約束と出発
翌日の昼、再びノアは目を覚ました。ノアは立ち上がり、誰かいないかと人を探すため屋敷の外に出た。
竹藪から溢れる眩しく暖かい陽の光に、肌を優しく撫でる涼しい風。ノアは深呼吸をし微笑んだ。
「おはよう、調子はどうだい?」
「先生。おはようございます。お陰様でもうなんともないです。ありがとうございます。」
「それは良かった。君に話がある。茶でも飲みながら話そう。」
2人は屋敷の茶の間に行き、鬼一が茶を入れ1口飲んだ。
「イヴの居場所が分かったよ。」
「本当ですか!?」
「あぁ、遅くなってすまないね。イヴは今西欧にいるようだ。おそらく、天の弓の所有者のファム・ファタールと一緒にいるんだろう。明日の昼、風花と一緒に向かいなさい。」
「明日ですか、急ですね。」
「遅いくらいだよ。君の目的はイヴに異常の正体を聞くことだろう。今すぐにでも向かいたいんじゃないのかな?」
「それは、そうなんですけど。ここの生活があまりにも魅力的で、名残惜しいです。」
「それは嬉しいね。里の長として礼を言おう、ありがとう。でも君は行かなければならない。おそらく、近いうちにその異常が君やこの世界を救ってくれるだろう。そのために、君は早く真実を知らなければならない。」
「どういう、ことですか?」
「その時になれば分かるよ。それじゃあ、明日の昼までに準備をしておいてね。」
話を終え屋敷前の階段を下りているとノアは四に会った。
「待っていたぞ。ノア。」
「四、なんか話?」
「あぁ、お前明日ここを発つんだろ?その前に1勝負しておきたいと思ってな。」
「そうだね、やろうか。広場でいい?」
「ああ。」
2人はそれから一言も話さず広場へ向かった。
広場には数人の機械がおり、2人の模擬戦を見ようと足を止めた。
四はこれまでにないほどの圧を放ち、どっしりと剣を構える。
ノアは大きく深呼吸をし、ゆったりと剣を構えた。
周りの機械たちは2人の圧に気圧され後ずさる。
先に動いたのは四だった。真っ直ぐにノアに向かって突っ込んでくる。
ノアは右下からの斬り上げを避け四の首を狙う。
四はそれを剣で受け止め鍔迫り合いに持ち込む。
四が押され負け1歩引いた所をノアは狙いにいく。胴、腕、脚、首、次々に繰り出される連撃を凌ぐので四は精一杯だ。
四は状況を立て直すため後ろへ大きく飛びノアと距離をとった。
ノアは着地の瞬間を狙うため思い切り踏み込んだ。
「くっっ!!」
着地の瞬間の連撃を間一髪で凌ぐ四。しかし、体勢を崩したところを狙われ後ろへ倒れ込んでしまった。
ノアはその機を逃さず剣先を四に突きつける。
「負けたよ。ほんと、強くなったな。お前、手を抜いただろ。ムカつくなぁ。」
そう言い四は渋々立ち上がる。
「いいか!次は絶対に私が勝つ!いいか、絶対だっ!」
「俺も負けないように修練しとくよ。」
2人はそう約束し別れた。
次の日の昼、鬼一の屋敷へ行くと鬼一と風花が待っていた。
「来たねノア。じゃあ風花、よろしくね。」
「はい、任せといて下さい!ノアは私がきっちりイヴ様の所まで送り届けます!」
風花が天の馬に跨り、続いてノアも跨った。
「先生、今まで本当にお世話になりました。イヴさんからお話を聞いて俺の異常の原因が分かったら、またここに来てもいいですか?」
「もちろんだよ。君はずっと僕の弟子だ。いつでも帰ってきなさい。僕はずっとここにいるから。」
「ありがとうございます!じゃあ、行ってきます!」
「ああ、行っておいで。」
天の馬が翼を大きく開いき嘶いた。
「風花、よろしくね。」
「任せて!きっちり安全に送り届けるから!」
そして2人は里から姿を消した。
「行ってしまったか。まったく、遮那王もあれくらい真っ直ぐで素直だったらどんなに楽だったか。」
鬼一はしばらく青空を見上げていた。
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