ブレイク・ビートバーク
気がつくと既に夜になっていた。
「帰らないと……。」
ブレイクはおぼつかない足取りで帰宅した。やはり家族もいなくなっていた。自室のベッドに倒れ込み気を失うように眠りについた。
その後のことはよく覚えていない。数日間は飲まず食わずだったがさすがに限界がきて冷蔵庫の中のものを食べた。
数日後、町の様子を見るために外出した。やはり、誰もいない。1人くらいはいるのではないかと希望を抱いていたが、それは砕かれた。
ブレイクはもう何もかもがどうでもよく思えてきた。
気がつくとビルの屋上にいた。
「いっその事、同じ場所に。」
その時である。ロボットのような物が町中に現れた。そして気がつくと真っ白い不思議な空間にいた。そこにはブレイクの他にも5人の人間がいた。久しぶりに人を見て泣きそうになるのを堪える。
「皆さん初めまして、私はイヴといいます。よろしくね。」
長い金髪の女性がこの世界で起こっていることを説明してくれた。
「ということで、申し訳ないんだけど、力を借してください。お願いします。」
イヴが頭を下げる。
「もう起きてしまった事実は変えられない。なら、これから起きる悲劇を防ぐしかない。僕は協力しますよ。」
そう言ったのはハイドだった。他の人もハイドの言葉を聞き頷いた。
「ありがとう。よろしくお願いします!」
ブレイクにはこの時のハイドが眩しく頼もしく見えた。だから、着いていくことにした。
ーーー
しばらく気を失っていたようだ。遠くで触手がうねるのがはっきりと見える。
「はぁ、こりゃまだ死ねないな。」
集合体はブレイクを侮り油断していて攻撃を仕掛けてこない。この間にエネルギーを傷の治癒に回す。完全にとまではいかないが、ある程度、走れるようになるまで回復したらケリをつけに行く。
シュバァァァァァァ!!!!
ブレイクが十分回復する前に集合体が攻撃を仕掛けてきた。
「やっぱ、待っててはくれないか。」
ブレイクは無理やり身体を動かして攻撃を避けた。更地になってしまったため身を隠せる場所がない。身体中が死ねるくらいに痛い。一瞬でも気を抜いたら気絶してしまいそうだ。身を隠して傷を治したいが、隠れる場所がない上に集合体の猛攻が続くため、傷の治癒に集中できない。
「くそっ、このままじゃいずれやられる。痛みを無視すればなんとかいけるか…。やってやる!何がなんでも生きてやる!」
集合体目掛けて突っ込んでいく。触手を上手く捌き徐々に距離を詰めていく。
「集合体まで100メートルの所まで行けば、たぶん倒せるっ!!」
集合体の攻撃速度が上がったがブレイクは全てを避けて進んでいく。
「もう少しっっ!!!」
集合体の攻撃速度がさらに上がった。ブレイクは一撃もらってしまったが構わず突き進む。
「よし!!ここだ!!!!」
ブレイクの身体はすでに限界を超えている。これを外せばもう次は無い。
ブレイクが神器を放とうとした瞬間、集合体の全身から黒い光線が飛び乱れた。
「クッッッ!!!!」
ブレイクは紙一重で光線を弾いた。たが衝撃が大きく、再び遠くに飛ばされてしまった。
「はぁはぁはぁはぁはぁ…」
全身から血が流れ、血反吐を吐き、左腕はまだ使い物にならない。すぐさまエネルギーを傷の治癒に回す。
「あいつ、あとどこまで力を隠してやがる。こっちはもうすでに限界超えてるってのによ。」
触手と光線がこちらに向かってくる。
「くそっ、立て直す余裕がねぇ…。」
触手と光線を躱しつつ先程のように突っ込んでいくのは無理だ。ブレイクは脳をフル回転させて糸口を探る。
「詰みか…。」
だが時間は稼げたはずだ、土煙の中を上手く立ち回れば1人なら逃げ切れるだろう。
いや、駄目だ。こいつはどこまでも追ってくる。ここで、何がなんでも倒さないと。
「賭けだなこりゃ。生きてる確率はほぼ無いだろうけど、やるしかねぇ。神器を解放するしかねぇ!」
神器の解放は身体への負担が大きすぎるため今まで避けてきた。だが、もうそうも言っていられない。このままじゃどうせ死ぬんだ。なら、少しでも生き延びられる確率が高い手段を取る。
ブレイクはしっかりと大地を踏み締め集合体を見据えた。
「神器!!解放!!!!」
ブレイクの身体の周辺が金色に輝き始めた。集合体の攻撃をその場で弾き続ける。
「捕らえろ!天の鎖!」
次の瞬間、集合体の周囲に大きな鎖が現れ、集合体の動きを封じた。それと同時に触手と光線の攻撃が止んだ。
「ゲホッガッハッゲボッ」
ブレイクは血反吐を吐き、地面に膝をついた。神器の強大な力がブレイクの身体を内側から壊していく。だがそれに構わず立ち上がり、集合体目掛けて突っ込んでいく。
集合体は身体の自由を奪われ一切の攻撃ができずにもがいている。
「終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ブレイクは最大火力を集合体に叩き込む。
「₡₦∌∦∡∤∔∓∨⋖§!!!!!!!!!!!!」
集合体の断末魔のような鳴き声が響く。
そして集合体は煙のように消えていった。
集合体が消えた場所には心臓の止まったブレイクが倒れている。
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