プロローグ
ところで『オニこんっっっ!』って一体何なんでしょう?
――百之木夜胡
「ん?なんだ、そんな事も知らんのか。『オニがこんにちはっっっ!』の略に決まっているだろう」
違うと思います。
――瀬々良木真希
「あ?今それどころじゃねぇんだよ。……アイツどこ行きやがったんだ…百之木め…今日メシ当番だってのに」
さっきそこで見ましたけど…。
「本当か!?助かった!」
―――愛媛桃
「え?『オニこんっっっ!』?うーん…『オニコンプレックス』とかそんなんじゃない?意味わかんないけど。ていうか、真希知らない?用事あるのよね」
あ、さっきそこに―――
「ありがと!さぁてどうしてくれようか…。まず左手小指第二関節をねじって…」
…教えて大丈夫だったんでしょうか…。
結局なんだかよくわかりませんでしたね…まぁ本編で明らかになる事を祈りましょう…。
それでは本編へどうぞ!
拝啓、天国の父上&母上。
俺、瀬々良木真希《セセラギマキ》は、
死にそうでした。
何故過去形なのかというと、今は死にそうではないからです。
俺は先程、自転車からの襲撃を受けました。しかしそれを回避した――そのときに、自転車よりも大きな脅威に襲われたのです。
……自転車を避けた俺は、そのまま車道へとよろめき、現れた大型トラックに轢かれた………ハズでした。
目の前にトラックの生産元のロゴが見えたのをはっきりと覚えています。
しかし、見えた次の瞬間には俺の身体は歩道にありました。
今でも状況が把握できていない俺の横を、変なモノを見るような目でジロジロと眺め回しながら帰宅途中、若しくは外出途中の人々が通り過ぎて行っています。
「見つけたわ…」
不意にそんな声空耳みたいな声が聞こえ、俺は確信しました。
俺は、
生かされたのです。
――★―――★―――★―――
遥か昔、世の中には鬼というモノが存在していた。
鬼はヒトの心に付け込み、その心を喰らった。
鬼は輪廻転生し、滅びる事はなかった。
しかし、ある事件をきっかけに、鬼は世界から忽然と姿を消した。
それでも鬼は…きっとどこかに存在していることだろう―――。
「――って昨日テレビでやってたんだけど、どう思う?嘘クサくない?」隣でごちゃごちゃと話している幼なじみに適当に、「あー」と返事をする。
するとやはり彼女は気分を害したらしく、
「あー!聴いてないなぁ?殴るよ?」
「聴いてる聴いてる。嘘クサいな、うん」
つーか知るか。くだらねぇ。と、瀬々良木真希《セセラギマキ》は思っていた。
今彼らは高校二年。そろそろ進路についても考えなければならない時期に、わけのわからない鬼の話なぞ聞いている場合か。時間の無駄だ。と、女みたいな名前だが一応男、瀬々良木真希は考えていた。
「もー朝だからボーッとしてるのは仕方ないけど、度が過ぎると…捻るよ」
「ドコを!?」
「右足親指第一関節を」
「細けぇな…」
ちなみにこの物騒な女は愛媛桃《エヒメモモ》。
一応、幼なじみの同級生、というやつだ。
今はこんな暴力的な桃だが、昔からこうだったかというと…………こうだった。
真希は昔から桃がひたすらに怖かった。
その恐ろしさ故に桃は、『鬼の愛媛』と恐れられていたものだ。
そんなやつが今、鬼がどうのと話をしている。
奇妙なものだ。
「というか、今日から2学期なんだから、シャキッとしなよ!」
バシン!と背中を叩かれ…もとい殴られ、「うっ…」とむせる。
シャキッとしたいのはやまやまなのだが、真希は先日の事がどうしても気になっていた。
自分は確かに轢かれたハズだったのに、轢かれていなかった。
車道にすらいなかった。
そしてあの声…。
「わかんねぇな…」
桃に聞こえないように呟く。
ただ一つわかるのは、おそらくあの声の主が自分を助けてくれたということだけだ。
「ねぇちょっと、着いたけど」
桃が袖を引っ張ってきて我にかえった。
いつの間にか彼らの学校である『私立東風谷学園』に到着していたのだ。
「あたしちょっと先に行くけど…帰りまでにはシャキッとしてなさいよ?」
じゃあね、と手を振り桃は学園の中へ入っていった。
ちなみに真希は2年A組、桃はB組だ。
クラスが違うのが唯一の救いだ。
可愛い顔してホントに恐ろしいのだ、ヤツは。
「はぁ…」
色々考えても仕方ない。
もしかしたら轢かれそうになったのも、あの声も、どちらも夢だったのかもしれないし。
というかその方が安心できる。
面倒事は御免だ。
真希は前を向いて歩き出した。
どうも、Ne:TeLです。
ここまで読んで下さった皆さん、本当にありがとうございますっ!
このサイトで書くのは初めてなので、試行錯誤しながら書かせていただいてます。
投稿は遅めになるかと思いますが、読んで下さる方々に感謝しつつ頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします!