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1話 17歳の朝

今回は異世界がメインの新しいお話を思いついたので書き始めてみました。

よろしくお願いします。

拓海(たくみ)、誕生日おめでとう!」

「おめでとう」

()っくんおめでと~!」

 朝食を食べにリビングに降りると、3人が祝福の言葉を送ってくれた。

「あ、ありがとう。叔父さん、叔母さん、それから百合姉(ゆりねえ)も」

「え~あたしが最後なの~?」

「いや、いっぺんに名前呼べないから順番に呼んだだけで…」

「それでも酷―い!」

「百合、あまり拓海を困らせるんじゃないよ」

「そうそう、いくら好きだからっていじめちゃだめよ」

 穏やかな朝のひと時。いつもと変わらない、特別なひと時だ。

「今日の夕食はお祝いのバーベキューにするから、楽しみにしててね」

「ほ、本当に…?」

「ああ、良いお肉を用意してるから、たくさん食べなさい」

「良いの!やったー!」

「百合、今日の主役は拓海なんだから、アンタ食べ過ぎちゃだめよ?ダイエット中でしょ?」

「えー良いじゃん?脂肪分の少ないお肉なら太らないもんね~」

 賑やかな会話の中、拓海は俯いていた。

「拓海、どうかしたのか?」

「あ、いや…僕なんかが、こんなにお祝いされて良いのかな…って」

 騒がしかった百合も、拓海の言葉に耳を傾ける。

「僕は…行く先々で不幸を招いてきて…、この家にもいつ、それが来るか分からない。そんな僕が…こんなに祝福してもらえるなんて…」

 声の震える拓海を、百合がそっと抱きしめる。

「拓っくんは何も悪い事してないでしょ?何でそんな自分を責めるのさ?」

「百合姉…」

「そもそも、ウチに来てから何回目の誕生日よ?拓っくんがそんな不幸を呼ぶ人なら、とっくにそれが起きてるって」

「…そうだな。百合の言う通り、拓海が自分を責める必要は何一つないぞ」

「そうよ。ああたは何も悪くないわ」

「叔父さん、叔母さん…」

「お前の身の周りで起きた事は、確かに辛く厳しい物だったと思う。でも、それはいつまでも続くものではない。だから、胸を張って、前を見て、今日を生きて行けば良いと思うぞ?」

 叔父の言葉に、静かに涙を流す。

「ありがとう…ございます…!」

「…さぁ、朝食を食べようか。二人も学校に遅れてしまうからね」

「はーい!拓っくん、食べよ?」

「う…うん!」

―こんな幸せな時間が、ずっと続けばいい―

 そう思いながら、拓海は食卓に座る。

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