夢見月の空は、アクアマリンの色
アクアマリンの
色をした空に
紅い朝陽が
ゆっくり漕ぎ出して
木々の枝から溢れる
木洩れ日の粒が
夜が染めていた
藍色の大地に
光をちりばめていく
早花咲く月
風のひと吹きごとに
街は春めいて
三月の空はまるで
透き通る浅瀬のように
流れゆく風のように
そして
溶け出したばかりの
雪解け水のように
空の海のしずくは
アクアマリンの色
空を見上げながら
どこまでも続いてゆく
その青さを見つめ
その果てしなさの
中にいる自分を感じて
果てしないのは
空だけではなくて
この胸の中にある
夢もきっと
星の海のしずくは
アクアマリンの色
夜空を西へと
進みゆく星の狩人
その背中を
追いかけていく
おおいぬ座の星々
まばゆいシリウスと
並び輝くミルザムは
先駆者の星
夜空を駆ける
蒼き光のしずくを
夜にこそ輝く
月の女神の石が
希望へと導いて
心の海のしずくは
アクアマリンの色
穏やかな海の時もあれば
潮騒の聞こえてくる日も
時にそのしずくは
涙の蕾から溢れることも
あるけれど
心の海から
豊かな想いは生まれて
そこにきっと吹く
春の海風を感じながら
ふと空を仰げば
夢見草の枝たちが
蕾を膨らませて
その手を伸ばすように
風はまだ少し
冷たく頬をかすめても
春へ向かう心は
ぬくもりをそのままに
見上げた夢見月の空は
アクアマリンの色
その瞳に映る
夢もきっと
青く、澄んだ色をして
アクアマリンは三月の誕生石で、ラテン語の「海の水」に由来し、透き通る青色をしています。夜の僅かな光でも輝き、「月の女神の石」とも呼ばれ、石言葉は「幸福」です。
おおいぬ座でシリウスの次に明るいミルザムは、シリウスの右に輝く青い二等星で、諸説ありますが、「先駆者」「予告するもの」を意味すると言われます。
三月は夢見月と呼ばれ、桜を「夢見草」と呼ぶことに由来していると言われます。三月の空と星、花と宝石をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。