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お父様は流れ弾でボロボロです

 帰宅後、お父様はしおしおにいじけておられます。それを見て次兄と妹が報復出来なかったのか?と騒いでおりますがお父様には聞こえておりません。

 

「リチャード兄様、オルテシア。私は陛下に嫁ごうと思いますの」

「「??」」

 二人ともギギギッとおかしな動きでこちらを見ます。

「なんで?なんでお姉様ばかりが王族のゴタゴタに巻き込まれなきゃならないのよ」

 オルテシアは心底嫌そうです。あのアホ王子を蛇蝎の如く嫌っておりましたから。


「貴族は基本的に家の利のある婚姻を結ぶでしょう?相手が好ましい人であるかは運です。我が家は政略結婚をしなくても良いとは言ってくれますが基本は公爵家の中から選ばれますわよね?私はたまたま王妃さまのお願いで王子と婚約しましたが。それでね、あの王子には腹が立ちますが!アレと結婚しないで済むのは僥倖なのです」


 決まってしまった事だからと諦めて運命を受け入れていた私にとっては、この状況を逃す手は無いのです。


「一つは今までの教育に掛けた時間を無駄にしたく無い。もう一つはシンプルに陛下は私の好みなのです」

「!!??」

 二人とも目が飛び出しそうです。

「どうせなら好みの人と結婚したいではありませんか」

「いや、おっさんじゃん」

 リチャード兄様、流れ弾がお父様に命中しましたわ。オルテシアは「あー?んー?」って考え込んでます。

「お兄様、私の一番の推しはクロードですの!」

「はぁ?!いや確かにクロードはカッコいいし完璧だけど」

 リチャード兄様には渋好みは理解されないかしら?

 ずっと気配を消していた執事のクロードは

「恐れ入ります」

って笑ってくれていますわ。幼い私の大好き攻撃を軽く流しつつ主の娘としてたくさん可愛がってくれましたわ。


「ちなみにグランマニエ公爵も好みですのよ」

「?!?!」

 リチャード兄様の目が点になりましたわ。

 公爵のお顔はスッとした細面で怜悧な印象の美人さんです。宰相としての貫禄があって大人の色気が堪りません。

「父上と同じぐらいジジィで同じぐらい腹黒だぞ!?」

 またもお父様に砲弾が!

「ッ・・・クッ・パパは腹黒く無いもん・・・」

 普段のお父様からはあり得ないほどのいじけ具合です。


「リチャード、そのくらいにしてあげて。お父様が浮上して来れなくてよ」

 お母様がお衣装を着替えて戻ってらっしゃいました。

 ロナウド兄様もご一緒です。

「アルステリア、別にもう王家に嫁がなくても良いのよ?」

 お母様は私が責任感から結婚を申し出たと思われたのかしら?


「お母様、私は8歳から国のために王家のために民のために教育を受けてきました。今更他の生き方を考えるより予定通りでいたいのです。それに自分に与えられた教育を良い使い方ができる場所で活かせることがあの10年の意味を感じられると思うのです」


 優しい眼差しで見つめてくださるお母様。

 王家に嫁がなくても私は幸せになれるでしょう。

 でもせっかく良い年頃の独身で憧れた人が都合よく転がってきたんですもの。

 王妃さまがご存命であれば無理な話ですが今は手が届くのです。


 陛下以外の独身男性で探してみると言われても渋ければ誰でも良いわけでもありません。


 これはもう行くしか無いではありませんか。




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