席順
僕は、嬉野政宗。嵯峨高校の1年生だ。
「なぁなぁ、席順、勝手に変えんかいな」
大将がねっとりと言う。
「なんで」
いちおう反応しとく僕。
「先生来たとき、名前呼ばれるやん。名前と顔を一致させないようにしようぜ」
「なんで」
「なんでなんで、ってお前はロボットか!」
「ロボットはお前だ、お前。ポンコツロボット」
時雨が話に割って入ってくれた。
「くだらないこと言うなよ」
「くだらなくない? おもろいやんか。先生のびっくりする顔。そんで卒業式の時にネタばらしよ」
「かなり長いドッキリ作戦だが、途中でとん挫するぞ」
「なんでさ」
「テストでばれるだろ」
「確かに、どないしよう」
「どないしようて、そんな無駄なことをするな。考えるな」
「しゃーないな」
「ほな、政宗と二人だけでやる」
「なんで僕もやんなきゃいけないんだよ」
「だって俺一人だと俺じゃんか」
「それでいいんじゃない」
「先生を混乱させたいけど……ん……ベタやけどドアに黒板消し、挟んどくか」
「黒板消し新品だぞ」
時雨が数学の参考書を取り出し、読み始めた。
「真面目か!」
「ほら、みんな席につけ」
男の先生が入ってきた。
「くそ~ここまでやさかい、席入れ変えるぞ政宗」
諦めてないのかよ。
「嫌だよ」
僕は、苦笑いで返した。
駄作を書く勇気