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神器

2人が研究所に戻って3ヶ月が過ぎた頃、指輪の研究が続けられていた。


「指輪は見つかったけど、起動方法が一向に見つからないねぇ。」


「はい……。どの文献を調べてみても関係のありそうな情報が全く出てこないですね…。」


「心当たりのある文献はこれで最後だよ…。あの遺跡にもなんにも手がかりなかったしねぇ。知り合いの研究者にも何か心当たりないか聞いてみるよ。」


「よろしくお願いします。」


「うん。ところでワイアットくん、お腹空かないかね?」


ワイアットがふと時計を見てみると21時を少し過ぎていた。


「もうこんな時間だったんですね!確かに、お腹空きました。」


「でしょ?食べ行こ?」


2人は研究所の近くにある行きつけのラーメン屋に行った。いつもワイアットは塩ラーメンをイヴは豚骨ラーメンを頼む。


「どうすれば起動するんでしょうかねぇ。構成している物質は地球上の物ではないですし、機械でもないようですし、特定の人物にしか使えないとかですかね?」


「そうだったとしたら起動するのは難しいね。このことは研究所内でも一部の人しか知らないことだからねぇ。」


「ですよねぇ…。」


「まぁ、これまで通り地道に探っていくしかないね。」


ラーメンを食べ終わり、2人は研究所へ戻って指輪の調査を続けた。




9年後、ワイアットは43歳になっていた。


とある国の小さな村に大昔から保管されていた書物を調べ、天の指輪の起動方法を突き止めた。


「人の生き血を吸わせるって、これ……。」


「うん…。人を、殺さなきゃいけない……。」


「俺が…………死ねば…。」


「駄目だよっっ!!!!!それは、駄目。」


2人は他の方法を探すことにした。


「ワイアット、実は、ずっと嘘ついてたことがある…。言わなきゃとは思ってたんだけど、引っ込みがつかなくなって……。」


「なんですか…?」


「君の彼女のサマンサさんを殺したのは、私の仲間なの。」


「え……………?」


「今でもよく会ってるの。」


「え、なんで、だって、探してるって言ってたじゃないですか!封印するために機械も造った!まさか、封印しないなんて言い出しませんよね。」


「私が、私たちが封印したいのは人間なの。」


ワイアットはイヴの発言に恐怖を感じ、後ずさった。


「どういう、ことですか。人類を滅ぼすつもりですか。サムを殺したのも俺に近づくためですか。」


「嘘をついていたことは、本当に申し訳ないと思ってる。ごめん。でも、君の研究に対する姿勢を見てて本当のことを言わないとと思った。だから、今話そうと思った。」


「………………話を、続けてください。」


「ありがとう。まず、サマンサさんについて話さなきゃいけないことがあるの。サマンサさんは蛇と呼ばれる存在で、人類の浄化を企んでいるの。世界中で起きている謎の失踪事件は蛇による殺戮。

蛇とは私たちも知り合いで、すごく古い時代からの知り合いなの。

私たちも蛇も寿命で1回死んだんだけど、蛇がこの時代に蘇り人類を滅ぼすことを予見したソロモン王がその指輪を使って、私ともう1人の仲間をこの時代に復活させた。

そして25年前、やっと見つけた蛇を私の仲間が殺した。その現場を君が目撃してしまったってこと。」


「でも殺したんですよね。じゃあもう終わったことなんじゃないんですか?」


「人間に化けていた蛇は本体じゃないの。本体は別の場所にいるんだけど、そこに行く手段がなくて、蛇が復活する度に殺すしか今のところは方法がない。」


「そんな化け物にどうやって勝とうって考えてるんですか。」


「蛇への対抗手段として、神は3つの神器を創り出したの。その1つがその天の指輪。」


「じゃあ他の2つは今どこにあるんですか?」


「他の2つには所有者がいるんだけど、その人たちは今はこの世界にはいないの。」


「亡くなったんですか?」


「いや、生きてはいるんだけど、私たちの住むこの世界にはいないだけ。」


ワイアットは情報量の多さに着いていけず、頭を抱え椅子に座った。


「ごめんね、こんな話すぐには信じられないよね。私飲み物買ってくるよ。」


イヴは財布を持って部屋を出ていき、ワイアットは思考を整理していた。


「サムが世界を滅ぼす元凶で、イヴさんはそれを殺すために長い時間をかけて復活して、人類を救うために人類を機械に封印する?

