ、カイルの規格外の生命力が、アリアという器を通して彼女自身の元気になっているのだ。
「君は……素晴らしい人だ。君が望むなら、私のすべてを君に捧げよう!愛しているよ」
カイルがどれほど嬉しそうに頬ずりをし、無邪気に頭を擦り付けてきてもアリアは疲弊するどころか、さらにツヤツヤとした笑顔でそれに応えた。
「ああ、カイル様、私もです……貴方となら、どんなことでも乗り越えられる気がします。……心から、愛しています」
彼女の底知れぬ受容力は、カイルの果てしない愛情、そして熊のような腕力すら完全に適応してしまった。
溢れ出し続ける強大な愛と、それをすべて受け止め、自身の元気へと変えてしまう幸福な循環。
尽きることのないカイルの体力と、それに追いついたアリアの適応力。
二人は、お互いがお互いを高め合う最高のパートナーとなり、今日も元気に仲良く過ごすのだった。




