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夢と希望と

西暦2129年。人類が絶滅し機械と呼ばれる人型の生命体が誕生してから104年が経った。


地上には機械の他に堕鎮だてんと呼ばれる黒い人影のような形の生命体も生息している。


堕鎮には理性が無く、異常なパワーとスピードを持っているため並の機械では襲われても敵わない。そのため、機械達の数は少ない。


機械達は巨大な壁を造りそこを国として壁の内側で暮らしていた。


堕鎮はより人口の多い場所に集まる習性があり、国の周辺に寄ってくるため、山奥の村などの被害は少ない。


東アジア北部の国で暮らしている機械のノアは絵を描くことが好きで毎日町の風景や道端に咲いている花などを描いて過ごしている。


「おーい、ノアー!」


ノアが自分の家の前で雑草の絵を描いていると友人のトーマスが声をかけてきた。


「トーマス、今日は何を持ってきたの?」


「今日はオムライスだ!」


「好きだね、それ。一昨日も食べてなかった?」


「好きなんだからいいだろ。これくらいしか趣味がないんだしよ。」


機械は食事が必要ないが趣味として食材を調理して食べる者もいる。


トーマスは鶏を育てている。そのため鶏肉を使った料理が多い。ほぼ毎日何かを作ってはノアと一緒に食べようと持ってくる。


「どんどん腕上げてるね。」


「そうか?それは嬉しいな!いつだか王様が言ってた、ラーメン?ってやつも作ってみたいんだが、材料がなかなか手に入らないからなぁ。」


「まぁ、料理が趣味な人はあんまりいないからね。作物や家畜を育てる理由がないもんね。王様は食べるの好きみたいだけど。」


「そうなんだよな〜。食べ物の知識も豊富だしよ、気が合うと思うんだよな!」


「まず会うことすらできないでしょ。滅多に顔を見ることもできないし。夏祭りと年末年始くらいじゃん。」


「顔はゴツイけど声はなんか、こう、柔らかいんだよな。」


などと他愛もない話を何時間もし続け、夕暮れに帰っていく。


機械には寿命が無いため、生きるために何かをする必要がない。そのため趣味というのは機械達にとってとても重要なことだ。


ノアにとっては絵を描くこととトーマスと話すことが趣味だ。


こうしてノアの日常が終わる。


機械には食事などは不要だが、なぜか睡眠は必要なことだ。


機械は眠っている間に起きている時の光景を見ることはたまにあるが、夢を見るということは無い。


しかし、ノアは最近、見た事のない光景を連日夢に見る。


「昨日返されたテスト親に見つかってさー、どえらい叱られたわぁ……。」


「ちゃんと勉強すれば赤点は回避できたぞ、あのテスト。」


「んーーー。いや、だって、新発売のゲームの続き気になってさー。」


知らない、見たこともない生物が会話をしている。


いや、見たことはないが知識としてなら知っている。あれは人間という生き物だ。


言語は分かるが、話の内容は理解できなかった。


別の日には、自分が絵を描いている光景が浮かび、誰かが自分に話しかけるが、ノアには聞こえていないという夢を見た。


最初は、すぐに治まるだろうと思っていたが、連日続くと異常に思って怖くなりトーマスに相談してみることにした。


「そんなこと1度も聞いた事ないなぁ。もちろん俺もそんなことになったことないし。」


「だよなぁ。まさか死ぬなんてことないよな?」


「物騒なこと言うなよ!もっと不安になるだろうが。」


「ごめん。」


お互い黙り込み、しばらくしてトーマスが口を開いた。


「ガブリエルに相談してみるか?」


ガブリエルとは、国が堕鎮に対抗するために組織した騎士団の団長だ。


ガブリエルとは2人とも旧知の仲で、たまに会っている。


「そうしてみるか。」


ノアはもしかしたらガブリエルならと思い、相談してみることにした。


その日の夜、2人はガブリエルの家に行った。


「おう!久しぶりだな!元気そうでなにより!何も無いが座ってくれ!」


2人は椅子に座り、初めは他愛もない話をして本題に入った。


「んーー。悪いが俺も初耳だ。力になれそうにない。すまん。」


「いや、いいんだ。どうせそのうち治まるよ。」


空気が静まり返った。


ノアは内心不安で仕方なかったが、慌ててもどうにもならないと自分に言い聞かせ、恐怖に耐えていた。


「1度、国王陛下に助言を願うのはどうだろうか。」


ガブリエルが良い案を閃いた、という様に提案してきた。


だが、国王にそんなことで手間をかけさせるわけにはいかないとノアは拒否した。


トーマスが割って入る。


「でも王様ならなにか知ってるかもしれないぞ。今までにない事例なんだ、話を聞いてくれるかもしれない。」


迷いに迷い、2人に背中を押され国王陛下に聞いてみることにした。


数日後、国王が話を聞いてくださることになり、ノアは城に向かった。


城に着くとある部屋に案内され、そこに国王がいた。


「やぁ、初めまして。知っているだろうけど自己紹介をさせてもらうよ。僕はハイド・アン・ド・シーク、この国の王様してます。よろしくね。君はノアでいいんだよね。」


「はい。お初にお目に……」


「いいよいいよ、そんなに堅くならなくて。普通に話して。」


「では、私はノアです。本日はお時間を割いていただきありがとうございます。」


「大丈夫だよ、気にしないで。こっちにも関係がありそうな話だったからね。詳しく聞きたくて。」


そう言ってハイドは椅子に座った。ノアも座るよう促されたので椅子に座る。


「夢を見るんだってね。思い出せる限りでいいから、細かく教えほしい。」


それからしばらく、ノアは夢の内容をできる限り細かく話した。


「なるほど……人間か。すまないけど僕にも原因は分からない。だけど、原因を知ってそうな人は知ってるよ。ここからは極秘事項だからね、僕の後ろの扉を開けて部屋に入ってきてくれないかな?」


そう言ってハイドは目を閉じた。眠っているように見える。


「あのぉ、もう行ってもいいんでしょうか?」


ハイドからの返答はない。


ノアは言われた通り扉を開け、部屋に入った。すると、中には黒髪の好青年の人間が1人いた。


「じゃあ、本題に入ろうか。」


その青年の発した声はハイドの声と同じものだった。


ノアが混乱し固まっていると、ハイドが説明をし始めた。


「見ての通り、僕は人間なんだ。さっきノアが話していたのは作り物でね、こっちで操作してたんだよ。」


「人間は絶滅したのではないのですか?」


「ん〜したんだけど、何人かだけ生き残っててね。複雑だし長くなっちゃうからこの話はいつかね。で、なんで正体を明かしたかというと、これからノアに会ってもらうのも人間だからなんだ。その人ならきっと君に起きてる異常の原因を取り除いてくれるはず。」


ノアは上手く状況を飲み込めないが今のところは理解した気になって徐々に理解していこうと思った。


「ということで、まずはこの国から東にある日本列島に向かってほしい。」


こうして、ノアの旅が始まった。

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