01.新天地
お久しぶりです。yoccoです。新連載始めます。
いつもと同じく、カクヨムと同時投稿です。
爆弾娘とか物騒ですが、爆弾も物騒なことには使わない予定です。
なお、R15も保険です。
「着いたー!」
私は馬車から飛び降りて大きく伸びをする。そして、すうっと深呼吸をする。
ぐるりと見回すと、辺りは濃い新緑に覆われていて青臭く爽やかな空気が鼻腔をくすぐる。
私の金色の髪にさわさわと風が戯れ、私の緑の瞳に木々の緑が映る。
「「ちゅいたー!?」」
幼い双子の弟妹たちも、私を真似て馬車を飛び降る。弟はペーター、妹はピアだ。
「「わちゃちゃちゃ……」」
そういいながら、身体の軸が定まらずにぐらぐらさせつつ、手をぶんぶんさせている。
まだ彼らは五歳だから、その着地は危なっかしい。
「こらこら、君たちはおてんばなお姉さんの真似をしちゃだめだよ。それから領都はまだ先だからね。ほら、馬車に戻って」
苦笑いをしながら双子たちを窘めるのはアルフォンスお父さま。
「そうよ、全く。娘のせいで一家転勤なんて聞いたことがないわ」
そう言ってため息をつくのはローザお母さま。
愚痴をこぼしてはいるものの、私の王都からの追放を受けて、一家で私の行き先と定められた辺境領へと家族で着いてくると家族の意見をまとめてくれたのはお母さまだ。
ちなみに、お父さまは領地を持たない役職貴族だったから、私の追放を受けて、国王陛下に辺境伯閣下の配下に配属してもらえるよう願い出た。
お父さまは、優秀な魔法武官だ。師団長を務めていた。
国王陛下はお父さまのその腕を惜しみつつも、娘に着いていくというお父さまの確固たる決断を受け入れてくださって、私たちは家族でマイゼンブーク辺境伯領へと引っ越すことになったのだった。
「ちょっと待って、ここに珍しい薬草が生えているの。持って帰って畑に植えたいわ」
その言葉に、お母さまがため息をつく。なぜなら、その畑は私自身の手で耕すのが分かっているからだ。
「錬金術師だから仕方ないとはいえ、子爵家の令嬢が畑だなんて……」
そんな嘆くお母さまを余所に、私はるんるんとスコップを使って野草を採取するのだった。