昔の話
1999年。ワイアット・セイヴァーという少年がいた。
両親とも科学者で、家でもほとんど研究の話ばかりしている。ワイアットが幼い頃からそんな感じなので、ワイアットも科学に興味を持ち話に混ざることもあった。
学校ではほとんど人とは話さず、昼休みや放課後はずっと図書室で本を読んでいたため、友達が少なかった。
ある日の放課後、いつも通り図書室で本を読んでいると1人の女子生徒が声をかけてきた。
「何読んでるの?」
唐突に声をかけられワイアットは驚いたが冷静に返答する。
「『王への手紙』っていう小説。」
「へ〜面白い?」
「うん、面白いよ。読む?」
「あなたが読み終わったら読むよ。その間私は他のを読んでるね。」
そう言いその女生徒は本を探しに行ったが読みたいものが無かったらしく、ワイアットの横の席1つを空け座り、顔を伏せ寝た。
(なんだこの人…。)
滅多に声をかけられないワイアットは同じ学校の生徒とは言え、知らない人に接近され戸惑った。
下校時間が近くなった頃、ワイアットは本を読み終わった。
「やっと読み終わったの?ぐっすり寝ちゃってたよぉ。」
「ごめん。もう学校閉まっちゃうから、この本借りていったら?」
「いいや、その本が読みたかった訳じゃないし。」
「じゃあなんでずっとここにいたの?何か用があるの?」
「あなたを待ってたの。一緒に帰りたくて。私、サマンサ・イービル。よろしくね!ほら、行くよ!」
ワイアットはひどく驚いた。
「なんで、俺なんかと。」
「ん〜、なんか、気になっちゃって。いつもほとんど1人でいるでしょ?楽しいのかなぁって思って、興味湧いたんだよね。」
「楽しいよ。知識は永遠の財産だからね。」
「人脈も永遠の財産だと思うけどなぁ。ね、だから一緒に帰ろう?」
変なやつだなとワイアットは思ったが、それと同時に少し興味を持った。
それから2人はよく話すようになり、図書室で一緒に本を読んだり、帰りや休日は一緒に出かけたりと徐々に仲良くなっていった。
「ねぇ、ワイアット。私と付き合わない?」
「うん、いいよ。よろしく。」
しばらくして、2人は付き合うことになった。しかし、美人で人気のあったサマンサに恋人ができたということで噂はすぐに広まった。
「なんであんなやつがサマンサと付き合ってんだよ。絶対俺の方がいいだろ。」
「あいついつも1人でずっと本読んでるし、サマンサもそれに付き合わされてつまんないだろうなぁ。」
妬み故の陰口が至る所から聞こえてきた。
「ワイアット、気にしなくていいよ。あなたのいいところは他の人たちよりも私がよく知っている。私は自分の意思であなたといるの。言いたい人たちには言わせておきな。何かされたら私に言ってね。ガツンッと言っておくから!」
「ありがとう。でも、サムに頼らなくてもいいくらいの、サムに釣り合う人物になるよ。そうすれば、助け合えるだろ?」
「そうだね!頑張って!」
そしてその日も2人は一緒に帰った。
「ねぇ、今度の休み遊園地にでも行かない?」
「いいよ、行こうか。楽しみにしてるね。」
「やったぁ!何着てこうかなぁ!」
夕日に照らされるサマンサの笑顔がとても可愛く、ワイアットは見蕩れていた。
そして休みの日、2人は遊園地前で待ち合わせをしていた。
ワイアットが少し早めに着きサマンサを待っている。
「お待たせ!ごめんね待たせちゃって。」
「いいや、俺が早く着きすぎちゃったんだよ。サムは時間通りに来たよ。」
「へへ、良かった。じゃあ入ろうか!」
サマンサは地図を広げ眺めると、1番にジェットコースターに乗りたいと言い出した。
「やだ。絶対に嫌だ。」
「大丈夫!私が隣にいるから!ね!」
そしてワイアットは半ば強引にジェットコースターに乗った。
「ハハハハハ!!大丈夫!?グロッキーだねぇ!」
「気持ち悪い……。水買ってくる。」
「いいよ、私が行ってくるからそこのベンチで休んでて!」
「ごめん、じゃあお願い…。」
サマンサはワイアットをベンチに座らせると急いで水を買いに行った。
しかし、20分ほど経ってもサマンサは帰ってこなかった。ワイアットは心配になり、体調が回復したためサマンサを探しに行った。
建物の裏を探してみても他の客に聞いてみても見つからず、アナウンスをしてもらっても見つからなかった。
見つからないまま閉園の時間になり、仕方なくワイアットは遊園地を出た。そして入口の前でサマンサが出てくるのを待ったが出てくることはなかった。
「どこ行ったんだよ…。やっぱり俺が不甲斐ないから帰ってしまったのかもな。」
帰る途中、人が多い通りを歩きたくなかったため、ビルの裏を歩いていった。
すると、遠くの方に2つの人影が見え、1人は倒れている。
関わってはいけない危険性を感じ、ワイアットは立ち止まり動けないでいると立っている人影がこちらを向いた。
(やばいっ!逃げないと…!)
その影はこちらに向かってくるかと思いきや大きく跳躍し、ビルの屋上までひとっ飛びして姿を消した。
「なんだ、あれ。人間じゃない。化け物だ。」
ワイアットは目の前で起こったことが理解できず混乱していた。しばらくして倒れた人影の存在を思い出し、恐る恐る近づいた。影が鮮明になってくると、見た事のある服装であることに気がついた。
「ーーーっ!?サムッッ!!!!」
サマンサは腹部を刺され血を流し意識が朦朧としていた。
「サム!サム!!今病院に連れていってやる!だから耐えてくれ、死ぬな!」
「ワイアット……。あいつを…必ず……。戦っても、勝て…ない。よろs……。」
サマンサはワイアットの腕の中で息を引き取った。
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