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7話 逃避行

 遠くにサイレンが聞こえる中、拓海たちは街中まで移動してきた。

「はぁ…はぁ…ここまでくれば、大丈夫…?」

「油断はできませんが、ひとまず身を隠しましょう」

「ど、どこに?」

「ひとまず、あそこへ」

 ソフィアは道路を挟んで逆側にある公園へと走る。

「あ、あぶな…?!」

 ソフィアが渡った直後、トラックがクラクションを鳴らしながら駆け抜けていった。

「おや、これほど早いとは予想外でした」

「…何なんだ本当に」

 呆れながらも、拓海も道を渡る。

「危ないじゃないか。危うく轢かれる所だったよ?」

「すみません、ですが急を要しますので」

 謝罪の言葉を口にするも、ソフィアは歩みを止めない。

「この中に隠れましょう」

「ここ…えぇ?!」

 抵抗する間も無く、拓海は公園の公衆トイレ…それも女子トイレに連れ込まれる。

「な、何考えてんのさ?!」

「しっ!声を抑えて。改めて状況を説明します」

「状況って?」

「あの学校を襲った者たちについて」

 ソフィアはいたって冷静に、呼吸を乱すことなく佇んでいる。

 まるで、こんな状況は日常茶飯事だとばかりに。

「…知ってる事、全部話して」

「わかりました」

 ソフィアと拓海は向かい合い、互いの目を見つめる。

「学校を襲った者たち、彼らは私と同じ世界から来た者たちです」

「同じ…世界?」

「そして、拓海様のご両親、祖父母を殺したのも彼らです」

「なっ…?!」

 感情が追い付かない拓海をよそに、ソフィアは続ける。

「彼らの目的は、拓海様の左目に宿った『秘宝』。そして百合様に宿った『器』。この二つです」

「秘宝に、うつ―」

 言いかけた所で、轟音の熱波が襲い掛かる。

「がはっ…!?」

「…っ!まさか?!」

 百合を抱えたままソフィアが外に出る。

「ちょ、どこに行く…の…」

 公衆トイレから出た拓海は、言葉を失う。

 先ほどまで自分たちが居た道路の逆側が、瓦礫の山にとなり、炎に包まれていた。

「な、何だよ…これ」

 少し離れた所で悲鳴と轟音が響く。

 学校の時と違い、その破壊音が一度で終わることは無かった。

「ど、どうし―」

「伏せて!!」

 ソフィアのタックルを食らい、仰向けに倒れる。

 次の瞬間、鼻先を光線がかすめる。

 そして背中が地面に着くと同時に、轟音と地響きが伝わってくる。

「―は?」

「…申し訳ありません。捕捉されました」

 起き上がったソフィは腰を落とし、臨戦態勢に入る。

「私が時間を稼ぎます。百合様を連れてお逃げ下さい」

「…どこへ逃げろって?こんな状況で逃げ場なんて」

 抗議する拓海の目の前に、青く光る蝶が現れる。

「その子が道標です。さあ!」

「…あああっ!くそぉ!」

 半ばやけっぱちになるも、拓海は意識のない百合を抱きかかえる。

「し、死なないで下さいよ!」

 ソフィアにそう投げかけると、光る蝶の導く方向へ歩き出した。

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