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15.辺境伯閣下へのご挨拶の日取り

 私は、引っ越しを終えたその日の夜の食事の場で、お父さまから辺境伯閣下への挨拶の日取りを聞かされた。その日は三日後になるのだという。

「どうして私に向かって聞かせるのですか?」

 と私にその日取りを聞かせる理由が分からずに首を傾げる。


 すると、お父さまはちょっと肩を落としてから私に向き直って私に諭す。

「アルマ。そもそもこの引っ越しが、何が原因ですることになったのかは覚えているかな? だから、その当人の君もご挨拶に上がるんだよ」


 あ。お父さまが、諭しモードに入ってしまった。

 それはそうね。私が王宮内にある錬金塔を爆破してしまったから、一家で引っ越しをすることになったのだもの。


「……ごめんなさい、お父さま」

 私は肩を竦めて謝罪する。

「いや、いいんだよ。思いだしてくれたなら良い」

 お父さまはにっこり笑って応えてくれた。


「とはいえお父さま。辺境伯といえば、侯爵の中でも特に力のある家に相当するぐらいのお力をお持ちの方。爆発騒ぎを起こしたとはいえ、一介の小娘がご挨拶に上がってもよろしいものなのでしょうか?」

 私は合点がいかないと言ったように首を傾げた。


「そう思うだろう? だから、最初は当主である私だけで辺境伯閣下にご挨拶に伺おうと書簡を出していたのだけれど、ぜひ君にも会ってみたいとの閣下のご要望でね」


 ──え、なんですか、それ。


 仮にも王宮の一部をぶっ壊した前代未聞の錬金術師を珍獣のように見てみたいとか、そんなんじゃないですよね?


 私は思わず顔を青ざめ身構えてしまう。

 そんな私に、お父さまが「大丈夫、大丈夫」と軽やかな笑顔で気持ちを和らげようとしてくれた。


「……本当に大丈夫、なんですか? 『領都を破壊したらここも追い出すぞー!』とか先手を打たれるとかじゃないですよね?」


 私は精霊の愛し子だ。それも稀に見る五種類の精霊に愛されている。

 真面目なことを言えば、私は国にとってとても貴重な存在なのでよほどのことをしなければ王都を追われれ、さらに移った先の辺境伯領を追われ、さらには国を追われることは……ない。はず。

 でもねえ、さすがに手に負えないってなったら追い出されるかもしれないし。


「アルマ、なんか面倒なことを考えすぎているだろう? そんなことはないから! 辺境伯閣下がね、君の腕を見込んで、もしお眼鏡に合えば、注文をしたいそうなんだよ」


「……閣下からのご注文」

 私は目から鱗で瞳をぱちぱちとする。


 そうして、私とお父さまとのふたりが三日後に登城することになった。

「ああそうだ。城に着ていくドレスだけれどね。ここは王都から遠く離れた辺境だろう? だから服や装飾品の流行が一回りか二回り……うーんもっとかな。と、そんなわけで、あまり最新のデザインのものは避けるようにね」


 ──お父さま、私着道楽でもないので、その心配には及びません。


 とはいえ、侍女のマリアにでも相談したほうがいいのかも。

 彼女は裕福な商家の出。きっとそういう相談に乗ってもらうには力強い味方だろう。


 そうして、私とお父さまは謁見の準備をすることになったのだった。

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