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02.爆弾娘

 話を最初に戻そう。

 私、アルマ・ライナーは十五歳の女の子。

 アーベライン王国の王宮錬金術師だった。


 王宮錬金術師とは、錬金術師の中でも王家に雇われた誉れ高い錬金術師たちで、王宮の端にある「錬金塔」に勤める。


 だけど、私の爆弾に対する探究心が強いあまりに、作った爆弾で錬金術師たちが勤める錬金塔を爆破してしまったのだ。

 それは、私が居た錬金塔の中央階から上が崩れ落ち、建築素材である石がレンガ状にバラバラと中空から降って落ちるほどだった。


「っぎゃあぁぁあーーっ! 計算じゃもっと小さな爆発で収まるはずだったのにぃ!」

 私は頭を抱えて計算のどこが間違って居たのかをノートの隅から隅までを確認した。


 それに筆頭錬金術師のエトムントさまが激怒した。

「ぶわっかもーん! お前のような爆弾娘はここを出てどこかへ行ってしまえー!」

 怒り心頭に発すというその体で、憤慨した様子でまっすぐに国王陛下に進言しに行ってしまったのだ。


 そうして、「確かに、王宮でそのような実験をさせるのは危険だのう」と国王陛下もエトムントさまに同意してしまった。だって当然だろう。端っことはいえ、今さっき王宮を破壊されたのだから。


 そこに、父親であるアルフォンスお父さまが呼び出された。横には元凶である私が煤まみれで座っている。

 滅多にお目にかかることのない国王陛下に呼び出されたと思えば、その横には煤まみれの我が娘。驚いたことだろう。


「……その者が、錬金塔を破壊しての」

 ため息交じりに告げる国王陛下。


「死者が出なかったから良かったものの、上階にいて落下したものの中にはけが人もいる。もちろん、彼らは我らが誇るポーションで回復させて無事だがな」

 もうひとつため息をつくのは、副錬金術師長のカールさま。彼が事態を収拾させたのだろう。


「もう、その爆弾娘はうちでは面倒見切れん。どこかよその国にでもやってくれ!」

 筆頭錬金術師のエトムントさまが言い放つ。


「とは言いましても、彼女の持つ錬金術の腕は相当のもの。少々爆弾……にばかり興味がいっておりますが、その分野にかけても確かな腕を持っております。それに、彼女の爆弾といえば、辺境での魔獣退治でそれは重宝されております。本当に国外追放でもしてしまえば、我が国の損失になります」

 と、副錬金術師長のカールさまがフォローしてくれた。


「カールさまぁ」

 私はカールさまのフォローに感謝感激で涙目を向ける。

「……辺境で重宝、のう……」

 国王陛下が下顎にたっぷりと生やした髭を撫でながら言葉を漏らす。

「のう、アルマ……とか言ったか。そなた、マイゼンブーク辺境伯領へ行くか?」

「マイゼンブーク辺境伯領?」

 私は首を傾げた。

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