4話 昼休み
連続投稿、こちらで最後になります。
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「ねぇねぇ!外国人の転校生が来たんだって?!どんな子どんな子?!」
「百合姉、落ち着いて」
昼休み、拓海と百合は空き教室で昼食を取るべく集まっていた。
「髪は銀髪で、目が青くて…背の高い女の子だったよ」
「良いないいなぁ~!ねぇ拓っくん、あたしにその子紹介してよ!」
「いや、今頃クラス中…学校中で追いかけ回されてると思うから無理だよ…」
「そっかー…。あたしもひと目見たかったな~」
「なら、僕とお昼食べてないで見に行けばいいじゃん」
「うーん、そこまでじゃないかな~。今は拓っくんとご飯食べたいから!」
「百合姉…」
突如、開けた窓から何かが入ってくる。
タイツで覆われた足、紺色の制服、輝く銀髪…。
「…え?」
驚いたのも束の間、少女は音も無く床に着地した。
「…す、すごーい!映画のワンーンみたい!」
喜んで拍手を送る百合。
「そ、ソフィアさ―」
優が声を掛ける間もなく、ソフィアは優の眼前に近づく。
顔を掴まれ、目を凝視される。
「え、ええっと?」
「あなた、これカラーコンタクト?」
「…はい?」
「答えて」
真剣な声に、ソフィアが興味本位で聞いているのでは無いと感じる拓海。
「…生まれつきだよ。僕の瞳が、左だけ赤いのは」
「そう。ありがとう」
顔から手を離したソフィアの目線は、既に百合に向いていた。
「え?!何々?もしかしてキスしたの!?」
状況が呑み込めない百合に対し、ソフィアは無言で近づく。
「ちょっと失礼」
「え、日本語上手…ひゃあ?!」
百合の大きな胸を、ソフィアは両手で鷲掴みにしていた。
「ちょ…そんな乱暴に…まだ拓っくんにも触られた事ないのに…!」
「百合姉、こんな時に何言ってるの?!」
数秒程触った後、ソフィアは手を離した。
「…よく分かったわ。ようやく、辿り着いたのね」
そう言って腕時計を見るソフィア。
「そして…ギリギリ間に合ったって所ね」
「さっきから…何の話をしてるんだ?!」
百合に駆け寄った拓海が声を荒らげる。
百合が被害を受けたことで、拓海の語気も強くなる。
「た、拓っくん、あたしは大丈夫だよ?ハジメテはあげれなかったけど」
「だから、それ今いう事じゃないでしょ?」
そう言った直後、ソフィアは二人に向かって跪く。
「先ほどの非礼はお詫びします。だから、どうか話を聞いて下さい」
態度の急変に、戸惑う拓海。
「は、話って一体…?」
顔を上げたソフィアは、こう告げる。
「私と一緒に逃げて。ここはもうすぐ、火の海になるから」