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模擬戦

目を覚ますとノアは鬼一の屋敷で横になっていた。


「あ、起きたかい。緊急事態だったから僕の方で君の意識を戻したよ。」


「先生、あそこはどこなんですか。」


「あそこは君の精神世界だよ。そこでエネルギーの使い方を覚えてもらって、より使いこなしてもらおうと思ってね。だから自分の力で戻ってきてほしかったんだけど、予想外の事態が起きてしまったからね。気分悪くはないかい?」


「はい。少し眠たい感じがするだけです。」


「少し疲れたのかもね。1時間休んだら裏庭においで。」


そう言い鬼一は外へ歩いていった。


ノアは言われた通り1時間横になり休むことにした。


(やっぱりここは気持ちがいいなぁ。)


気持ち良い風が吹き抜け、ノアは寝入ってしまった。


1時間後、ノアが裏庭に行くと鬼一が1本の槍を持ち待っていた。


「遅かったね。寝てしまったかい?」


「はい。すみません。」


「いいよ。それなら疲れが取れてよく動けそうだね。今から君には僕と模擬戦をしてもらう。精神世界の経験を経てエネルギーの使い方が上達しているはずだ。全力でかかってきなさい。」


「分かりました。」


ノアは剣を構え鬼一の様子を伺う。鬼一は微動だにせず立っている。


エネルギーを全身に巡らせじりじりと距離を縮める。


(ただ立ってるだけなのに隙が全く無い。たとえ真後ろから攻撃したとしても避けられると解る。)


ノアは真っ直ぐに鬼一に走っていく。


(ーーーっ!!)


以前よりもエネルギーを上手く巡らせられるようになっていることに気づきノアは驚いた。


(ここまで変わるのか。前とは比較にならないほどに速く動ける。これなら先生ともやり合えるかもしれない!)


鬼一の目の前まで行くと急に低い体勢をとり背後に回る。


ノアは足元を狙ったが鬼一は槍の先で止めた。


「悪くはないね。ほら、攻撃の手を休めてはいけないよ。次々きなさい。」


ノアは連撃を繰り出すが鬼一はそれを全て最小限の動きで凌ぐ。


ノアは1度距離を取るために後ろに飛んだ。


(先生、最初の位置から1歩も動いてない。なのにまだ一撃も与えられてないなんて。どうにかして1歩だけでも先生を動かしたいっ。)


「暇だね。今度はこっちからいくよ。」


次の瞬間、ノアの視界から鬼一が消えた。そして右の視界に槍の穂先が見えた。


「ーーーっっ!!??」


ノアは驚き、跳ね退き後ろを見た。


「さすがに今のは見えなかったかい。なら次は少し遅く動くから凌いでごらん。」


すごい勢いで突かれた槍を間一髪で剣で受ける。頭を狙ってきた槍を凌いだと思えば、次の瞬間にはすでに胴の手前まで穂先が来ている。ノアは身をよじり躱す。体勢が崩れたところを狙われノアは倒れ込んだ。


それに構わず鬼一は攻撃を続ける。


ノアは鬼一の攻撃を全て間一髪で避け続けるので精一杯で反撃に出れない。


とりあえず距離をとろうとノアは思い切り剣を振り上げ、鬼一は槍で受け止める。


静かな竹林に金属の衝突音が響き渡った。


鬼一の動きが止まった隙にノアは大きく後ろに飛び距離をとる。


「はぁはぁはぁはぁ…ふぅぅ……。」


ノアは息を整え身体にエネルギーを巡らし、思い切り大地を踏み込む。


鬼一の左腕が狙えそうと思いノアは剣を斬り上げるが当然のように防がれる。そこで鬼一の右脇に隙が生じ、ノアはそこを突こうとするが脇腹に鬼一の蹴りが入り飛ばされた。


「今のは良かったね。動きも速かった。今の感覚を忘れないようにね。今日はここまでにしようか。これから毎日、僕と模擬戦をしてもらうから、頑張ってね。」


「いててて…。はい、よろしくお願いします。」


ノアは脇腹を押さえながら立ち上がった。


「じゃあノア、次はこの岩の上に座ってもらえるかな。」


言われた通り、ノアは岩の上に座った。


「目を閉じて呼吸を落ち着かせて。そして意識を周りに向けて周囲で起きていることを感じ取ってごらん。これもこれから毎日続けてやってもらう。」



その夜、ノアは寝る前に畳に座り周りに意識を集中させてみた。


初めは無音だったが徐々に人が床を歩く音や扉を開ける音や外で話す声などが聞こえてきた。


(あ、先生また酔いつぶれてる。)


「明日もがんばろうっ!」


風が木の葉を揺らす音を聞きながらノアは眠った。

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