古代遺跡
ワイアットとイヴはある国の深い森の奥にいた。歩ける場所はほとんど無く、見たことのない植物が生い茂っている。2人は草や蔓を切り払い、少しづつ森の奥へ奥へと進んでいく。
「イヴさん、大丈夫ですか?ここぬかるんでますよ。」
「なんとか、大丈夫。すっごい歩きにくいけど。」
「ここじゃあ野宿できませんよ。もう2週間近く野宿なので、そろそろ雨風凌げる所で寝たいです。」
「残念、地図だとここら辺に人里は一つもないみたいだよ。」
「じゃあせめてもう少しぬかるんでない所まで行きましょう。ほんとに、ここじゃ寝られませんよ。」
それから3時間ほど歩き続け日が沈みかけた頃、2人はなんとか野宿ができそうな場所を見つけた。
「ん〜、やっぱり少しじめじめするね。火焚けそう?」
「はい、大丈夫です。明日はもう少しいい場所で寝れるといいですよね。」
2人は火を挟み自分のハンモックを設置した。
「ワイアット、まだ起きてる?」
「はい、どうかしましたか?」
「いや、特に何もないんだけど、寝れなくてさ。」
「確かにいつも以上に寝にくいですよね、じめじめしますし。」
辺りは草木に囲まれ、上には満天の星空が広がっている。
しばらくして再びイヴが口を開いた。
「今更だけど、ワイアットは機械への封印手段が見つかったら、あいつを封印するだけでいいの?」
「どういうことですか?」
「いや……彼女さんが殺されてる訳だし、犯人を殺したいとか思うんじゃないかなって。」
「……。そうですね、最初はほんとに、できる限り痛めつけて殺してやりたいと思ってました。そのために身体強化の研究をしてたんで。でも、そしたらやってることあいつと変わらないなって思って。
確かにあいつが先にサムを殺した犯罪者だけど、俺があいつを殺しても結果的に同じ犯罪者だなって。
そんなことしたら、あっちに行った時サムに合わせる顔がない。だから、殺すのは駄目だなって思ったんです。」
「なるほど。ほんとに、大切だったんだね。」
「はい。よく笑う人で、つられて俺もいつも笑ってました。学校の人気者で、誰からも好かれてて、勉強も運動もできて。
そんな万能の人がなんで俺なんかを選んだのか、今でも分かりません。
でも、サムと出会えて俺はすごく幸せでした。その時間はずっと俺の宝物です。」
「そうか。じゃあ早く天の指輪見つけないとね。」
「はい。それまで力を貸してくださいね。」
「何を今更。当たり前でしょ。火の番をしておくから、先に寝ていいよ。私まだまだ寝れなそうだからさ。」
「ありがとうございます。おやすみなさい。」
それから6年後。ある離島の奥地に古代遺跡を発見し、2人は調査をしていた。
「イヴさん、そっち何かありました?」
「何もない。ほんっとに暗くてよく見えないし、足場も悪いから難しいね。」
「でもどこかに隠し通路の入口があるはずです。仕掛けか何か。」
「奥に広い空間があるのは分かってるからね。でもこんなに探しても手がかりがないんじゃ、塞がれちゃってるのかもね。それか入口は違う場所か。」
2人は毎日毎日その遺跡の調査をし続けた。しかし、奥の空間に繋がる通路や扉などは見つからず諦めかけていた。
「ん〜、外側を調べてもやっぱり何もないねぇ。」
「そうですねぇ。でもここまで調査を続けてきて、奥の空間に何かがある可能性が高いことが分かりました。諦められません。何がなんでも、奥に通ずる場所を見つけます。」
「だね!私もう1回あっちの方見てみるからここお願いね!」
「はい!そっちはお願いします!」
ワイアットは黙々と調査を進め、草をかき分け奥へ奥へと進んでいく。
「くそっ、これ以上進めないか。でも、まだこの先に何かありそうなのに…。」
無理に奥に進もうと足を踏み出した瞬間、地面が沈み、ワイアットは滑り落ちていった。
「痛ってぇ…。下に落ちたのか。」
上を見上げ落ちてきた穴を確認すると、登って出るのは難しそうだった。
「ここは、遺跡の1部か?暗くてよく見えない…。」
穴から入ってくる微かな明かりを頼りに辺りを見回すと、5m程離れた場所に扉らしき物を見つけた。
「もしかしてっ…!!」
懐中電灯を持ってきてもらうために、ワイアットは大声でイヴを呼んだ。
しばらくしてイヴが穴の上に顔を覗かせ、事情を聞き懐中電灯を落とした。
ワイアットは灯りをつけ、重い扉を押し開けた。
「わぁぁぁ……。」
扉の向こうには広い空間が存在しており、その中央には1つの棺があった。
「ワイアット!!なんかあった!?」
後ろからイヴが追いかけてきた。
「棺だ………っ!これ、もしかして。」
イヴが早足で棺に近寄っていった。
「ワイアット!開けるの手伝って!」
2人が棺を開けると中には1人の遺骨が入っており、遺骨の右手薬指には指輪がはめられていた。
「イヴさん、これ…!」
「うん!これが天の指輪。やっと見つけられたね!これを持ち帰って分析してみよう!」
「はい!良かった…本当に……。」
2人は喜びのあまり涙を流し、笑いあった。
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