意味が分からない。常識離れしすぎだろ…。」


ワイアットはトイレへ行こうとふらっと立ち上がった。その時、何かが背中に触れた感触を覚えた。


次の瞬間背中が痛み始め、背中を刺されたのだと理解した。


「ぐあ"っっっ………………。」


ワイアットは痛さのあまり倒れ込んだ。誰の仕業か顔を見ようと振り返ると、25年前のままのサマンサが冷たい表情をしてこちらを見下ろしていた。


「サ、ム……。」


「久しぶり、ワイアット。元気そうだね。」


サマンサの顔を見て、イヴの話が真実なのだとワイアットは確信した。


「お前あの頃ずーっと1人で襲いやすかったからさぁ、養分にしようと思って近づいて遊園地の帰りに路地裏で食おうと思ったんだけど、アダムの野郎に殺されてしまってよぉ。でも良かったかもな、お陰で天の指輪の起動方法が分かった。礼を言うよ。これで俺の計画も上手く運ぶ。ほら、もっと血を流せ。指輪はどこだ?」


バリィィィンッ!!!!!


窓を割り男が1人入ってきた。


男はサマンサをナイフで斬ろうとしたが避けられた。


「チッ、アダム。邪魔をするんじゃねぇ。もう少しなんだからよ。」


「それは悪い。指輪は絶対に渡さない。そしてワイアット君、君にも謝らなければならない。25年前、そして今も間に合わず申し訳ない。もう少し耐えてくれ、すぐに終わらす。」


「あぁ〜お前の血でもいいやっ!そして魂は俺が貰う、もう二度と邪魔ができないようにな!」


そして2人は窓から飛び出し姿を消した。


「あぁ…これ、死ぬなぁ……。」


ワイアットは死を覚悟し、自分のポケットから天の指輪を取り出し背中の傷口に押し当てた。


すると指輪は黄金に輝き出した。


「起動に、成功したか…。」


ワイアットは自分が死んだ後に蛇に対抗できるようにするため、強い武器を願った。


天の指輪は天の弓、天の槍、天の鎖、天の馬、天の鏡、天の盾の6つの神器を創り出した。


「これで、イヴさん…たの……。」


遠くから走ってくる足音が聞こえる。


「ワイアット!!!だいじょっ…!!」


イヴは倒れているワイアットと6つの神器を見つけた。イヴがワイアットの状態を確認した時には既に息をしていなかった。


「ワイアット……。ごめん、本当にごめん……。巻き込んでしまって、ごめんなさい……。君が繋いでくれた意志を、私が繋ぐから、安心して眠って……。」


イヴはアダムと蛇を探しに研究所の外へ出た。


イヴは2人を探し回り、研究所の裏口付近で壁に寄りかかるアダムを見つけた。


「アダムッ!!!!大丈夫!?傷すぐに治すからっ!」


「無駄だ、致命傷だよ。」


「そんなっ…っ!蛇は!?」


「とどめを刺したら身体が崩れて消えた。」


「そう…。でも、また蛇は復活して現れる。アダムがいないと私だけじゃ蛇とは戦えない!」


「探すんだ、特異点を。そいつらなら、きっと……。頼んだぞ、イヴ。」


そしてアダムは息を引き取った。


その数日後、イヴは天の指輪を使い全人類の魂を機械に封印した。天の指輪は輝きを失い、錆びれたような色になり二度と動かなくなった。


イヴは5人の特異点を見つけ出し世界の現状について説明をし、神器を託した。


そして、今に至る。

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